とっ‐ぱ【突破】例文一覧 30件

  1. ・・・殊に、現在の、深刻な農業恐慌の下で、負担のやり場を両肩におッかぶせられて餓死しないのがむしろ不思議な農民の生活、合法無産政党を以て労農提携の問題をごま化し去ろうとする社会民主主義者共の偽まんを突破して真に階級性を持った提携に向って進んでいる・・・<黒島伝治「農民文学の問題」青空文庫>
  2.  信じるより他は無いと思う。私は、馬鹿正直に信じる。ロマンチシズムに拠って、夢の力に拠って、難関を突破しようと気構えている時、よせ、よせ、帯がほどけているじゃないか等と人の悪い忠告は、言うもので無い。信頼して、ついて行くのが・・・<太宰治「かすかな声」青空文庫>
  3. ・・・女学校四年生の時、野沢温泉から木島まで吹雪の中をスキイで突破した時のおそろしさを、ふいと思い出した。あの時のリュックサックの代りに、いまは背中に園子が眠っている。園子は何も知らずに眠っている。 背後から、我が大君に召されえたあるう、と実・・・<太宰治「十二月八日」青空文庫>
  4. ・・・ああ、あ、濁流を泳ぎ切り、山賊を三人も撃ち倒し韋駄天、ここまで突破して来たメロスよ。真の勇者、メロスよ。今、ここで、疲れ切って動けなくなるとは情無い。愛する友は、おまえを信じたばかりに、やがて殺されなければならぬ。おまえは、稀代の不信の人間・・・<太宰治「走れメロス」青空文庫>
  5. ・・・ 突破しろ……」 少年が鋭く叫んだ。と同時に彼の足は小荷物台から攫われて、尻や背中でゴツンゴツンと調子をとりながら、コンクリートの上へ引きずり下された。 汽車は静に動き出した。両方の乗降口に立っていた制服巡査は飛び下りた。 ・・・<葉山嘉樹「乳色の靄」青空文庫>
  6. ・・・その間へ、銃をとって絶対に戦わなければならないでもない作家、一面には社と社との激烈な競争によって刺戟され、一面には報道陣の戦死としての矜りから死を突破しようとさえする従軍記者でもない作家、謂わば、命を一つめぐってそれをすてるか守るかしようと・・・<宮本百合子「明日の言葉」青空文庫>
  7. ・・・ヘンリー・フォードが催したヨーロッパ早まわり競争に参加して、十日間に六千マイルを突破して一等になり、フォードより自動車を一台おくられたことがある。この早まわり競争の道づれも弟のクラウスであり、しかも早まわり記事を新聞におくり、あとから一冊に・・・<宮本百合子「明日の知性」青空文庫>
  8. ・・・破滅的現象は街にも家庭にもあふれ出ているのに、若い眼も心も崩壊の膿汁にふれていながら、事実は事実として見て、生活でぐっとそれによごされず突破してゆくような生活意欲はつちかわれていない。若さは無意識のうちにこんにちの姑息ないいくるめや偽善をも・・・<宮本百合子「偽りのない文化を」青空文庫>
  9. ・・・芸において、彼等の人種が中国民に対して過去に抱いていた偏見を突破して、中国の農民たらんと真に努力している。彼等の俳優としてのそういう熱意が快く感じられると共に、中国の現実そのものの力が、今日国際的な関心の性質を次第に真面目な人間的なリアリス・・・<宮本百合子「映画の語る現実」青空文庫>
  10. ・・・ 目下の日本で、最も切迫した公の問題は、食糧危機をどう突破するかということですが、代議士たちの大多数は、これに対してどういう態度をとっているでしょうか。つい先頃の総選挙のとき、三合配給などを公約した候補者について、選挙が終ってからす・・・<宮本百合子「公のことと私のこと」青空文庫>
  11. ・・・自分のうれしいこと自分の悲しいこと、自分が好きと思いきらいと思うことは一番直接だし、ましてや自分が何か努力して難関を突破したという満足でもあれば、いよいよ自分のことは自分に興味ふかくもなるだろう。 その自然な傾向のなかで、とくに女は自分・・・<宮本百合子「女の自分」青空文庫>
  12. ・・・今日の現実は、風流なすさびと思われていた三十一文字を突破して、生きようと欲する大衆の声を工場から、農村から、工事場・会社・役所から、獄中からまで伝えて来ている。その点で、この二百頁に満たぬ一冊の歌集がきょうの日本の歌壇に全く新しい価値をもっ・・・<宮本百合子「歌集『集団行進』に寄せて」青空文庫>
  13. ・・・にもかかわらず、現内閣は、よたつきながら、今倒れるか、今倒れるかと思われながら、とうとうモラトリアム公表という重大な危機さえ突破して、どういう工合に作成されたものか、一昨日には憲法改正草案を発表するところまでもち越して来ている。 私たち・・・<宮本百合子「現実の必要」青空文庫>
  14. ・・・国民は幼な児のごとく政府を信頼して、三月危機を突破してくれといいました。 戦争中、国民の幸福のためにこの戦争はおこなわれているのである、必ず勝つ、日本は東洋の主となると政府がいったとき、日本の国民はそれを信じたと思います。幼な児の如く信・・・<宮本百合子「今度の選挙と婦人」青空文庫>
  15. ・・・単純に個々の作家の才能の力で解決し突破することの出来ない柵がある。客観小説を提唱する人々が今日作品の実際では申合せたように歴史小説の分野に紛れ込んだり、通俗的な大衆文学、通俗文学に入って行っていることも、複雑な観察を求める現象である。 ・・・<宮本百合子「今日の文学の鳥瞰図」青空文庫>
