どよう‐び〔ドエウ‐〕【土曜日】例文一覧 30件

  1. ・・・ 翌日は、土曜日で、二郎さんも早く学校から帰ってきました。そして、みんなが、お縁側で話をしていました。「うちのゆりは、やまゆりだろう。あの種子はどうしたのだろうね。」 二郎さんは日の光に、銀色にかがやいているゆりを見ていいました・・・<小川未明「黒いちょうとお母さん」青空文庫>
  2.  土曜日の晩でありました。 お兄さんも、お姉さんも、お母さんも、食卓のまわりで、いろいろのお話をして、笑っていらしたときに、いちばん小さい政ちゃんが、「ぼく、きょうペスを見たよ。」と、ふいに、いいました。 すると、みんなは、・・・<小川未明「ペスをさがしに」青空文庫>
  3. ・・・ 七つの落ち葉の山、六つまで焼きて土曜日の夜はただ一つを余しぬ。この一つより立つ煙ほそぼそと天にのぼれば、淡紅色の霞につつまれて乙女の星先に立ち静かに庭に下れり。詩人が庭のたき火も今夜をかぎりなれば残り惜しく二人は語り、さて帰るさ、庭の・・・<国木田独歩「星」青空文庫>
  4. ・・・即ち月曜日には孟子、火曜日には詩経、水曜日には大学、木曜日には文章規範、金曜日には何、土曜日には何というようになって居るので、易いものは学力の低い人達の為、むずかしいものは学力の発達して居るもののためという理窟なのです。それで順番に各自が宛・・・<幸田露伴「学生時代」青空文庫>
  5. ・・・その日は土曜日で、新宿は人が出ていた。俺はその雑踏の無数の顔のなかゝら、誰か仲間のものが一人でも歩いていないかと、探がした。だが、自動車はゴー、ゴーと響きかえるガードの下をくゞって、もはや淀橋へ出て行っていた。 前から来るのを、のんびり・・・<小林多喜二「独房」青空文庫>
  6. ・・・彼は汽車の時間をきめ、停車場で待つことにして帰った。土曜日彼はさしあたり必要のない冬服を質屋に持ってゆき、本を売った。それで金の方は間に合った。次の日停車場へ行った。天気なので、どこかへ出かける人でいっぱいだった。龍介は落ちつかない気持で待・・・<小林多喜二「雪の夜」青空文庫>
  7. ・・・私、十九歳より二十三歳まで、四年間土曜日ごとに逢っていたが、私はいちども、まじわりをしなかった。けれども、肉親たちは、私を知らない。よそに嫁いで居る姉が、私の一度ならず二度三度の醜態のために、その嫁いで居る家のものたちに顔むけができずに夜々・・・<太宰治「虚構の春」青空文庫>
  8. ・・・その日は土曜日で、朝からよく晴れていた。私はフランス叙情詩の講義を聞きおえて、真昼頃、梅は咲いたか桜はまだかいな。たったいま教ったばかりのフランスの叙情詩とは打って変ったかかる無学な文句に、勝手なふしをつけて繰りかえし繰りかえし口ずさみなが・・・<太宰治「ダス・ゲマイネ」青空文庫>
  9. ・・・ 谷中の寺の下宿はこの上もなく暗く陰気な生活であった。土曜日に尾張町へ泊まりに行くと明るくて暖かでにぎやか過ぎて神経が疲れたが、谷中へ帰るとまた暗く、寒く、どうかすると寒の雨降る夜中ごろにみかん箱のようなものに赤ん坊のなきがらを収めたさ・・・<寺田寅彦「銀座アルプス」青空文庫>
  10. ・・・「では宿題帳はこの次の土曜日に直して渡しますから、きょう持って来なかった人は、あしたきっと忘れないで持って来てください。それは悦治さんと勇治さんと良作さんとですね。ではきょうはここまでです。あしたからちゃんといつものとおりのしたくをして・・・<宮沢賢治「風の又三郎」青空文庫>
