ど‐よう〔‐エウ〕【土曜】例文一覧 29件

  1. ・・・が、土曜から日曜へかけては必ず僕の母の家へ――本所の芥川家へ泊りに行った。「初ちゃん」はこう云う外出の時にはまだ明治二十年代でも今めかしい洋服を着ていたのであろう。僕は小学校へ通っていた頃、「初ちゃん」の着物の端巾を貰い、ゴム人形に着せたの・・・<芥川竜之介「点鬼簿」青空文庫>
  2. ・・・僕は学校へ行ったて千葉だもの、盆正月の外にも来ようと思えば土曜の晩かけて日曜に来られるさ……」「ほんとに済みません。泣面などして。あの常さんて男、何といういやな人でしょう」 民子は襷掛け僕はシャツに肩を脱いで一心に採って三時間ばかり・・・<伊藤左千夫「野菊の墓」青空文庫>
  3. ・・・かくて二人は一山の落ち葉燃え尽くるまで、つきぬ心を語りて黎明近くなりて西の空遠く帰りぬ。その次の夜もまた詩人は積みし落ち葉の一つを燃かしむれば、男星女星もまた空より下りて昨夜のごとく語りき。かくて土曜の夜まで、夜々詩人の庭より煙たち、夜ふく・・・<国木田独歩「星」青空文庫>
  4. ・・・彼は汽車の時間をきめ、停車場で待つことにして帰った。土曜日彼はさしあたり必要のない冬服を質屋に持ってゆき、本を売った。それで金の方は間に合った。次の日停車場へ行った。天気なので、どこかへ出かける人でいっぱいだった。龍介は落ちつかない気持で待・・・<小林多喜二「雪の夜」青空文庫>
  5. ・・・と原はいぶかしそうに、「明日は君、土曜――会社があるじゃないか」「ナニ、一日位休むサ」「そんなことをしても可いんですか、会社の方は」「構わないよ」「じゃあ、そうしようかね。明日は御邪魔になりに伺うとしよう。久し振で僕も出て来・・・<島崎藤村「並木」青空文庫>
  6. ・・・沢田先生は、土曜日毎にお見えになり、私の勉強室でひそひそ、なんとも馬鹿らしい事ばかりおっしゃるので、私は、いやでなりませんでした。文章というものは、第一に、てにをはの使用を確実にしなければならぬ、等と当り前の事を、一大事のように繰り返し繰り・・・<太宰治「千代女」青空文庫>
  7. ・・・谷中へ移ってからも土曜ごとにはほとんど欠かさず銀座へ泊まりに行った。当時、昔の鉄道馬車はもう電車になっていたような気がするが、「れんが」地域の雰囲気は四年前とあまり変わりはなかったようである。ただ中学生の自分が角帽をかぶり、少年のSちゃんが・・・<寺田寅彦「銀座アルプス」青空文庫>
  8. ・・・ 十月二十九日、土曜。王子電車で小台の渡しまで行った。名前だけで想像していたこの渡し場は武蔵野の尾花の末を流れる川の岸のさびしい物哀れな小駅であったが、来て見るとまず大きな料理屋兼旅館が並んでいる間にペンキ塗りの安西洋料理屋があった・・・<寺田寅彦「写生紀行」青空文庫>
  9. ・・・ 土曜といわず日曜といわず学校の帰り掛けに書物の包を抱えたまま舟へ飛乗ってしまうのでわれわれは蔵前の水門、本所の百本杭、代地の料理屋の桟橋、橋場の別荘の石垣、あるいはまた小松島、鐘ヶ淵、綾瀬川なぞの蘆の茂りの蔭に舟をつないで、代数や幾何・・・<永井荷風「夏の町」青空文庫>
  10. ・・・「御勉強で御忙しいでしょうが今度の土曜ぐらいは御閑でいらっしゃいましょう」とだんだん切り込んでくる、余が「しかし……」の後には必ずしも多忙が来ると限っておらない、自分ながら何のための「しかし」だかまだ判然せざるうちにこう先を越されてはいよい・・・<夏目漱石「自転車日記」青空文庫>
  11. ・・・もっとも別に疎遠になったというわけではない、日曜や土曜もしくは平日でさえ気に向いた時はやって来て長く遊んでいった。元来が鷹揚なたちで、素直に男らしく打ちくつろいでいるようにみえるのが、持って生まれたこの人の得であった。それで自分も妻もはなは・・・<夏目漱石「手紙」青空文庫>
  12. ・・・もし時間があると思わなければ、また時間を計る数と云うものがなければ、土曜に演説を受け合って日曜に来るかも知れない。御互の損になります。空間があると心得なければ、また空間を計る数と云うものがなければ、電車を避ける事もできず、二階から下りる事も・・・<夏目漱石「文芸の哲学的基礎」青空文庫>
  13. ・・・明る土曜はまず平常の通りで、次が「イースター・サンデー」また買物を禁制される。翌日になってもう大丈夫と思うと、今度は「イースター・モンデー」だというのでまた店をとじる。火曜になってようやくもとに復する例である。内の夫婦は御祭中田舎の妻君の里・・・<夏目漱石「倫敦消息」青空文庫>
  14. ・・・ ――今日は土曜じゃないか、それにどうして午後面会を許すんだろう。誰が来てるんだろう。二人だけは分ったが、演説をやったのは誰だったろう。それにしても、もう夕食になろうとするのに、何だって今日は面会を許すんだろう。 私は堪らなく待ち遠・・・<葉山嘉樹「牢獄の半日」青空文庫>
  15. ・・・  二十八日 静かな夜、Grant's tomb の廻りを幾度も幾度も歩きながら、結婚生活に就て話し、ファシールで茶をのみ、三月  一日 土曜、ブァン コーランドに行く。明い晴れた風の吹く日、三月  三日 三井物産の人達が御飯に・・・<宮本百合子「「黄銅時代」創作メモ」青空文庫>