  16. ・・・自分を突破して客観的真実に迫ってゆく歓喜が余り深くこまやかであるから芸術の制作に対する熱情と献身とは、人間の世界で愛の範疇にいれて語られるのだろうと思う。〔一九四七年七月〕<宮本百合子「作品と生活のこと」青空文庫>
  17. ・・・フランス文学と云っても、それは、ナチス軍がマジノ線を突破する以前の、ポール・ヴァレリーやジイドなどの文学だった。野間宏が、自分は十二年間ヴァレリーの言葉をもって語って来た、と回想しているのは、誇張ではないであろう。野間宏の人間と文学との過程・・・<宮本百合子「「下じき」の問題」青空文庫>
  18. ・・・ この事実は、芸術家の大きい魂の真実にふれている、常に自己を超えようとする本能的な焦慮   ○限界の突破 そして、このことは平安を彼から奪うことを予約している。しかも 彼が芸術家であれば◎芸術家は完成と静けさにお・・・<宮本百合子「ツワイク「三人の巨匠」」青空文庫>
  19. ・・・かりに優秀な人間的力量にめぐまれたある奴隷が、奴隷として許された限界を突破して――主人の繁栄と利益のためにだけ献身するという目的を破って、自身の解放のためにその才能を活躍させるとしたら、奴隷所有者の不安はいかばかりだろう。奴隷の能力は、公平・・・<宮本百合子「なぜ、それはそうであったか」青空文庫>
  20. ・・・前年九月ワルソーに突入したナチス軍は四〇年の春ノルウェーに進出し、五月マジノ線を突破して一ヵ月の後フランスを降伏させていた。第二次ヨーロッパ大戦は次第にクライマックスに向いはじめた。日本の天皇制権力とその軍閥は目前のドイツファシズムの勝利に・・・<宮本百合子「年譜」青空文庫>
  21. ・・・米一升が五十銭を突破して米騒動がおこった。やっぱりこまったのは民衆であった。 ヨーロッパにおこった第二次大戦の過程のすきをくぐって、満州、中国、南方までのきりとりをたくらんだ結果はどうだろう。日本は、壊滅の一歩手前に追いこまれた。主食補・・・<宮本百合子「便乗の図絵」青空文庫>
  22. ・・・それからそのためにはいろいろな困難とか自分に対する痛い目、そういうものも自分が勇気をもって突破して進んでこそ人間一人の値打が発揮されます。今日小林多喜二の話をするときには、弾圧を受けたから可哀そうだという面からでなく、その力を突破して行く勇・・・<宮本百合子「婦人の創造力」青空文庫>
  23. ・・・精神の解放の証拠としての肉体解放というならば、それはとぐろをまいた肉体文学を突破して、先ず性の根元である生命の人間らしい愛と、その自主性の確立――少くとも戦争と失業のない社会を主張するために闘っている肉体の行動が、現代文学のうちにとらえられ・・・<宮本百合子「文学と生活」青空文庫>
  24. ・・・万民協力、この難局を突破しなければならないことは自明でありますが、それには従来の秘密主義で民をして依らしむべし、知らしむべからずではなりません。この態度は改められなければなりません。というようなところで、一きわ張り上げられる小川代議士の声も・・・<宮本百合子「待呆け議会風景」青空文庫>
  25. ・・・なる墓標的常識を突破した、喜ばしき奔騰者の祝賀である。より深き認識への感覚 より深き認識へわれわれの主観を追跡さす作物は、その追跡の深さに従ってまた濃厚な感覚を触発さす。それはわれわれの主観をして既知なる経験的認識から未知な・・・<横光利一「新感覚論」青空文庫>
  26. ・・・かかる愛の爆発力は同じき理想の旗のもとに、最早や現実の実相を突破し蹂躙するであろう。最早懐疑と凝視と涕涙と懐古とは赦されぬであろう。その各自の熱情に従って、その美しき叡智と純情とに従って、もしも其爆発力の表現手段が分裂したとしたならば、それ・・・<横光利一「黙示のページ」青空文庫>
  27. ・・・しかしそれは彼の根が一つの地殻に突き当たってそれを突破する努力に悩んでいるからである。やがてその突破が実現せられた時に、どのような飛躍が彼の上に起こるか。――私は彼の前途を信じている。根の確かな人から貧弱な果実が生まれるはずはない。・・・<和辻哲郎「樹の根」青空文庫>
  28. ・・・そうして突破があった。この体験から予の警告は生まれたのである。五 予は道義を説く。愛を説く。ある人はそれを陳腐と呼ぶだろう。しかし予は陳腐なるものの内に新しい生命を見いだした喜びを語るのである。陳腐なる殻のうちに秘められたる・・・<和辻哲郎「『偶像再興』序言」青空文庫>
  29. ・・・潰滅よりもさらに烈しい苦痛を忍び、忘却が到底企て及ばざる突破の歓喜を追い求むる者こそ、真に生き真に成長する者と呼ばるべきであった。心が永遠の現在であり、意識の流れに永遠が刻みつけられていることを、ただこの種の人のみがその生活によって証明する・・・<和辻哲郎「転向」青空文庫>
  30.  自分は現代の画家中に岸田君ほど明らかな「成長」を示している人を知らない。誇張でなく岸田君は一作ごとにその美を深めて行く。ことにこの四、五年は我々を瞠目せしめるような突破を年ごとに見せている。そうしてこの成長、突破が年ごとに迫り行くとこ・・・<和辻哲郎「『劉生画集及芸術観』について」青空文庫>