  11. ・・・ そこで土曜日に私は藤原慶次郎にその話をしました。そして誰にもその場所をはなさないなら一緒に行こうと相談しました。すると慶次郎はまるでよろこんで言いました。「楢渡なら方向はちゃんとわかっているよ。あすこでしばらく木炭を焼いていたのだ・・・<宮沢賢治「谷」青空文庫>
  12.  おかしなはがきが、ある土曜日の夕がた、一郎のうちにきました。かねた一郎さま 九月十九日あなたは、ごきげんよろしいほで、けっこです。あした、めんどなさいばんしますから、おいでんなさい。とびどぐもたない・・・<宮沢賢治「どんぐりと山猫」青空文庫>
  13. ・・・その時、土曜日に何処かへ行きましょうと云った。          二 土曜日は四日で、あの大暴風雨であった。六日に麹町の網野さんのところまで誘いに行った。往きに私の歯医者を紹介する約束があった。飯田橋で三時すぎYと落ち合い、・・・<宮本百合子「九月の或る日」青空文庫>
  14. ・・・「小幡には遊べないの。土曜日んなるとね私が云うのよ、貴方も疲れてるだろうから、今日は休んで寝てなさいってね。そして、私が社へ出かけて行って、主人に金下さいって云うの。小幡が病気で医者にかかるのに金がないから下さいって云うの。――その製粉・・・<宮本百合子「斯ういう気持」青空文庫>
  15. ・・・ これを書いているのは次の日のつまり土曜日の夕方です。今日は曇ってなかなかひえます。うちの近所に美味しい餅屋があるので、林町の父のために、さっきお餅を注文したところ。庭が五坪ばかりあって、椿の蕾がふくらんで、赤い山茶花が今咲いています。・・・<宮本百合子「獄中への手紙」青空文庫>
  16. ・・・先週は祝日があって、一日おきのところがすっかり飛び、土曜日は、『文学評論』の用でだめでした。どうぞあしからず御察し下さい。 差入れの本は、いたって無秩序にしか入れられないですみませんが、こちらもこの頃段々様子がわかって来ましたから次第に・・・<宮本百合子「獄中への手紙」青空文庫>
  17. ・・・ 八月二十九日 〔市ヶ谷刑務所の顕治宛 駒込林町より(十国峠、熱海峠〕 八月二十九日 土曜日。 きょうはスエ子、緑郎、紀と江井という顔ぶれで、熱海をまわって十国峠を通り、つい最近出来た強羅公園のドライブウエーを宮の下・・・<宮本百合子「獄中への手紙」青空文庫>
  18. ・・・こう書いているうち益不安になってきたが土曜日から日、月とかけててっちゃんに行ってもらってはいけないでしょうか。島田から達ちゃんにでも広島まで出てもらって、一緒に面会して品物も渡してもらったら、伝言も出来て、いいと思うけれども、それを頼んでは・・・<宮本百合子「獄中への手紙」青空文庫>
  19. ・・・第一消費組合の店は土曜日、日曜日、例えばメーデーの前日、酔っ払う可能の多い日は一切酒類を売らない。ふだんでも売る店が町の中でどこときまっていて、あとは閉められたのが多い。酒場も減った。酒場でも店でもアルコールの強い酒は売ることを許されない。・・・<宮本百合子「正月とソヴェト勤労婦人」青空文庫>
  20. ・・・ 土曜日は、一週間の買い入れ日です。あちらでは、日曜日は一般に全くの休日で、八百屋から肉屋、文房具屋まで店を閉じてしまいます。それ故、日曜日、次の月曜に入用なものは勿論、買いものは出来る丈この日に纏め、下町の、それぞれで名を売っているよ・・・<宮本百合子「男女交際より家庭生活へ」青空文庫>
