なわ‐ばり〔なは‐〕【縄張(り)】例文一覧 16件

  1. ・・・「小僧、だれに話をつけて、俺の縄張り内を荒らしゃあがったか。その金を、みんなここへ出してしまえ。」と、脊の高いのは少年をにらみつけていいました。 少年は、もうすこし金がたまったら、それを旅費にして、西の方の温泉場をさして、出かけるつ・・・<小川未明「石をのせた車」青空文庫>
  2. ・・・「出入って、博徒の仲間にはいったのか、女出入か、縄張りか」 それならまだしも浮浪者より気が利いていると思ったが、「闇屋の天婦羅屋イはいって食べたら、金が足らんちゅうて、袋叩きに会いましてん。なんし、向うは十人位で……」「ふー・・・<織田作之助「世相」青空文庫>
  3. ・・・ 又、三人の泥棒が、その縄張り地域の広狭から、それを公平に分配することを問題にして、喧嘩を始めたらどうであるか。如何に正義、人道を表面に出して、自己の行為を弁護しようとも、それは、泥棒自身の利益のために、人を欺くものである。而も、現在、・・・<黒島伝治「反戦文学論」青空文庫>
  4. ・・・ 秋になると、トシエの家には、山の松茸の生える場所へ持って行って鈴をつけた縄張りをした。他人に松茸を取らさないようにした。 そこへ、僕等はしのびこんだ。そして、その山を隅から隅まで荒らした。 這入って行きしなに縄にふれると、向う・・・<黒島伝治「浮動する地価」青空文庫>
  5. ・・・女の子に縄張りのことで言いがかりをつけたのだった。女の子は三度もお辞儀をした。松葉杖の乞食は、まっくろい口鬚を噛みしめながら思案したのである。「きょう切りだぞ」 とひくく言って、また霧のなかへ吸いこまれていった。 女の子は、間も・・・<太宰治「葉」青空文庫>
  6. ・・・活動写真の勝利の進軍は教育の縄張りにも踏み込んでくる。そしてそこで始めて、多数の公開観覧所が卑猥なものやあくどい際物で堕落し切っているのに対して、道徳的なものをもって対抗させる機会を得るだろう。教授用フィルムに簡単な幻燈でも併用すれば、従来・・・<寺田寅彦「アインシュタインの教育観」青空文庫>
  7. ・・・もしかすると鶺鴒の群がこの辺の縄張を守っていて雀の侵入者を迫害するのではないか。そんな臆説も考えられる。 池に家鴨がただ一羽いる。それが何だか淋しそうである。家鴨は群れている方が家鴨らしく、白鳥は一、二羽の方が白鳥らしい。 夕方にな・・・<寺田寅彦「浅間山麓より」青空文庫>
  8. ・・・の天測器械や、ドルイドの石垣などは別として、本当の意味での物質科学の開け始めたのはフロレンスのアカデミーで寒暖計や晴雨計などが作られて以後と云って宜い。そして単に野生の木の実を拾うような「観測」の縄張りを破って、「実験」の広い田野をそういう・・・<寺田寅彦「言語と道具」青空文庫>
  9. ・・・少なくも、恋愛の世界を勧善懲悪の縄張りから解放すべきものと考えていたのではないかと思われるふしが少なくないのである。 これらの武士道観、恋愛観は、ある意味からともかくも唯物論的な西鶴の立場を窺わせる窓口となるものでないかと思われる。・・・<寺田寅彦「西鶴と科学」青空文庫>
  10. ・・・そうしておいてから、田代公吉を縄張問題から同業の暴漢になぐらせ負傷させ卒倒させておいてそこへ前のダンサーを通りかからせ、そうして目的のアパートへ連れて行かせる。そこでダンサーに身の上話をさせることによって悪漢騎手の旧情夫の存在を観客に呑込ま・・・<寺田寅彦「初冬の日記から」青空文庫>
  11. ・・・ところが何時の間にか伝統の縄張りが朽ちて跡方もなくなって、普通選挙の広い野原が解放されてしまった。これはいい事だか悪い事だか見当が付かないが、ともかくもどうする事も出来ない事実である。 そうなると、批評というものの意味はもう昔とは大分違・・・<寺田寅彦「帝展を見ざるの記」青空文庫>
  12. ・・・は出て来ないし、その縄張りの中を隈なく捜しても「神」は居ない。そうして科学の中にこれがないという事は、それがどこにもないという証拠には少しもならない。もしそういう人があれば、それは室中を捜して魚が居ないというようなものである。 芸術とは・・・<寺田寅彦「文学の中の科学的要素」青空文庫>
  13. ・・・千束町から土手に到る間の小さな飲食店で飲んでいると、その辺を縄張り中にしている無頼漢は、必折を窺って、はなしをしかける。これが悶着の端緒である。之を避けるには便所へでも行くふりをして烟の如く姿を消してしまうより外はない。当時の無頼漢は一見し・・・<永井荷風「申訳」青空文庫>
  14. ・・・ただ自他の関係を知らず、眼を全局に注ぐ能わざるがため、わが縄張りを設けて、いい加減なところに幅を利かして満足すべきところを、足に任せて天下を横行して、憚からぬのが災になる。人が咎めれば云う。おれの地面と君の地面との境はどこだ。境は自分がきめ・・・<夏目漱石「作物の批評」青空文庫>
  15. ・・・ただ自他の関係を知らず、眼を全局に注ぐ能わざるがため、わが縄張りを設けて、いい加減なところに幅を利かして満足すべきところを、足に任せて天下を横行して、憚からぬのが災になる。人が咎めれば云う。おれの地面と君の地面との境はどこだ。境は自分がきめ・・・<夏目漱石「作物の批評」青空文庫>
  16. ・・・一つは自分の縄張うちへ這入って来て、似寄った武器と、同種の兵法剣術で競争をやる。元来競争となるとたいていの場合は同種同類に限るようです。同種同類でないと、本当の比較ができないからでもあるし、ひとつ、あいつを乗り越してやろうと云う時は、裏道が・・・<夏目漱石「文壇の趨勢」青空文庫>