なが‐いき【長生き】例文一覧 20件

  1. ・・・「君は長生きをしそうだったがね。」「そうかしら?」「僕等はみんなそう言っていたよ。ええと、僕よりも五つ下だね、」とSは指を折って見て、「三十四か? 三十四ぐらいで死んだんじゃ、」――それきり急に黙ってしまった。 僕は格別死ん・・・<芥川竜之介「死後」青空文庫>
  2. ・・・もうちっと長生きをしていりゃ、そのうちにはおれが仕方を考えて思い知らせてやろうものを、ふしあわせだか、しあわせだか、二人ともなくなって、残ったのはおまえばかり。親身といってほかにはないから、そこでおいらが引き取って、これだけの女にしたのも、・・・<泉鏡花「夜行巡査」青空文庫>
  3. ・・・三 二葉亭は長生きしても終生煩悶の人 それなら二葉亭は旧人として小説を書くに方っても天下国家を揮廻しそうなもんだが、芸術となるとそうでない。二葉亭の対露問題は多年の深い研究とした夙昔の抱負であったし、西伯利から満洲を放浪し、・・・<内田魯庵「二葉亭追録」青空文庫>
  4. ・・・ そこであるとき、巫女を呼んで、どうしたら自分は長生きができるだろうかと問われたのであります。巫女は秘術をつくして天の神さまにうかがいをたてました。そしていいましたのには、これから海を越えて東にゆくと国がある。その国の北の方に金峰仙とい・・・<小川未明「不死の薬」青空文庫>
  5. ・・・「それにしてもおやじとしてはずいぶん命がけの決心だったのだろうからね、電報の間違いぐらい偶然でないのかもしれないが、こんな間違いがあるとかえって長生きするもんだというからそうであってくれるといいがね、おふくろなんかの場合のように、鎌倉ま・・・<葛西善蔵「父の出郷」青空文庫>
  6. ・・・「どうなるものかね、いなかにくすぼっているか、それとも死んだかも知れない、長生きをしそうもない男であった。」と法律の上田は、やはりもとのごとくきびしいことを言います。「かあいそうなことを言う、しかし実際あの男は、どことなく影が薄いよ・・・<国木田独歩「あの時分」青空文庫>
  7. ・・・手さぐりで、そろそろ這って歩いて行くより他に仕方がない。長生きしたいと思っている。 そんな情態なので、私は諸君に語るべきもの、一つも持っていない。たったひとつ、芥子粒ほどのプライドがあると、さっき書いたが、あれもいまは消し去りたい気持ち・・・<太宰治「困惑の弁」青空文庫>
  8. ・・・それから、ふっと、お母さん長生きするように、と思う。先生のモデルになっていると、へんに、つらい。くたくたに疲れた。 放課後は、お寺の娘さんのキン子さんと、こっそり、ハリウッドへ行って、髪をやってもらう。できあがったのを見ると、頼んだよう・・・<太宰治「女生徒」青空文庫>
  9. ・・・「そうして、君がいちばん長生きをするだろう。いや、僕の予言はあたるよ。君、――」「なんだい」「ここに二百円だけある。ペリカンの画が売れたのだ。佐野次郎氏と遊びたくてせっせとこれだけこしらえたのだが」「僕におくれ」「いいと・・・<太宰治「ダス・ゲマイネ」青空文庫>
  10. ・・・ 案外、長生きするのではないか。 こんな、ばかばなしをしていたのでは、きりがない。何かひとつ、実になる話でもしようかね。実になる、ならない、もへんなもので、むかし発電機の発明をして得々としていたところ、一貴婦人から、けれども博士・・・<太宰治「答案落第」青空文庫>
  11. ・・・どちらが長生きだかちょっとわからない。 これは書物で読んだことだが、樫鳥や山鳩や山鴫のような鳥類が目にも止まらぬような急速度で錯雑した樹枝の間を縫うて飛んで行くのに、決して一枚の木の葉にも翼を触れるような事はない、これは鳥の目の調節の速・・・<寺田寅彦「からすうりの花と蛾」青空文庫>
  12. ・・・どちらが長生きだかちょっと判らない。 これは書物で読んだことだが、樫鳥や山鳩や山鴫のような鳥類が目にも止まらぬような急速度で錯雑した樹枝の間を縫うて飛んで行くのに、決して一枚の木の葉にも翼を触れるような事はない。これは鳥の眼の調節の速さ・・・<寺田寅彦「烏瓜の花と蛾」青空文庫>
  13. ・・・自分もせいぜい長生きする覚悟で若い者に負けないように銀座アルプスの渓谷をよじ上ることにしたほうがよいかもしれない。そうして七十歳にでもなったらアルプスの奥の武陵の山奥に何々会館、サロン何とかいったような陽気な仙境に桃源の春を探って不老の霊泉・・・<寺田寅彦「銀座アルプス」青空文庫>
  14. ・・・それで、もしも現在の秒で測った人間の寿命が不変でいてくれればわれわれは次第に長生きになる傾向をもっているわけである。しかし人間の寿命がモーターの回転数で計られるようになることが幸か不幸かはそれはまた別問題であろう。     四 空中・・・<寺田寅彦「空想日録」青空文庫>
  15. ・・・それで、人間が非常に長生きをしたらだんだん親猿に似て来るかと思って考えてみる。西洋の絵入雑誌などに時々現われる百歳以上の婆さんなどには実際かなりに親猿のような顔をしたのもあることはある。 動物が年を取るほど高等になると仮定する。そうして・・・<寺田寅彦「猿の顔」青空文庫>
  16. ・・・ 先生が、もう少しだらしのない凡人であってくれたら、そうしたらおそらくもう少し長生きをされて、そうしてもう少し長く後進のためにもめんどうを見てくださることができ、また先生としてももう少しのどかな生涯を送られたではないかという気がすること・・・<寺田寅彦「田丸先生の追憶」青空文庫>
  17. ・・・先生が大家にならなかったら少なくももっと長生きをされたであろうという気がするのである。 いろいろな不幸のために心が重くなったときに、先生に会って話をしていると心の重荷がいつのまにか軽くなっていた。不平や煩悶のために心の暗くなった時に先生・・・<寺田寅彦「夏目漱石先生の追憶」青空文庫>
  18. ・・・たとえばハミルトンがもっと長生きをしたとか、アインシュタインが病気したとか、欧州戦争がなかったとか、そんなような事情のために、物理学の体系が現在とはいくらかでもちがった形をとることは可能ではないか、少なくもこういう疑問を起こしてみることは必・・・<寺田寅彦「物理学圏外の物理的現象」青空文庫>
  19. ・・・ 長生きが出来ていいでしょう。などとこっちの家では噂をして居る。 女中を一人と、親類の預りっ子か何か「清子」と云う十三四のが水仕事や何かはして居ると見えて、「清子、何とかをして御くれ。と奥さんが大きな声を出す・・・<宮本百合子「二十三番地」青空文庫>
  20. ・・・この本の中で益軒は智慧をつくして、男が長生きをする養生の方法を研究しているのである。熱い風呂に入るなということから、性生活にわたるまでを丁寧に教えている。そうして見れば、当時の標準で、いくらかは医学の知識も学んでいたのだろう。それにもかかわ・・・<宮本百合子「私たちの建設」青空文庫>