ながい〔ながゐ〕【永井】例文一覧 30件

  1. ・・・ほら、八幡前に永井って本屋があるでしょう? あすこの女の子が轢かれる所だったんです。」「その子供は助かったんだね?」「ええ、あすこに泣いているのがそうです。」「あすこ」というのは踏切りの向う側にいる人だかりだった。なるほど、そこ・・・<芥川竜之介「寒さ」青空文庫>
  2. ・・・水泳協会に通ったのは作家の中では僕ばかりではない。永井荷風氏や谷崎潤一郎氏もやはりそこへ通ったはずである。当時は水泳協会も芦の茂った中洲から安田の屋敷前へ移っていた。僕はそこへ二、三人の同級の友達と通って行った。清水昌彦もその一人だった。・・・<芥川竜之介「追憶」青空文庫>
  3. ・・・部屋は根津界隈を見晴らす二階、永井荷風氏の日和下駄に書かれたると同じ部屋にあらずやと思う。その頃の先生は面の色日に焼け、如何にも軍人らしき心地したれど、謹厳などと云う堅苦しさは覚えず。英雄崇拝の念に充ち満ちたる我等には、快活なる先生とのみ思・・・<芥川竜之介「森先生」青空文庫>
  4. ・・・ それと同じでんで、大阪を書くということは、例えば永井荷風や久保田万太郎が東京を愛して東京を書いているように、大阪の情緒を香りの高い珈琲を味うごとく味いながら、ありし日の青春を刺戟する点に、たのしみも喜びもあるのだ。かつて私はそうして来・・・<織田作之助「大阪の憂鬱」青空文庫>
  5. ・・・は永井龍男氏の世話で「文学界」にのり、五作目の「夫婦善哉」が文芸推薦になった。 こんなことなれば、もっと早く小説を書いて置けばよかったと、現金に考えた。八年も劇を勉強して純粋戯曲論などに凝っている間に、小説を勉強して置けばよかったと、私・・・<織田作之助「わが文学修業」青空文庫>
  6. ・・・ 右の踏みならされた細道を進んでいる永井がその時、低声に云った。ロシアの女を引っかけるのに特別な手腕を持っている永井の声はいくらか笑を含んでいた。 栗本は、永井が銃をさし出した方を見た。 靄に蔽われて、丘の斜面に木造の農家が二軒・・・<黒島伝治「パルチザン・ウォルコフ」青空文庫>
  7. ・・・コールド・ウォー  田島は、しかし、永井キヌ子に投じた資本が、惜しくてならぬ。こんな、割の合わぬ商売をした事が無い。何とかして、彼女を利用し活用し、モトをとらなければ、ウソだ。しかし、あの怪力、あの大食い、あの強慾。 あ・・・<太宰治「グッド・バイ」青空文庫>
  8. ・・・きのう永井荷風という日本の老大家の小説集を読んでいたら、その中に、「下々の手前達が兎や角と御政事向の事を取沙汰致すわけでは御座いませんが、先生、昔から唐土の世には天下太平の兆には綺麗な鳳凰とかいう鳥が舞い下ると申します。然し当節のように・・・<太宰治「三月三十日」青空文庫>
  9. ・・・浪花ぶし語りみたい仙台平の袴をつけた深水の演説のつぎに、チョッキの胸に金ぐさりをからませた高坂が演壇にでて、永井柳太郎ばりの大アクセントで、彼の十八番である普通選挙のことをしゃべると、ガランとした会場がよけいめだった。演壇のまわりを、組合員・・・<徳永直「白い道」青空文庫>
  10. ・・・然るにこの度は正宗君が『中央公論』四月号に『永井荷風論』と題する長文を掲載せられた。 わたくしは二家の批評を読んで何事よりもまず感謝の情を禁じ得なかった。これは虚礼の辞ではない。十年前であったなら、さほどまでにうれしいとは思わなかったか・・・<永井荷風「正宗谷崎両氏の批評に答う」青空文庫>
