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いろ‐け【色気】例文一覧 30件

  1. ・・・「お前さん、その三尺は、大層色気があるけれど、余りよれよれになったじゃないか、ついでだからちょいとこの端へはっておいて上げましょう。」「何こんなものを。」 とあとへ退り、「いまに解きます繻子の帯……」 奴は聞き覚えの節に・・・<泉鏡花「海異記」青空文庫>
  2. ・・・第一色気ざかりが露出しに受取ったから、荒物屋のかみさんが、おかしがって笑うより、禁厭にでもするのか、と気味の悪そうな顔をしたのを、また嬉しがって、寂寥たる夜店のあたりを一廻り。横町を田畝へ抜けて――はじめから志した――山の森の明神の、あの石・・・<泉鏡花「貝の穴に河童の居る事」青空文庫>
  3. ・・・――その年の残暑の激しさといってはありませんでした。内中皆裸体です。六畳に三畳、二階が六畳という浅間ですから、開放しで皆見えますが、近所が近所だから、そんな事は平気なものです。――色気も娑婆気も沢山な奴等が、たかが暑いくらいで、そんな状をす・・・<泉鏡花「木の子説法」青空文庫>
  4. ・・・ その頬が、白く、涼しい。「見せろよ。」 低い声の澄んだ調子で、「ほほほ。」 と莞爾。 その口許の左へ軽くしまるのを見るがいい。……座敷へ持出さないことは言うまでもない。 色気の有無が不可解である。ある種のうつく・・・<泉鏡花「燈明之巻」青空文庫>
  5. ・・・ と家主のお妾が、次の室を台所へ通がかりに笑って行くと、お千さんが俯向いて、莞爾して、「余り色気がなさ過ぎるわ。」「そこが御婦人の毒でげす。」 と甘谷は前掛をポンポンと敲いて、「お千さんは大将のあすこン処へ落ッこちたんだ・・・<泉鏡花「売色鴨南蛮」青空文庫>
  6. ・・・ 一体黒い外套氏が、いい年をした癖に、悪く色気があって、今しがた明保野の娘が、お藻代の白い手に怯えて取縋った時は、内々で、一抱き柔かな胸を抱込んだろう。……ばかりでない。はじめ、連立って、ここへ庭樹の多い士族町を通る間に――その昔、江戸・・・<泉鏡花「古狢」青空文庫>
  7. ・・・ 辻町は、額をおさえて、提灯に俯向いて、「何と思ったか、東京へ――出発間際、人目を忍んで……というと悪く色気があります。何、こそこそと、鼠あるきに、行燈形の小な切籠燈の、就中、安価なのを一枚細腕で引いて、梯子段の片暗がりを忍ぶように・・・<泉鏡花「縷紅新草」青空文庫>
  8. ・・・満蔵はあくびをしながら、「みんな色気があるからだめだ。省作さんがいれば、おとよさんもはま公も唄もうたわねいだもの」 満蔵は臆面もなくそんなことを言って濁笑いをやってる。実際満蔵の言うとおりで、おとよさんは省作のいるとこでは、話も思い・・・<伊藤左千夫「隣の嫁」青空文庫>
  9. ・・・しかもあとお茶をすすり、爪楊子を使うとは、若気の至りか、厚顔しいのか、ともあれ色気も何もあったものではなく、Kはプリプリ怒り出して、それが原因でかなり見るべきところのあったその恋も無残に破れてしまったのである。けれども今もなお私は「月ヶ瀬」・・・<織田作之助「大阪発見」青空文庫>
  10. ・・・なんとなく、あの灸婆のことが想い出されたりして、想えばお千鶴も可哀想な女だと、いまはもう色気なぞ抜きにして、しんから同情される。 しかし、お前も随分しょんぼりした後姿だったね。いかにも、寒そうな、その姿がいまおれの眼のうらに熱くちらつい・・・<織田作之助「勧善懲悪」青空文庫>
  11. ・・・ 扇風機の前で胸をひろげていたマダムの想出も、雨戸の隙間から吹き込む師走の風に首をすくめながらでは、色気も悩ましさもなく、古い写真のように色あせていた。踊子の太った足も、場末の閑散な冬のレヴュ小屋で見れば、赤く寒肌立って、かえって見てい・・・<織田作之助「世相」青空文庫>
  12. ・・・ひとの羨むような美女でも、もし彼女がウェーブかセットを掛けた直後、なまなましい色気が端正な髪や生え際から漂っている時は、私はよしんば少しくらい惚れていても、顔を見るのもいやな気がする。私は今では十五分も女が待てない。女とそれきり会えないと判・・・<織田作之助「中毒」青空文庫>
  13. ・・・とに私が床を延べていますと、お俊が飛んで参りまして、『どうせ私じゃお気に入りませんよ』と言いざま布団を引ったくって自分でどんどん敷き『サア、旦那様お休みなさい、オー世話の焼ける亭主だ』と言いながら色気のある眼元でじっと私を見上げましたこ・・・<国木田独歩「女難」青空文庫>
  14. ・・・ 村は、色気も艶気もなくなってしまった。 そして、村で、メリンスの花模様が歩くのは「伊三郎」のトシエか、「徳右衛門」のいしえか、町へ出ずにすむ、田地持ちの娘に相場がきまってしまった。 村は、そういう状態になっていた。 メリヤ・・・<黒島伝治「浮動する地価」青空文庫>
  15. ・・・しかるにまた大多数の人はそれでは律義過ぎて面白くないから、コケが東西南北の水転にあたるように、雪舟くさいものにも眼を遣れば応挙くさいものにも手を出す、歌麿がかったものにも色気を出す、大雅堂や竹田ばたけにも鍬を入れたがる、運が好ければ韓幹の馬・・・<幸田露伴「骨董」青空文庫>
