どや‐どや例文一覧 23件

  1. ・・・ 何か書きものをしていた先生はどやどやと這入って来た僕達を見ると、少し驚いたようでした。が、女の癖に男のように頸の所でぶつりと切った髪の毛を右の手で撫であげながら、いつものとおりのやさしい顔をこちらに向けて、一寸首をかしげただけで何の御・・・<有島武郎「一房の葡萄」青空文庫>
  2. ・・・「もう、これ午餉になりまするで、生徒方が湯を呑みに、どやどやと見えますで。湯は沸らせましたが――いや、どの小児衆も性急で、渇かし切ってござって、突然がぶりと喫りまするで、気を着けて進ぜませぬと、直きに火傷を。」「火傷を…うむ。」・・・<泉鏡花「朱日記」青空文庫>
  3. ・・・植木屋徒も誘われて、残らずどやどや駆けて出る。私はとぼんとして、一人、離島に残された気がしたんです。こんな島には、あの怪い大鼠も棲もうと思う、何となく、気を打って、みまわしますとね。」「はあ――」「ものの三間とは離れません。宮裏に、・・・<泉鏡花「半島一奇抄」青空文庫>
  4. ・・・と胴太き声の、蒼く黄色く肥ったる大きなる立派な顔の持主を先に、どやどやと人々入来りて木沢を取巻くように坐る。臙脂屋早く身退りし、丹下は其人を仰ぎ見る、其眼を圧するが如くに見て、「丹下、けしからぬぞ、若い若い。あやまれあやまれ。後輩の・・・<幸田露伴「雪たたき」青空文庫>
  5. ・・・と、町中のものや通行人たちがどやどやかけつけて来ました。「こいつらがおれんとこのあの犬を、二ひきともひっくくりゃァがったんだ。下りろ、きさま。」と肉屋は巡査の足をつかまえて、むりやりに引きずり下しました。人々はみんな、あの二ひきの犬の同・・・<鈴木三重吉「やどなし犬」青空文庫>
  6. ・・・ そこで井伏さんも往生して、何とかという、名前は忘れたが、或る小さいカフェに入った。どやどやと、つきものも入って来たのは勿論である。 失礼ながら、井伏さんは、いまでもそうにちがいないが、当時はなおさら懐中貧困であった。私も、もちろん・・・<太宰治「『井伏鱒二選集』後記」青空文庫>
  7. ・・・ お篠は、送ると言った、私たちは、どやどやと玄関に出た。あ、ちょっと、と言って、私は飛鳥の如く奥の部屋に引返し、ぎょろりと凄くあたりを見廻し、矢庭にお膳の寒雀二羽を掴んでふところにねじ込み、それからゆっくり玄関へ出て行って、「わすれ・・・<太宰治「チャンス」青空文庫>
  8. ・・・かし、二十六だったか七だったか、八か、あらたまって尋ねて聞いた事も無いので、はっきりした事は覚えていないが、とにかくまあ、その娘ひとりであずかっている家に、三十七の義兄と三十四の姉が子供を二人も連れてどやどやと乗り込んで、そうしてその娘と遠・・・<太宰治「薄明」青空文庫>
  9. ・・・忌わしい予感を、ひやと覚えたとき、どやどやと背広服着た紳士が六人、さちよの病室へはいって来た。「須々木が、ホテルで電話をかけたそうだね。」「ええ。」あわれに微笑んで答えた。「誰にかけたか知ってるね?」 うなずいた。「そい・・・<太宰治「火の鳥」青空文庫>
  10. ・・・上り下りの電車がホームに到着するごとに、たくさんの人が電車の戸口から吐き出され、どやどや改札口にやって来て、一様に怒っているような顔をして、パスを出したり、切符を手渡したり、それから、そそくさと脇目も振らず歩いて、私の坐っているベンチの前を・・・<太宰治「待つ」青空文庫>
  11. ・・・三等が満員になったので団員の一部は二等客車へどやどや雪崩れ込んだ。この直接行動のおかげで非常時気分がはじめて少しばかり感ぜられた。こうした場合の群集心理の色々の相が観察されて面白かった。例えば大勢の中にきっと一人くらいは「豪傑」がいて、わざ・・・<寺田寅彦「静岡地震被害見学記」青空文庫>
