なが‐て【長手】例文一覧 3件

  1. ・・・この雑誌社は一月ばかり前に寄稿を依頼する長手紙をよこした。しかしこの雑誌社から発行する雑誌に憎悪と侮蔑とを感じていた彼は未だにその依頼に取り合わずにいる。ああ云う雑誌社に作品を売るのは娘を売笑婦にするのと選ぶ所はない。けれども今になって見る・・・<芥川竜之介「十円札」青空文庫>
  2. ・・・平生の知己に対して進退行蔵を公明にする態度は間然する処なく、我々後進は余り鄭重過ぎる通告に痛み入ったが、近い社員の解職は一片の葉書の通告で済まし、遠いタダの知人には頗る慇懃な自筆の長手紙を配るという処に沼南の政治家的面目が仄見える心地がする・・・<内田魯庵「三十年前の島田沼南」青空文庫>
  3. ・・・長いことお三輪が大切にしていた黒柿の長手の火鉢も、父の形見として残っていた古い箪笥もない。お三輪はその火鉢を前に、その箪笥を背後にして、どうかしてもう一度以前のような落ちついた心持に帰って見たいと願っていた。 このお三輪が震災に逢った頃・・・<島崎藤村「食堂」青空文庫>