ない‐ざい【内在】例文一覧 28件

  1. ・・・だから前回に述べたような現実の心づかいは実にやむを得ない制約なので、恋愛の思想――生粋精華はどこまでも恋愛の法則そのものに内在しているのだ。だからかわいたしみったれた考えを起こさずに、恋する以上は霞の靉靆としているような、梵鐘の鳴っているよ・・・<倉田百三「女性の諸問題」青空文庫>
  2. ・・・律動は本来時間的のものであって時間的に週期的な現象がわれわれ人間に生理的および心理的に内在する律動感に共鳴する現象である。空間的のリズムは、これから導出された第二次的のものであって、目が空間を探り歩く運動によってはじめて時間的なリズムに翻訳・・・<寺田寅彦「映画芸術」青空文庫>
  3. ・・・それはそれとしても、ともかくも気象変化の週期性に反応し、あるいは共鳴するだけの週期性が内在するのでなければこういう現象は起こらないのではないかと考えられる。 岩塩の縞の数から沈積期間の年代の推算をした人もあるが、これにも多くの疑問が残さ・・・<寺田寅彦「自然界の縞模様」青空文庫>
  4. ・・・ 器物の美にはもちろんそれ自身に内在する美があるには相違ないが、それを充分に発揮させるためにはその器物の用と相関連したモンタージュの把握が必要ではないかと考えるのである。 赤楽の茶わんもトマトスープでも入れられては困るであろう。・・・<寺田寅彦「青磁のモンタージュ」青空文庫>
  5. ・・・大きな炎をあげて燃え上がるべき燃料は始めから内在しているのである。これに反してたとえば昔の漢学の先生のうちのある型の人々の頭はいわば鉄筋コンクリートでできた明き倉庫のようなものであったかもしれない。そうしてその中に集積される材料にはことごと・・・<寺田寅彦「読書の今昔」青空文庫>
  6. ・・・少なくもある点までは新聞の社会記事というもの自身に本質的に内在する元来無理な要求から来る自然の結果であるかもしれない。その上にかてて加えて往々記者の認識不足が不合理の上に不自然の上塗りをするのであろう。 映画の場合においてもカメラを向け・・・<寺田寅彦「ニュース映画と新聞記事」青空文庫>
  7. ・・・それには、この詩形が国語を構成する要素としての語句の律動の、最小公倍数とか、最大公約数とかいったようなものになるという、そういう本質的内在的な理由もあったであろうが、また一方では、はじめはただ各個人の主観的詠嘆の表現であったものが、後に宮廷・・・<寺田寅彦「俳句の型式とその進化」青空文庫>
  8. ・・・そうだとすれば、これだけの強勢な伝播と感染の能力を享有する七五の定数にはやはりそうなるだけの内在的理由があると考えるよりほかに道はないであろうと思われる。 要するに七五の定数律は人のこしらえたものではなくて、ひとりで生まれひとりで生長し・・・<寺田寅彦「俳句の精神」青空文庫>
  9. ・・・そういう外部の物理的化学的条件だけではなくて、もっと大切な各樹個体に内在する条件があるのではないかと素人考えにも想像されるのであった。もちろん生物学をよく知らない自分にはほんとうのことはわからない。 この銀杏でもプラタヌスでも、やはり一・・・<寺田寅彦「破片」青空文庫>
  10. ・・・換言すればその詩を味わう読者各自の能知に内在する、その原型の模型にどれだけ照応するかの程度によって各評価者の価値判断が極るのであろう。 以上のごとき立場から見てこれと反対な位置にあるものは、色々の事実や事件の平坦な叙述的描写を主調とした・・・<寺田寅彦「文学の中の科学的要素」青空文庫>
  11. ・・・前者は与えられた一つのものに内在する有機的構造を分析展開して見せるに対して、後者は与えられた離れ離れの材料からそれによって合成されうべき可能の圏内に独創機能を働かせて建築を構成し綾錦を織り成すものだとも言われないことはないのである。こういう・・・<寺田寅彦「連句雑俎」青空文庫>
  12. ・・・日本精神の真髄は、何処までも超越的なるものが内在的、内在的なるものが超越的と云うことにあるのである。八紘為宇の世界的世界形成の原理は内に於て君臣一体、万民翼賛の原理である。我国体を家族的国家と云っても、単に家族主義的と考えてはならない。何処・・・<西田幾多郎「世界新秩序の原理」青空文庫>
  13. ・・・かかる矛盾的自己同一の形式によって、我々の自己の自覚的存在が考えられるのである。世界の内にあるとともに、いつも世界を越えている。かかる内在即超越、超越即内在の形式によって、一度的なる唯一的自己、歴史的自己というものが考えられるのである。自覚・・・<西田幾多郎「デカルト哲学について」青空文庫>
  14. ・・・の美しさから思いめぐらしても、音楽にある民族的な特性というものを、音楽の外からの解釈や説明でつけ加えても、それが芸術音楽としての内在的な充実感となって来ないということは、しみじみわかる。そしてまた、音そのものの記号の上にだけ民族的特徴をとら・・・<宮本百合子「音楽の民族性と諷刺」青空文庫>
