と・む【尋む/求む/×覓む】例文一覧 30件

  1. ・・・ 答 我ら河童はいかなる芸術にも河童を求むること痛切なればなり。 会長ペック氏はこの時にあたり、我ら十七名の会員にこは心霊学協会の臨時調査会にして合評会にあらざるを注意したり。 問 心霊諸君の生活は如何? 答 諸君の生活と異・・・<芥川竜之介「河童」青空文庫>
  2. ・・・去って天竺の外に南瓜を求むるに若かず。 三、佐藤の作品中、道徳を諷するものなきにあらず、哲学を寓するもの亦なきにあらざれど、その思想を彩るものは常に一脈の詩情なり。故に佐藤はその詩情を満足せしむる限り、乃木大将を崇拝する事を辞せざると同・・・<芥川竜之介「佐藤春夫氏の事」青空文庫>
  3. ・・・ これじつに我々が未来に向って求むべきいっさいである。我々は今最も厳密に、大胆に、自由に「今日」を研究して、そこに我々自身にとっての「明日」の必要を発見しなければならぬ。必要は最も確実なる理想である。 さらに、すでに我々が我々の理想を発・・・<石川啄木「時代閉塞の現状」青空文庫>
  4. ・・・ 暑さに憩うだけだったら、清水にも瓜にも気兼のある、茶店の近所でなくっても、求むれば、別なる松の下蔭もあったろう。 渠はひもじい腹も、甘くなるまで、胸に秘めた思があった。 判官の人待石。 それは、その思を籠むる、宮殿の大なる・・・<泉鏡花「瓜の涙」青空文庫>
  5. ・・・ 気が違わぬから、声を出して人は呼ばれず、たすけを、人を、水をあこがれ求むる、瞳ばかりみはったが、すぐ、それさえも茫となる。 その目に、ひらりと影が見えた。真向うに、矗立した壁面と、相接するその階段へ、上から、黒く落ちて、鳥影のよう・・・<泉鏡花「開扉一妖帖」青空文庫>
  6. ・・・ こんな調子で余は岡村に、君の資格を以てして今から退隠的態度をとるは、余りに勇気に乏しく、資格ある人士の義務から考えても、自家将来の幸福を求むる点から考えても、決して其道でないと説いた。岡村は冷かに笑って、君の云うことは尤もだけれど、僕・・・<伊藤左千夫「浜菊」青空文庫>
  7. ・・・然るに独り文人が之を口にする時は卑俗視せられて、恰も文人に限りては労力の報酬を求むる権利が無いように看做されてる。文人自身も亦此の当然の権利を主張するを陋なりとする風があって、較やもすれば昔の志士や隠遁家の生活をお手本としておる。 世界・・・<内田魯庵「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」青空文庫>
  8. ・・・時銃忽ち鳴る 狗子何ぞ曾て仏性無からん 看経声裡三生を証す     犬塚信乃芳流傑閣勢ひ天に連なる 奇禍危きに臨んで淵を測らず きほ敢て忘れん慈父の訓 飄零枉げて受く美人の憐み 宝刀一口良価を求む 貞石三生宿縁を証す 未だ必ずしも世・・・<内田魯庵「八犬伝談余」青空文庫>
  9. ・・・ 和平を求むる者は福なり、其故如何となれば其人は神の子と称えらるべければ也、「神の子と称へらるる」とは神の子たる特権に与かる事である、「其の名を信ぜし者には権を賜いて之を神の子と為せり」とある其事である(約翰、単に神の子たるの名称を賜わ・・・<内村鑑三「聖書の読方」青空文庫>
  10. ・・・ いまこゝに、どんなに快い調子が繰り返されていても、如何にそれがある優しみの感じを人の心に与えても、その中に含まれている思想が依然として在来のものであったなら、私はそれを求むるところの詩という事が出来ない。極端に言えば、旧文化に安住して・・・<小川未明「詩の精神は移動す」青空文庫>
  11. ・・・殊に、文芸の必要なるべきは、少年期の間であって、すでに成人に達すれば、娯楽として文芸を求むるにすぎません。しからざれば、趣味としてにとゞまります。世間に出るに及んで、生活の規矩を政治、経済に求むるが、むしろ当然だからです。 さらば、何故・・・<小川未明「近頃感じたこと」青空文庫>
  12. ・・・ やがてかすかに病人の唇が動いたと思うと、乾いた目を見開いて、何か求むるもののように瞳を動かすのであった。「水を上げましょうか?」とお光が耳元で訊ねると、病人はわずかに頷く。 で、水を含ますと、半死の新造は皺涸れた細い声をして、・・・<小栗風葉「深川女房」青空文庫>
  13. ・・・自転車に乗れる青年を求むという広告文で、それと察しなかったのは迂濶だった。新聞記者になれるのだと喜んでいたのに、自転車であちこちの記者クラブへ原稿を取りに走るだけの芸だった。何のことはないまるで子供の使いで、社内でも、おい子供、原稿用紙だ、・・・<織田作之助「雨」青空文庫>
  14. ・・・ そしてまた、そうした八年間の実際の牢獄生活の中にも、彼はまだ生の光りを求むる心を失わずにいるかのようにも思える。そしてまた、彼はこのさきまだ何年くらい今の生活を続けなければならないのか――そのことは彼の手紙に書いてなかった。 四月・・・<葛西善蔵「死児を産む」青空文庫>
  15. ・・・世間並からいうとその通りです、然しこの問は必ずしもその答を求むるが為めに発した問ではない。実にこの天地に於けるこの我ちょうものの如何にも不思議なることを痛感して自然に発したる心霊の叫である。この問その物が心霊の真面目なる声である。これを嘲る・・・<国木田独歩「牛肉と馬鈴薯」青空文庫>