  16. ・・・「ハハハ、厭だによってか、ソレそれがもういけねえ、ハハハ詰らねえ色気を出したもんだ。「イヤ居れば居るだけ笑われる、明日来てみよう、行かれたら一緒に行きなさい。と立帰り行くを見送って、「おえねえ頓痴奇だ、坊主ッ返りの田舎漢の癖・・・<幸田露伴「貧乏」青空文庫>
  17. ・・・そうしたら弟の言草は、「この婆サも、まだこれで色気がある」と。あまり憎い口を弟がきくから、「あるぞい――うん、ある、ある」そう言っておげんは皆に別れを告げて来た。待っても、待っても、旦那はあれから帰って来なかった。国の方で留守居するおげんが・・・<島崎藤村「ある女の生涯」青空文庫>
  18. ・・・ところでどうです、このとしになっても、やはり、色気はあるでしょう、いや、冗談でなく、私はいつか誰かに聞いてみたいと思っていた事なのです。まさか、私は、このとおり頭が禿げて、子供が四人もあって、手の皮なんかもこんなに厚くなって、ひびだらけでさ・・・<太宰治「嘘」青空文庫>
  19. ・・・つまり、中畑さんには少しも色気が無くて、三十歳ちかくなってもお嫁さんをもらおうとしないのを、からかって「草木」などと呼んでいたものらしい。とうとう、私の父が世話して、私の家と遠縁の佳いお嬢さんをもらってあげた。中畑さんは、間もなく独立して呉・・・<太宰治「帰去来」青空文庫>
  20. ・・・どこのカフェにも、色気に乏しい慾気ばかりの中年の女給がひとりばかりいるものであるが、私はそのような女給にだけ言葉をかけてやった。おもにその日の天候や物価について話し合った。私は、神も気づかぬ素早さで、呑みほした酒瓶の数を勘定するのが上手であ・・・<太宰治「逆行」青空文庫>
  21. ・・・もうたくさん、なんて断っているお嬢さんや何か、あれは、ただ、色気があるから体裁をとりつくろっているだけなのよ。私なら、いくらでも、食べられるわよ。」「いや、もういいだろう。ここの店は、あまり安くないんだよ。君は、いつも、こんなにたくさん・・・<太宰治「グッド・バイ」青空文庫>
  22. ・・・いまここで、いちいち諸君に噛んでふくめるように説明してお聞かせすればいいのかも知れないが、そんな事に努力を傾注していると、君たちからイヤな色気を示されたりして、太宰もサロンに迎えられ、むざんやミイラにされてしまうおそれが多分にあるので、私は・・・<太宰治「十五年間」青空文庫>
  23. ・・・ほくそ笑んで、御招待まことにありがたく云々と色気たっぷりの返事を書いて、そうして翌る年の正月一日に、のこのこ出かけて行って、見事、眉間をざくりと割られる程の大恥辱を受けて帰宅した。 その日、草田の家では、ずいぶん僕を歓待してくれた。他の・・・<太宰治「水仙」青空文庫>
  24. ・・・ と書けば、いかにも私ひとり高潔の、いい子のようになってしまうが、しかし、やっぱり、泥酔の果の下等な薄汚いお色気だけのせいであったのかも知れない。謂わば、同臭相寄るという醜怪な図に過ぎなかったのかも知れない。 私は、その不健康な、悪・・・<太宰治「父」青空文庫>
  25. ・・・まあ、どこを押せばそんな音が出るのでしょう。色気違いじゃないかしら。とても、とても、あんな事が、神聖なものですか。 さて、それでは、その恋愛、すなわち色慾の Warming-up は、単にチャンスに依ってのみ開始せられるものであろうか。・・・<太宰治「チャンス」青空文庫>
  26. ・・・沈黙している作家の美しさ、おそろしさも、また、そこに在るのであるが、私は、いまは、そんなに色気を多くして居られない。まごまごしていると、あのむざんな焼印が、ぴったり額に押されてしまう。押されてしまったら、それなりけり。義務の在る数人を世話す・・・<太宰治「春の盗賊」青空文庫>
  27. ・・・辰之助を除外すれば、色気はないにしても、慾気か何かの意味があって、道太を引きつけておくように、道太の姉たちに思われるのが厭であった。それでなくとも辰之助の母である道太の第一の姉には、お絹たちはあまり好感をもたれていなかったし、持ってもいなか・・・<徳田秋声「挿話」青空文庫>
  28. ・・・いやに色気があって、そうして黄色い声を出す。のみならずむやみに泣いて愚痴ばかり並べている。あの山を上るところなどは一起一仆ことごとく誇張と虚偽である。鬘の上から水などを何杯浴びたって、ちっとも同情は起らない。あれを真面目に見ているのは、虚偽・・・<夏目漱石「明治座の所感を虚子君に問れて」青空文庫>
  29. ・・・があるので、そこへ引越そうという相談だ。或日亭主と神さんが出て行って我輩と妹が差し向いで食事をしていると陰気な声で「あなたもいっしょに引越して下さいますか」といった。この「下さいますか」が色気のある小説的の「下さいますか」ではない。色沢気抜・・・<夏目漱石「倫敦消息」青空文庫>
  30. ・・・ここに到って昔の我を顧みて見ると、甚だ意気地のない次第、一方から言えば甚だ色気のない次第、コスメチックこそつけた事はないが、昔は髭をひねって一人えらそうに構えたこともある。のろけをいうほどの色話はないが、緑酒紅燈天晴天下一の色男のような心持・・・<正岡子規「病牀苦語」青空文庫>