  16. ・・・大きくなってこんな土曜の夜を思い出したらどんなに懐かしいでしょうね。私はひどく感興を覚え、こっち側からのぞいて「極楽極楽」とほめてやりました。 今日は色々嬉しいのよ。天気がよすぎて私の眼はまくまくで、一入ものがみえないけれど、起きたらお・・・<宮本百合子「獄中への手紙」青空文庫>
  17.  土曜・日曜でないので、食堂は寧ろがらあきであった。我々のところから斜彼方に、一組英国人の家族が静に食事している。あと二三組隅々に散らばって見えるぎりだ。涼しい夏の夜を白服の給仕が、食器棚の鏡にメロンが映っている前に、閑散そ・・・<宮本百合子「三鞭酒」青空文庫>
  18. ・・・母「だってすえ子はもう土曜にかえしてあったじゃあありませんか」「ハハハハ本当にそうだったな」私「一寸お忘れになったのね、そのとき」「ふーうむ」 これは母コウヅに女中ととまり かえって、その日帝劇で父と会ったとき、父上の話・・・<宮本百合子「一九二五年より一九二七年一月まで」青空文庫>
  19.  九月一日、土曜 私共は、福井に八月一日より居、その日、自分は二階、Aは階下で勉強中。十二時一二分すぎ、ひどい上下動があった。自分はおどろき立ち上ったが二階を降るのが不安なほど故、やや鎮るのを待って降りる。あまり日でりが・・・<宮本百合子「大正十二年九月一日よりの東京・横浜間大震火災についての記録」青空文庫>
  20. ・・・ 土曜日は、一週間の買い入れ日です。あちらでは、日曜日は一般に全くの休日で、八百屋から肉屋、文房具屋まで店を閉じてしまいます。それ故、日曜日、次の月曜に入用なものは勿論、買いものは出来る丈この日に纏め、下町の、それぞれで名を売っているよ・・・<宮本百合子「男女交際より家庭生活へ」青空文庫>
  21. ・・・ 毎週土曜に町まで通って、活花を習って居るのが流石はとうなずかせる。そんな時、主人は学校からかえって来て、南金錠を自分であけて雨戸を引きあけ細君の置いて行った膳に向って長い事かかって昼飯をするのである。 毛むくじゃって云っても、ああ・・・<宮本百合子「農村」青空文庫>
  22. ・・・ 毎土曜の午後、多喜子は洋裁の稽古をしているのであった。「狸穴からだから、途中にかかるのよ」「きょう、お宅は? やっぱりおそいの?」「夕飯まで図書館へまわって来るんですって。この頃あのひと一生懸命だわ、呼ばれないうちにせめて・・・<宮本百合子「二人いるとき」青空文庫>
  23. ・・・国立出版所の机の前で働くかと思うと、「土曜労働」でジャガ薯掘りをやりながら、フォルシュは四度キエフ市の政権が代るのを見た。反革命の白軍が南方ロシアの旧い美しい都市であるキエフを占領する。赤軍が逆襲して、市ソヴェトに赤旗が翻ったかと思うと、チ・・・<宮本百合子「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」青空文庫>
  24. ・・・ 悪態、罵声、悪意が渦巻き、子供までその憎悪の中に生きた分け前を受ける苦しい毎日なのであるが、その裡で更にゴーリキイを立腹させたのは、土曜日毎に行われる祖父の子供等に対する仕置であった。鋭い緑色の目をした祖父は一つの行事として男の子達を・・・<宮本百合子「マクシム・ゴーリキイの伝記」青空文庫>
  25. ・・・―― 或土曜日。天気のよい日であった。Aが出がけに、一時頃、須田町で会って銀座を歩こうと云って行った。その積りで起きて見ると、卓子の上に、学習院の門衛からの葉書がのって居る。 青山北町四丁目に一軒ある。見たらどうかと云うのである。・・・<宮本百合子「又、家」青空文庫>
  26. ・・・あらゆる悪態、罵声、悪意が渦巻くような苦しい毎日なのであるが、その裡でゴーリキイを更に立腹させたのは、土曜日毎に行われる祖父の子供らに対する仕置であった。祖父は一つの行事として男の子供らを裸にし、台所のベンチへうつ伏せに臥かせ、樺の鞭でその・・・<宮本百合子「逝けるマクシム・ゴーリキイ」青空文庫>
  27. ・・・などという声が聞えた。土曜から日曜にかけては、男の児が遊びに来た。尺八を吹く男の人も来たし、犬も来る。賑やかなのは一時で、然しじきもとの独り住みの静けさに戻る。ダリアの盛りの頃、私共はその若い女の人から一束の美しい花を貰った。夜にでもな・・・<宮本百合子「蓮花図」青空文庫>
  28. ・・・ここから土曜日の午後、一紳士が茶を飲んでいるのが見えたのである。絨毯が敷いてあるから足音がしなかった。今誰もいないがやがてここで茶を飲むであろう人間のために純白の布をかけたテーブルの上に八人分の仕度がしてあった。匙やナイフは銀色に光った。菓・・・<宮本百合子「ロンドン一九二九年」青空文庫>
  29. ・・・ 天気の好い土曜、日曜などには、私はF君を連れて散歩をした。狭い小倉の町は、端から端まで歩いても歩き足らぬので、海岸を大里まで往ったり、汽車に乗って香椎の方へ往ったりした。格別読む暇もないのに、君はいつも隠しにドイツの本を入れて歩く。G・・・<森鴎外「二人の友」青空文庫>