  11. ・・・や、永井隆の「ロザリオの鎖」「長崎の鐘」などがさき頃のベスト・セラーズでした。日配の統計の純文学では「細雪」が第一位です。わたしたちはここでもやっぱり客観的でなくてはいけないと思います。前に、日本の新しいファシズムの一つの現れとして、ルポル・・・<宮本百合子「新しい抵抗について」青空文庫>
  12. ・・・日本資本主義高揚期であった明治末及び大正時代に活動しはじめた永井荷風、志賀直哉、芥川龍之介、菊池寛、谷崎潤一郎その他の作家たちは、丁度それぞれの段階での活動期を終ったときだった。これらの作家たちは無産階級運動とその芸術運動の擡頭しはじめた日・・・<宮本百合子「あとがき(『宮本百合子選集』第六巻)」青空文庫>
  13. ・・・何故なら、作家野上彌生子の年齢的同時代としては、谷崎潤一郎だの平塚らいてうだの、僅六歳の年長者として永井荷風等があり、それらの人々の生活内容と作品とは、あなたとは全く別様のものです。あなたのように若いジェネレーションの息吹きがその作品の内に・・・<宮本百合子「含蓄ある歳月」青空文庫>
  14. ・・・政治と文化とを一貫して、世相を押しきったこのような潮流は、一九四九年度の毎日文化賞の準備調査、読売新聞社の良書ベスト・テンの調査などで、諸々批判のおこっている永井ものがトップをしめ、「宮本武蔵」や「親鸞」「風とともに去りぬ」「細雪」「流れる・・・<宮本百合子「五〇年代の文学とそこにある問題」青空文庫>
  15. ・・・参議院の考査委員会は、永井隆氏を表彰しようという案を発表したが、六月十二日、七月三日の週刊朝日は、カソリック教徒であるこのひとの四つの著書が、それぞれにちがった筆者であるというようにいっている。 記録文学のあるものは、クラブチェンコの「・・・<宮本百合子「ことの真実」青空文庫>
  16. ・・・私たちの目の前にある近代古典と云うべき作品の多くはこれらの時期に書かれたものであるし、古典的な権威として今日或る意味で価値ある文学上の存在をつづけている作家たち、例えば島崎藤村、徳田秋声、谷崎潤一郎、永井荷風、志賀直哉、武者小路実篤等は、い・・・<宮本百合子「今日の文学と文学賞」青空文庫>
  17. ・・・谷崎潤一郎、永井荷風、佐藤春夫等の作家は彼等の古典文学の教養を土台として例えば「盲目物語」「春琴抄」「つゆのあとさき」等の作品を示し、文芸復興はさながらブルジョア老大家の復興であるかの如き外観を呈した。当時にあっては、佐藤春夫は芸術の技法の・・・<宮本百合子「今日の文学の鳥瞰図」青空文庫>
  18. ・・・後篇を中央公論に連載しつつあった。永井荷風は往年の花柳小説を女給生活の描写にうつした「ひかげの花」をもって、谷崎潤一郎は「春琴抄」を、徳田秋声、上司小剣等の作家も久しぶりにそれぞれその人らしい作品を示した。そして当時「ひかげの花」に対して与・・・<宮本百合子「今日の文学の展望」青空文庫>
  19. ・・・わたしたちは、一九四九年度の毎日文化賞のための世論調査の結果として、第一位が長崎の永井隆「この子をのこして」であり、第何位かに吉川英治を見出したのであったから。しかし、この一つの事実は、その事実が結論されて来るまでの条件として他のもう一つの・・・<宮本百合子「しかし昔にはかえらない」青空文庫>
  20. ・・・この時期に現れた永井荷風の「ひかげの花」谷崎潤一郎の「春琴抄」等が与えられた称讚の性質も見遁せないものを持っている。先に文芸復興の声と共に流行した古典の研究、明治文学の見直し等が、正当な方法を否定していたために、新しい作家の新しい文学創造の・・・<宮本百合子「昭和の十四年間」青空文庫>
