なが‐はし【長橋】例文一覧 4件

  1. ・・・ 鞠子は霞む長橋の阿部川の橋の板を、あっちこっち、ちらちらと陽炎が遊んでいる。 時に蒼空に富士を見た。 若き娘に幸あれと、餅屋の前を通過ぎつつ、 ――若い衆、綺麗な娘さんだね、いい婿さんが持たせたいね―― ――ええ、餅屋・・・<泉鏡花「雛がたり」青空文庫>
  2. ・・・比較的新しい方の例で自分の体験の記憶に残っているのは明治三十二年八月二十八日高知市を襲ったもので、学校、病院、劇場が多数倒壊し、市の東端吸江に架した長橋青柳橋が風の力で横倒しになり、旧城天守閣の頂上の片方の鯱が吹き飛んでしまった。この新旧二・・・<寺田寅彦「颱風雑俎」青空文庫>
  3. ・・・瀬田の長橋渡る人稀に、蘆荻いたずらに風に戦ぐを見る。江心白帆の一つ二つ。浅き汀に簾様のもの立て廻せるは漁りの業なるべし。百足山昔に変らず、田原藤太の名と共にいつまでも稚き耳に響きし事は忘れざるべし。湖上の景色見飽かざる間に彦根城いつしか後に・・・<寺田寅彦「東上記」青空文庫>
  4. ・・・しかしその時には船堀や葛西村の長橋もまだ目にとまらなかった。 わたくしの頽廃した健康と、日々の雑務とは、その後十余年、重ねてこの水郷に遊ぶことを妨げていたが、昭和改元の後、五年の冬さえまた早く尽きようとするころであった。或日、深川の町は・・・<永井荷風「放水路」青空文庫>