とく‐てん【特典】例文一覧 5件

  1. ・・・このような純粋な享楽は吾々素人に許された特典のようなものである。そうして、自分等がたとえ玄人の絵に対して思ったままの感じを言明しても、それは作者の名誉にも不名誉にもならないという気安さがある。これは実に有難い事である。無責任だというのではな・・・<寺田寅彦「二科会展覧会雑感」青空文庫>
  2. ・・・「帯刀の廃止、決闘の禁制が生んだ近代人の特典は、なんらの罰なしに自分の気に入らない人に不当な侮辱を与えうる事である。愚弄に報ゆるに愚弄をもってし、当てこすりに答えるに当てこすりをもってする事のできる場合には用はないが、無言な正義が饒舌な機知・・・<寺田寅彦「丸善と三越」青空文庫>
  3. ・・・人事の変遷、長き歳月を経る間には、子孫相続の主義はただに口実として用いらるるのみならず、早く既にその主義をも忘却し、一男にして衆婦人に接するは、あたかも男子に授けられたる特典の姿となり、以て人倫不取締の今日に至りしは、国民一家の不幸に止まら・・・<福沢諭吉「日本男子論」青空文庫>
  4. ・・・ 勿論暗示を受けると云う事は宗教家にのみ与えられる特典ではない。 けれ共彼は当時英国に居た私の父の所へ便りをする毎に、「水に入ると必ず危険が起る」と云う暗示を受けたからと云う注意を忘れなかったそうである。 父は唯一人の弟の好意を・・・<宮本百合子「追憶」青空文庫>
  5. ・・・ あまり早くから学者のむずかしい八の字だらけの顔を見たものの特典でのう。老人 ああ、ああ、ぶしつけでござりますがわたくしはもう眠とうなりましたでの、居眠りながら貴方様とお話致すがまことにうれしいのでござる。大変年を取った老人・・・<宮本百合子「胚胎(二幕四場)」青空文庫>