  21. ・・・いかにも母親の注意が細かに行き届いた好い服装をし、口数の尠い男だが、普請は面白いと見え、土曜日の午後からふらりと来て夕方までいて行くことなどあった。母親もそうだが、この大学生にもどこか内気に人懐こいようなところがあった。草を拉いで積み重ねた・・・<宮本百合子「牡丹」青空文庫>
  22. ・・・ 悪態、罵声、悪意が渦巻き、子供までその憎悪の中に生きた分け前を受ける苦しい毎日なのであるが、その裡で更にゴーリキイを立腹させたのは、土曜日毎に行われる祖父の子供等に対する仕置であった。鋭い緑色の目をした祖父は一つの行事として男の子達を・・・<宮本百合子「マクシム・ゴーリキイの伝記」青空文庫>
  23. ・・・ 子供らは、家の中にいる時は大人の喧嘩にまき込まれ、往来での遊戯は乱暴を働くことであった。土曜日ごとに、祖父が子供らを裸にしてその背を樺の鞭で打った。これは一つの行事である。ゴーリキイはその屈辱的な仕置に抵抗して、とうとう気絶し、熱をだ・・・<宮本百合子「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」青空文庫>
  24. ・・・―― 或土曜日。天気のよい日であった。Aが出がけに、一時頃、須田町で会って銀座を歩こうと云って行った。その積りで起きて見ると、卓子の上に、学習院の門衛からの葉書がのって居る。 青山北町四丁目に一軒ある。見たらどうかと云うのである。・・・<宮本百合子「又、家」青空文庫>
  25. ・・・        四 明るい冬の日光が窓からさし込んで室内に流れた。土曜日だ。もう往来で遊んでいる子供の声が、彼等の二階まで聞えた。ダーリヤ・パヴロヴナはゆったり長い膝の上に布をたぐめて、縁とりをしている。向い側に、髪をもしゃ・・・<宮本百合子「街」青空文庫>
  26. ・・・「明日は土曜日だね」「…………」「油井さんまた来るだろうか」「さあ、知らないわ」 みのえは冷淡さで自分の感情をカムフラージした。 お清はしばらく黙って袖の丸みを縫っていたが、表へかえし、出来上りの形をつけながら独言の・・・<宮本百合子「未開な風景」青空文庫>
  27. ・・・          二 九月二十二日 土曜日 ヴォルガ河からスターリングラードへ十九日に上陸、それからウクライナの野を横切って、こちらで有名な温泉のあるキスロボードスク、ピヤチゴルスクに一晩ずつ泊りました。コーカサスに近・・・<宮本百合子「ロシアの旅より」青空文庫>
  28. ・・・ここから土曜日の午後、一紳士が茶を飲んでいるのが見えたのである。絨毯が敷いてあるから足音がしなかった。今誰もいないがやがてここで茶を飲むであろう人間のために純白の布をかけたテーブルの上に八人分の仕度がしてあった。匙やナイフは銀色に光った。菓・・・<宮本百合子「ロンドン一九二九年」青空文庫>
  29. ・・・丁度土曜日なので、花房は泊り掛けに父の家へ来て、診察室の西南に新しく建て増した亜鉛葺の調剤室と、その向うに古い棗の木の下に建ててある同じ亜鉛葺の車小屋との間の一坪ばかりの土地に、その年沢山実のなった錦茘支の蔓の枯れているのをむしっていた。・・・<森鴎外「カズイスチカ」青空文庫>
  30. ・・・ちょうど土曜日で雨が降っていた。ツァウォツキイは今一人の破落戸とヘルミイネンウェヒの裏の溝端で骨牌をしていた。そのうち暗くなって骨牌が見分けられないようになった。それに雨に濡れて骨牌の色刷の絵までがにじんでぼやけて来た。無論相手の破落戸はそ・・・<著:モルナールフェレンツ 訳:森鴎外「破落戸の昇天」青空文庫>