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なごり【名残】 の意味

  1. 《「余波 (なごり) 」から》
  1. ある事柄が過ぎ去ったあとに、なおその気配や影響が残っていること。また、その気配や影響。余波 (よは) 。「台風の名残の高波」「古都の名残をとどめる」
  1. 人と別れるときに思い切れない気持ちが残ること。また、その気持ち。「尽きない名残」
  1. 物事の最後。終わり。「この世の名残」
    • 「一期 (いちご) の―ぢゃと思うて清水へ参って」〈狂言記・武悪
  1. 亡くなった人をしのぶよすがとなるもの。忘れ形見。子孫。
    • 「かの維時 (これとき) が―は、ひたすら民となりて」〈増鏡・新島守〉
  1. 病後のからだに残る影響。
    • 「いと重くわづらひ給へれど、ことなる―残らず」〈・夕顔〉
  1. 残り。残余。
    • 「弥生中の六日なれば花はいまだ―あり」〈平家・三〉
  1. 名残の折」「名残の茶」などの略。

なごり【名残】の慣用句

  1. 名残を惜しむ
    • 別れがつらく、惜しいと思う。「旅立つ友と―・む」「行く春の―・む」
  1. なごりきょうげん【名残狂言】
  1. なごりのうら【名残の裏】
    • 連歌・連句を書きつける懐紙の最後の一折の裏。百韻では最後の8句、歌仙では最後の6句を書く。名裏。
  1. なごりのおもて【名残の表】
    • 連歌・連句を書きつける懐紙の最後の一折の表。百韻では14句、歌仙では12句を書く。名表。
  1. なごりのおり【名残の折】
    • 連歌・連句を書きつける懐紙の最後の一折。百韻では4枚目、歌仙・五十韻では2枚目についていう。名残。→初折
  1. なごりのさかずき【名残の杯】
    • 別れを惜しんでくみかわす杯。別杯(べっぱい)
  1. なごりのしも【名残の霜】
    • 八十八夜のころ降りる、霜。別れ霜。忘れ霜。 春》
  1. なごりのそで【名残の袖】
    • 別れの心残りを惜しむことのたとえ。なごりのたもと。
      「さらばよ友人、―を招く尾花のほのかに見えし跡絶えて」〈謡・松虫
  1. なごりのたもと【名残の袂】
  1. なごりのちゃ【名残の茶】
    • 茶の湯で、残り少なくなった前年の古茶の名残を惜しんで、陰暦8月末日から9月にかけて催す茶会。今は、風炉から炉に移る10月中旬より下旬にかけて催す。名残の茶事。
  1. なごりのちゃじ【名残の茶事】
  1. なごりのつき【名残の月】
    • 夜明け方の空に残る月。有り明けの月。残月。
    • 《その年の最後の観月となるところから》陰暦九月十三夜の月。十三夜。後の月。 秋》
  1. なごりのなみだ【名残の涙】
    • 名残を惜しんで流す涙。別れの涙。
      「息をとぢたる眼(まなこ)にも―せきあへず」〈浄・用明天王
  1. なごりのはな【名残の花】
    • 散り残っている花。残花。多く桜をいう。
    • 連句で、名残の折の裏に詠む花。歌仙では名残の裏の5句目に花の句を詠み込む。
  1. なごりのゆき【名残の雪】
    • 春が来ても消え残っている雪。
    • 春が来てから降る雪。 春》
  • なごり【名残】の例文

    出典:青空文庫

    • ・・・ 私の友達のMと私と妹とはお名残だといって海水浴にゆくことにしました。

      有島武郎「溺れかけた兄妹」

    • ・・・在家の生活の最後の日だと思うと、さすがに名残が惜しまれて、彼女は心を凝らして化粧をした。

      有島武郎「クララの出家」

    • ・・・お納戸の袷も、萌黄と緋の板締の帯も、荒縄に色を乱して、一つも残らず、七兵衛が台所にずらりと懸って未だ雫も留まらないで、引窓から朝霧の立ち籠む中に、しとしとと落ちて、一面に朽ちた板敷を濡しているのは潮の名残

      泉鏡花「葛飾砂子」