  15. ・・・作家が現実に居直ることと常識に居坐ることとの差は必ず読者の在りようを作家にとって内在的に変えるばかりでなく、照りかえしてゆくものと思う。〔一九四〇年五月〕<宮本百合子「今日の読者の性格」青空文庫>
  16. ・・・ていること等は、創作方法におけるリアリズムの理解にあたって、文学は文学そのものとして常に進歩的であるとするような非現実な見解と相合して、日本に流れ入った新しきヒューマニズムの文学的発展の根蔕をむしばむ内在的な要素であったのである。 不幸・・・<宮本百合子「今日の文学の展望」青空文庫>
  17. ・・・が、主観的な教養に育ってきたおびただしい理性は、各人のその屈辱的立場を自分にとって納得させやすくするために、暴力に屈して屈しない知性の高貴性や、内在的自我の評価或はシニシズムにすがって、現実の市民的態度では、いちように「大人気ない抵抗」を放・・・<宮本百合子「世紀の「分別」」青空文庫>
  18. ・・・ソヴェト作家シーモノフは、このアメリカの巨大な有機体のなかに入って、自身の社会主義的自覚を、自身の人間的内在性すべての亢奮をとおし、自然発生の諸眩惑と誘惑とをとおして、対決させないわけにはゆかない。自身の理性の最大を働かすだけの刺戟をうける・・・<宮本百合子「政治と作家の現実」青空文庫>
  19. ・・・言ってみれば、二つの極端にちがったものが気質的に内在していて、それを統一している力が、あの絵を描かせているというような感じです。あの絵は、何か一つの力で統率されているけれども、あれが割れたら、どんな人間性と芸術性があるのでしょう。絵の批評と・・・<宮本百合子「第一回日本アンデパンダン展批評」青空文庫>
  20. ・・・それと同様に、すべての内在的原因を自覚し得ない彼女は、ただ衝突する周囲の者を見、自分の延そうとする手を否応なしに折り曲げさせようとするもののみを感じたのである。四 ―月―日「真面目であれと云われる。それだのにほんとの真面・・・<宮本百合子「地は饒なり」青空文庫>
  21. ・・・世界文学は、プロレタリア文学運動が文学作品の価値評価を主観的な内在的な評価のよりどころから解放して、もっと客観的な社会的な外在的なものにしたことではじめて本質的飛躍をとげました。日本では、この文芸批評の正当な伝統が戦争によっておそろしく中断・・・<宮本百合子「討論に即しての感想」青空文庫>
  22. ・・・シルレルは、バルザックの芸術についてエンゲルスの言ったリアリズムとは、「資本主義的発展の内在的矛盾を――それが一般にブルジョア的創作方法に可能である限りにおいて、というのは、ブルジョア的リアリズムは究極において観念的なものになるからだ――解・・・<宮本百合子「バルザックに対する評価」青空文庫>
  23. ・・・其人の圏境、その人の持って生れて来たに違いない内在力などが、明に頭に考えられるより先に、自他を混同した我等の不安、混迷になってしまうのである。 人は、忽ちその一事実の上に絶対価値批判を組立てようとする。或る概論の実証とし、また反証としよ・・・<宮本百合子「深く静に各自の路を見出せ」青空文庫>
  24. ・・・ 奉天にパチパチの起ったことについて日本帝国主義に内在する経済的・政治的理由も眼中に入れていない。彼は無智な軍用ペンをふるって、ブルジョア異国趣味から狂気的民族主義へ飛躍しているのだ。 この実例だけでも、ブルジョア文学の領域内で、異・・・<宮本百合子「プロレタリア文学における国際的主題について」青空文庫>
  25. ・・・が作家との間にもっている内在的関係も云わば複雑怪奇ならざるを得ない点もある。若しその内在的なものを肯定するとすれば、そのように人生的な意味では既に現代らしくディフォーメイションしたものとしてあらわれている「嫌な奴」の存在を、文学として、即ち・・・<宮本百合子「文学のディフォーメイションに就て」青空文庫>
  26. ・・・一人一人の批評する人が、てんでのうけとりかたばかりに立って、内在的な心理や感受性にしたがって感想をのべ、注文するのであったから。 プロレタリア文学運動の初期に、平林初之輔によって外在批評の提唱がされ、だんだん客観的・科学的な評価の基準が・・・<宮本百合子「両輪」青空文庫>
  27. ・・・彼らに内在するあらゆる自然発生的中流的素質は、老大国の首府に暮すうち数等政治的年功を積み、実利主義によってきたえられたイギリス中流的秩序によって言語とともに整理される。英国人の他人種に馴れる馴れ方はフランス人の馴れ方と違う。英国人が或他人種・・・<宮本百合子「ロンドン一九二九年」青空文庫>
  28. ・・・ またたとえそれを一つの態度として許しても、そこには内在的な批評の余地があろうと思う。すなわち彼らは果たしてその態度を徹底させているか。もしくは徹底させようという要求に燃えているか。――私は思うに、彼ら日本 Aesthet の危険は、A・・・<和辻哲郎「転向」青空文庫>