  16. ・・・とかく武蔵野を散歩するのは高い処高い処と撰びたくなるのはなんとかして広い眺望を求むるからで、それでその望みは容易に達せられない。見下ろすような眺望はけっしてできない。それは初めからあきらめたがいい。 もし君、何かの必要で道を尋ねたく思わ・・・<国木田独歩「武蔵野」青空文庫>
  17. ・・・実に怒る者は知る可し、笑う者は測るべからず、である。求むる有るものは弱し、恐るるに足らず、求むる無き者は強し、之を如何ともする能わず、である。不可解は恐怖になり、恐怖は遁逃を思わしめるに至った。で、何も責め立てられるでも無く、強請されるでも・・・<幸田露伴「雪たたき」青空文庫>
  18. ・・・と砂糖八分の申し開き厭気というも実は未練窓の戸開けて今鳴るは一時かと仰ぎ視ればお月さまいつでも空とぼけてまんまるなり 脆いと申せば女ほど脆いはござらぬ女を説くは知力金力権力腕力この四つを除けて他に求むべき道はござらねど権力腕力は拙い極度・・・<斎藤緑雨「かくれんぼ」青空文庫>
  19. ・・・われはそを知らむことを求む、されど未だ見出し得ず。さらば、斯く闇黒の中に坐するは、吾事業なるか――」 ずっと旧いところの稿には、こんなことも書いてある。 豪爽な感想のする夏の雨が急に滝のように落ちて来た。屋根の上にも、庭の草木の上に・・・<島崎藤村「並木」青空文庫>
  20. ・・・即ち知る、舜の事蹟は人事に關するものを他にして求む可らざることを。 禹に至つては刻苦勉勵、大洪水を治し禹域を定めたるもの、これ地に關する事蹟なり。禹の事業の特性は地に關する點にあり。 これらの點より推さばこの傳説作者は、天地人三才の・・・<白鳥庫吉「『尚書』の高等批評」青空文庫>
  21. ・・・パラパラ、頁をめくっていって、ふと、「汝もし己が心裡に安静を得る能わずば、他処に之を求むるは徒労のみ。」というれいの一句を見つけて、いやな気がした。悪い辻占のように思われた。こんどの旅行は、これは、失敗かも知れぬ。 列車が上諏訪に近づい・・・<太宰治「八十八夜」青空文庫>
  22. ・・・  されど、  憩いを知らぬ帆は、  嵐の中にこそ平穏のあるが如くに、  せつに狂瀾怒濤をのみ求むる也。 あわれ、あらしに憩いありとや。鶴は所謂文学青年では無い。頗るのんきな、スポーツマンである。けれども、恋人の森ち・・・<太宰治「犯人」青空文庫>
  23. ・・・そして杖にすがったまま辛うじてかがんだ猫背を延ばして前面に何物をか求むるように顔を上げた。窪んだ眼にまさに没せんとする日が落ちて、頬冠りした手拭の破れから出た一束の白髪が凩に逆立って見える。再びヨボヨボと歩き出すと、ひとしきりの風が驀地に道・・・<寺田寅彦「凩」青空文庫>
  24. ・・・我という個霊の消え失せて、求むれども遂に得がたきを、驚きて迷いて、果ては情なくてかくは乱るるなり。我を司どるものの我にはあらで、先に見し人の姿なるを奇しく、怪しく、悲しく念じ煩うなり。いつの間に我はランスロットと変りて常の心はいずこへか喪え・・・<夏目漱石「薤露行」青空文庫>
  25. ・・・又子の方より言えば仮令い三十年二十五年以上に達しても、父母在すときは打明け相談して同意を求むるこそ穏なれ。法律は唯極端の場合に備うるのみ。親子の情は斯く水臭きものに非ず。呉々も心得置く可し。扨又結婚の上は仮令い命を失うとも心を金石の如くに堅・・・<福沢諭吉「女大学評論」青空文庫>
  26. ・・・簡単なるものにつきて美を求むるは易く、複雑なるものは難し。沈黙せるものを写すは易く、活動せるものは難し。人間の思想、感情の単一なる古代にありて比較的によく天然を写し得たるは易きより入りたる者なるべし。俳句の初めより天然美を発揮したるも偶然に・・・<正岡子規「俳人蕪村」青空文庫>
  27. イーハトヴは一つの地名である。しいて、その地点を求むるならば、それは、大小クラウスたちの耕していた、野原や、少女アリスがたどった鏡の国と同じ世界の中、テパーンタール砂漠のはるかな北東、イヴン王国の遠い東と考えられる。じつ・・・<宮沢賢治「『注文の多い料理店』新刊案内」青空文庫>
  28. ・・・決して卑しく求むべきではないし、最上とか何とか先入的な価値の概念は持つべきでないし、同時に、恋愛の本質に素直でそこから自分の誠実さが感じ理解出来るだけのものを余りなく得て全生活を浄め豊かにするだけの、視野の宏大な愛、人間、自分への信任が大切・・・<宮本百合子「愛は神秘な修道場」青空文庫>
  29. ・・・我は彼に求むる所がなく、彼もまた我に求むる所がない。縦いまた樗牛と予との如く、ある関係が有っても、それは言うに足らぬ事であって、今これを人に告ぐる必要を見ない。かように今の文壇の思想の圏外に予は立っていて、予の思想の圏外に今の文壇は立ってい・・・<森鴎外「鴎外漁史とは誰ぞ」青空文庫>
  30. ・・・という喧しい宣言のあとで、神を求むる心は忍びやかに人々の胸に育って行く。 キリストの復活を認容することのできなかった物質論は今や人類の常識である。神が七日にして世界を創造したという物語のごときは「物語」以上に何の権威をも持たない。処女懐・・・<和辻哲郎「『偶像再興』序言」青空文庫>