  12. ・・・ 十時頃に床へはいって本を読んでいると門の戸が開いて皆がどやどや帰って来た。どうしたのか冬子が泣きながらはいって来て、着物をきかえ床へはいってもまだしくしく泣いていた。どうしたかと聞いてみても何も云わないし、外のものにも何故だか分らなか・・・<寺田寅彦「小さな出来事」青空文庫>
  13. ・・・浴場へ行って清澄な温泉に全身を浸し、連日の疲れを休めていると、どやどやと一度に五、六人の若い女がはいって来て、そこに居たわれわれ男性の存在には没交渉に、その華やかな衣裳を脱いで、イヴ以来の装いのままで順次に同じ浴槽の中に入り込んで来た。霊山・・・<寺田寅彦「二つの正月」青空文庫>
  14. ・・・二人の後には物色する遑なきに、どやどやと、我勝ちに乱れ入りて、モードレッドを一人前に、ずらりと並ぶ、数は凡てにて十二人。何事かなくては叶わぬ。 モードレッドは、王に向って会釈せる頭を擡げて、そこ力のある声にていう。「罪あるを罰するは王者・・・<夏目漱石「薤露行」青空文庫>
  15. ・・・と思ったらすぐそのあとから佐太郎だの耕助だのどやどややってきました。「なして泣いでら、うなかもたのが。」嘉助が泣かないこどもの肩をつかまえて言いました。するとその子もわあと泣いてしまいました。おかしいとおもってみんながあたりを見ると、教・・・<宮沢賢治「風の又三郎」青空文庫>
  16. ・・・と思ったらすぐそのあとから佐太郎だの耕助だのどやどややってきました。「なして泣いでら、うなかもたのが。」嘉助が泣かないこどもの肩をつかまえて云いました。するとその子もわあと泣いてしまいました。おかしいとおもってみんながあたりを見ると、教・・・<宮沢賢治「風野又三郎」青空文庫>
  17. ・・・地学博士を先登に、私たちは、どやどや、玄関へ降りて行きました。たちまち一台の大きな赤い自働車がやって来ました。それには白い字でシカゴ畜産組合と書いてありました。六人の、髪をまるで逆立てた人たちが、シャツだけになって、顔をまっ赤にして、何か叫・・・<宮沢賢治「ビジテリアン大祭」青空文庫>
  18. ・・・ 陽子、弟の忠一、ふき子、三日ばかりして、どやどや下見に行った。大通りから一寸入った左側で、硝子が四枚入口に立っている仕舞屋であった。土間からいきなり四畳、唐紙で区切られた六畳が、陽子の借りようという座敷であった。「まだ新しいな」・・・<宮本百合子「明るい海浜」青空文庫>
  19. ・・・ その上に姉様かぶりを手拭でさせられた章子をしょびいて、どやどや部屋を出た。「え――、里栄はんのお姉御、ゲン里はんでござい、よろしゅおたの申しますう」「――何事どす?」 茶の間の襖を開けて顔を出すなりこの始末に女将は、「・・・<宮本百合子「高台寺」青空文庫>
  20. ・・・ どやどやと賑やかに、小さな店へ入った。小さい女の子もいそいそと一人前に椅子にかけて、さて、小さいお椀によそって出された、栗ぜんざいを一吸いして、私たちは、しんみりとおとなしくなってしまった。やがて、女の子が情けなさそうに、「もうい・・・<宮本百合子「琴平」青空文庫>
  21. ・・・ 女中を呼んで男が「おい勘定」と云った。「おかえりでございますか」「ああ」 どやどやと出て来る。丁度こちらの室へ女中が茶を運んで来たところで唐紙が開いて居た。鼻まで襟巻でくるんだ男が無遠慮にそこから内を覗きそうにした・・・<宮本百合子「町の展望」青空文庫>
  22. ・・・同僚はもうとっくに書類を片附けていて、どやどや退出する。木村は給仕とただ二人になって、ゆっくり書類を戸棚にしまって、食堂へ行って、ゆっくり弁当を食って、それから汗臭い満員の電車に乗った。・・・<森鴎外「あそび」青空文庫>
  23. ・・・ 折から門にはどやどやと人の音。「忍藻御は熊に食われてよ」     ―――――――――――――― ついでながらこのころ神田明神は芝崎村といッた村にあッてその村は今の駿河台の東の降口の辺であッた。それゆえ二人の武士・・・<山田美妙「武蔵野」青空文庫>