と‐しょく【徒食】例文一覧 6件

  1. ・・・絶えず何かの義務を自分に課していなければ気のすまぬ彼は、無為徒食の臥床生活がたまらなく情けなかった。母親の愛情だけで支えられて生きているのは、何か生の義務に反くと思うのだった。妓に裏切られた時に完膚なきまでに傷ついた自尊心の悩みに駆りたてら・・・<織田作之助「雨」青空文庫>
  2. ・・・ わが歌、声を失い、しばらく東京で無為徒食して、そのうちに、何か、歌でなく、謂わば「生活のつぶやき」とでもいったようなものを、ぼそぼそ書きはじめて、自分の文学のすすむべき路すこしずつ、そのおのれの作品に依って知らされ、ま、こんなところか・・・<太宰治「I can speak」青空文庫>
  3. ・・・勤労して生きているものの人生の内容と、徒食生活の男女の生活内容の絶対のちがいは、一つの恋愛小説をよめば、まざまざとしている。二十四時間を、八時間から九時間以上職場にしばられ、千八百円でしめつけられつつ家族の生活をみている正直な勤労者の青春に・・・<宮本百合子「新しい文学の誕生」青空文庫>
  4. ・・・ 個性の解放を欲求した面でツルゲーネフは全く生々しい若いロシアの要求を表現したのであるが、それを恋愛の行為にだけ納めて自分から納得したところに、彼の徒食階級の作家らしい非現実性が見られるのである。 ツルゲーネフの見かたに従うと、或る・・・<宮本百合子「ツルゲーネフの生きかた」青空文庫>
  5. ・・・彼の周囲に充満しているのは無智やあてのない悔恨や徒食、泥酔、あくまで互にきずつけ合う残酷などであるのに、彼が読む本は何と人間の智慧の明るさ、生活の美などについて語っていることであろう。当時のロシアをみたしていた生活の浪費の苦痛がゴーリキイの・・・<宮本百合子「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」青空文庫>
  6. ・・・の作者が、村の小地主である親から、文学勉強のための金は貰えぬため、先ず自活の道を講じたという、経済的な理由の上に立つ文学修業の第一頁が、云わず語らずのうちにこの一人の婦人作家の行く手を、新たな文学、徒食階級のものではない、勤労する大衆の文学・・・<宮本百合子「見落されている急所」青空文庫>