ない‐みつ【内密】例文一覧 9件

  1. ・・・きっと何だろう、店先へ買物にでも来たような風をして、親方の気のつかねえように、何かボソボソお上さんと内密話をしちゃ、帰って行くんだろう。なあ、どうだ三公、当ったろう?」 小僧は怪訝な顔をして、「俺はそんなとこを見たことはねえよ。だって、・・・<小栗風葉「深川女房」青空文庫>
  2. ・・・なるほど二人は内密話しながら露繁き田道をたどりしやも知れねど吉次がこのごろの胸はそれどころにあらず、軍夫となりてかの地に渡り一かせぎ大きくもうけて帰り、同じ油を売るならば資本をおろして一構えの店を出したき心願、少し偏屈な男ゆえかかる場合に相・・・<国木田独歩「置土産」青空文庫>
  3. ・・・まアザッとこんな苦しいわけで……けれどつかい込みの一件は、ごく内密にお願いします」と言って立ち上がり、石井翁が何も言い得ぬうちに、河田翁は辞儀をペコペコして去ってしまった。 石井翁は取り残されて茫然と河田翁の後ろ姿を見送っていた。 ・・・<国木田独歩「二老人」青空文庫>
  4. ・・・夏は、対岸から、踵の高い女の白靴や、桜色に光沢を放っている、すき通るような薄い絹の靴下や、竹の骨を割った日傘が、舟で内密で持ちこまれてくる。ここは、流れが最も緩慢であった。そして、対岸の河岸が、三十メートル突きだして、ゆるく曲線を描いている・・・<黒島伝治「国境」青空文庫>
  5. ・・・だがそれを内密にすましてその男は処罰されることからは免れた。しかし、その代りとして、四年兵になるまで残しておかれるだろうとは、自他ともに覚悟をしていた。 だが、その男も、帰還者の一人として、はっきり記されてあった。 そして、残される・・・<黒島伝治「雪のシベリア」青空文庫>
  6. ・・・sens intime[内奥感、内密感、内親感]としてメーン・ドゥ・ビランの哲学を構成し、遂にベルグソンの純粋持続にまで到ったと考えることができる。メーン・ドゥ・ビランはパスカルが賞讚するといった ceux qui cherchent en・・・<西田幾多郎「フランス哲学についての感想」青空文庫>
  7. ・・・と怒鳴るというウソ、人にそんなことを云うだけ 横田をやめさせろと云いつつ横田には内密で、成人教育をやらせる。〔欄外に〕 いたちごっこ 竹中は竹内を精神欠カンがあると云い、竹中をモヤは道徳的欠カンがあると云い、そのもやを、・・・<宮本百合子「一九二七年春より」青空文庫>
  8. ・・・けれども、凝っと脈搏に注意したり息の音にきき入っていると、祖母はこれまでの祖母とはまるで違い、ひっそりした内密の魂の何処かで、いそがず綿密に何かの準備をしている人のように思えた。手落ちない、この世の最後の仕度にとりかかっているような。傍の私・・・<宮本百合子「祖母のために」青空文庫>
  9. ・・・「ねえ笹原さん、 私達が今日はお互に初めて会ったって云うんでどっか内密なものを抱えて考え考え口をきいてますけど、若し三年も四年も御つき合して居てその時に今日の事を考えて見ればきっと何となくふき出したくなる気持がしましょうね。・・・<宮本百合子「千世子(三)」青空文庫>