(梵)namasの音写。南摩・納莫などとも音写敬礼 (きょうらい) ・帰命 (きみょう) と訳す》仏語。仏・菩薩 (ぼさつ) に向かって、心からの帰依を表す語。その名を呼ぶときに冠する。

[動マ四]ならぶ。連なる。
    1. 「松の木 (け) の—・みたる見れば家人 (いはびと) の我を見送ると立たりしもころ」〈・四三七五〉

[動マ下二]ならべる。ならばせる。連ねる。
    1. 「駒—・めてうち過ぎ給ふにも」〈・澪標〉

[動マ下二]な(嘗)める」の文語形。
[助動][○|○|なむ|なむ|なめ|○]《上代東国方言》動詞・動詞型活用語の終止形に付く。推量の助動詞「らむ」に同じ。→なも[助動]
  • 「国々の社の神に幣 (ぬさ) 奉り我 (あ) が恋すなむ妹 (いも) がかなしさ」〈・四三九一〉
[係助]上代の係助詞「なも」の音変化。「なん」とも》名詞、活用語の連用形・連体形、副詞助詞に付く。
  1. 上の事柄を強く示す意を表す。

    1. 「夜半 (よなか) うち過ぐるほどに—、絶えはて給ひぬる」〈桐壺

  1. 文末で)上の事柄を強く示すとともに余情を残す意を表す。…てねえ。

    1. 「ましていと憚 (はばか) り多く—」〈桐壺

[補説]中古の散文、特に会話文で多く用いられた。文中にある場合、これを受ける活用語は連体形となるのが原則である。ただし受ける語が接続助詞を伴って下に続く場合は、連体形で結ぶとは限らない。また、2のように結びが省略されることもある。同じ係助詞の「こそ」や「ぞ」に比べて語勢は弱いといわれる。
[終助]上代の終助詞「なも」の音変化》動詞型活用語の未然形に付く。他に対してあつらえ望む意を表す。…てほしい。…であってほしい。
    1. 「ま遠くの野にも逢は—心なく里のみ中に逢へる背なかも」〈・三四六三〉

連語《完了の助動詞「ぬ」の未然形+推量の助動詞「む(ん)」》
  1. 推量強調する意を表す。きっと…だろう。…にちがいない。

    1. 「世の中の憂きたびごとに身を投げば深き谷こそ浅くなり—◦め」〈古今・雑体〉

  1. 意志強調する意を表す。必ず…しよう。…てしまおう。

    1. 「舟に乗り—◦むとす」〈土佐

  1. 可能推量強調して表す。…することができよう。

    1. 「この御方々のすげなくし給はむには、殿の内には立てり—◦むはや」〈常夏

  1. 適当当然強調して表す。…てしまうのがよい。…のはずだ。

    1. 「それ(=スグレタ文才)もすたれたる所のなきは、一生この事にて暮れにけりと、つたなく見ゆ。今は忘れにけり、と言ひてあり—◦ん」〈徒然・一六八〉

  1. (多く「なむや」の形で敬語とともに用いられ)相手勧誘する意を表す。…たらどうだ。…てくれないか。

    1. 「忍びては参り給ひ—◦むや」〈桐壺

出典:青空文庫

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