  21. ・・・ 世界の国々ではどこでも、婦人の政治的な成長の第一歩が常に公民権の獲得からはじめられていることは周知のとおりである。永井享氏の「婦人問題研究」によると、イギリスでは一八六九年に女子に公民権を認められ一九一八年の人民代表法で三十歳以上の婦・・・<宮本百合子「女性の歴史の七十四年」青空文庫>
  22. ・・・その洋画や飾棚が、向島へ引移る時、永井と云う悪執事にちょろまかされたが、その永井も数年後、何者かに浅草で殺された事など、まさ子は悠り、楽しそうに語った。向島時代は、なほ子も聞いた話が多かった。それから、昌太郎が外国へ行った前後の話。――母の・・・<宮本百合子「白い蚊帳」青空文庫>
  23. ・・・そこでその手が血に染んでいないことだけはたしかな永井荷風の作品、谷崎潤一郎の作品などが、当時の営利雑誌に氾濫し、ある意味で今日デカダンティズム流行の素地をつくった。そして、戦争の永い年月、人間らしい自主的な判断による生きかたや、趣味の独立を・・・<宮本百合子「政治と作家の現実」青空文庫>
  24. ・・・を『中央公論』に連載中の島崎藤村はもちろん、永井荷風、徳田秋声、近松秋江、上司小剣、宮地嘉六などの諸氏が、ジャーナリズムの上に返り咲いたことである。 このことは、ブルジョア文学の動きの上に微妙な影響を与えたばかりでなく「ナルプ」解散後の・・・<宮本百合子「一九三四年度におけるブルジョア文学の動向」青空文庫>
  25. ・・・ この足さぐりの時期には、戦争遂行に協力した作家たちは作品発表をせず、ジャーナリズム自身の存在安定のためにも、執筆依頼はひかえておくという工合でした。永井荷風がある時期にあのような作品を続々と発表したということには、日本の現代文学の深い・・・<宮本百合子「一九四六年の文壇」青空文庫>
  26. ・・・ 内田巖さんのお母さんを描かれた二枚の肖像、永井潔さんの蔵原さんの肖像と男の像、なにか印象にのこります。一口で言いきれないものが残されているのです。 内田さんという方は、作家からみれば、何か複雑な内部構成をもっている方だと感じま・・・<宮本百合子「第一回日本アンデパンダン展批評」青空文庫>
  27. ・・・ 一九四六年の一月、久しぶりで再発足したいくつかの商業雑誌がこぞって永井荷風の「浮沈」「踊子」「問わずがたり」などをのせ、ひきつづいて正宗白鳥、宇野浩二、志賀直哉などの作品をあらそって載せた現象は、日本の悲劇の一面をあらわした。商業雑誌・・・<宮本百合子「婦人作家」青空文庫>
  28. ・・・ 酉の下刻に西丸目附徒士頭十五番組水野采女の指図で、西丸徒士目附永井亀次郎、久保田英次郎、西丸小人目附平岡唯八郎、井上又八、使之者志母谷金左衛門、伊丹長次郎、黒鍬之者四人が出張した。それに本多家、遠藤家、平岡家、鵜殿家の出役があって、先・・・<森鴎外「護持院原の敵討」青空文庫>
  29. ・・・膳部を引く頃に、大沢侍従、永井右近進、城織部の三人が、大御所のお使として出向いて来て、上の三人に具足三領、太刀三振、白銀三百枚、次の三人金僉知らに刀三腰、白銀百五十枚、上官二十六人に白銀二百枚、中官以下に鳥目五百貫を引物として贈った。 ・・・<森鴎外「佐橋甚五郎」青空文庫>
  30. ・・・田山君とか、島崎君とか、正宗君とか、それから少し後に仲間入をしたような小山内君とか、永井君とか云うような諸君でしょう。それと少し距離のある方面で働いているのは夏目君に接近している二三の人位なものでしょうか。小説以外の作品を出していられる諸君・・・<森鴎外「Resignation の説」青空文庫>