ナンキン‐むし【南京虫】例文一覧 15件

  1. ・・・奉天から北京へ来る途中、寝台車の南京虫に螫された時のほかはいつも微笑を浮かべている。しかももう今は南京虫に二度と螫される心配はない。それは××胡同の社宅の居間に蝙蝠印の除虫菊が二缶、ちゃんと具えつけてあるからである。 わたしは半三郎の家・・・<芥川竜之介「馬の脚」青空文庫>
  2. ・・・ 馴れぬ風土の寒風はひとしおさすらいの身に沁み渡り、うたた脾肉の歎に耐えないのであったが、これも身から出た錆と思えば、落魄の身の誰を怨まん者もなく、南京虫と虱に悩まされ、濁酒と唐辛子を舐めずりながら、温突から温突へと放浪した。 しか・・・<織田作之助「勧善懲悪」青空文庫>
  3. ・・・「おい、屑!」「おい、蠅!」「おい、南京虫!」「おい、蛆虫!」「おい、しらみ!」「おい、百足!」「おい、豚!」――何をぬかしやがるんや。俺が豚やったら、あいつは、豚もあいつを見たら反吐をはく現糞の悪い奴ちゃ」 ひょうきんな、落語家らしい・・・<織田作之助「昨日・今日・明日」青空文庫>
  4. ・・・もう一つは家に南京虫が湧いた時です。家全体が焼いてしまいたくなるのです。も一つは新らしい筆記帳の使いはじめ字を書き損ねたときのことです。筆記帳を捨ててしまいたくなるのです。そんなことを思い出した末、私はその年少の友の反省の為に、大切に使われ・・・<梶井基次郎「橡の花」青空文庫>
  5. ・・・ そして造作もなく、彼の、南京虫だらけの巣へ投り込んだ。 一々そんなことに構っちゃいられないんだ。それに、病人は、水の中から摘み出されたゴム鞠のように、口と尻とから、夥しく、出した。それは、デッキへ洩れると、直ぐにカラカラに、出来の・・・<葉山嘉樹「労働者の居ない船」青空文庫>
  6. ・・・寄宿舎の南京虫をタイジしろ!○鬼足袋工業株式会社、資本百万円、寺田淳平。二百六十四名、主に少女工剣劇ファン○職工と女工と別の出入口をもっているところもある。○壁のわきのゴミ箱。○脱衣室のわきの三尺の大窓。○あき地で塀・・・<宮本百合子「工場労働者の生活について」青空文庫>
  7. ・・・というスローガンのかかげられていた時代に書かれた作品としてはマヤコフスキーの「南京虫」「風呂」。ベズィメンスキーの「射撃」「変人」。リベディンスキーの「英雄の誕生」等がある。 これらは、工場内の官僚主義に対する諷刺、プロレタリア技術発展・・・<宮本百合子「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」青空文庫>
  8. ・・・ 桜のことを云っているのである。警察署の裏、北向きの留置場では花時でも薄暗く、演武場の竹刀の音、すぐ横の石炭置場の奥にある犬小舎でキャン、キャンけたたましく啼き立てる野犬の声などがする。 南京虫が出て、おちおち眠られない。「夏に・・・<宮本百合子「刻々」青空文庫>
  9. ・・・坐席はひろくゆったりしている。南京虫もこれなら出そうもない。――そうだ。 革命の時代は、三等車かそれとも貨車の中へいきなりわらを敷いて乗って行く方がずっと安全だった。なまじっかビロードなどを張った軟床車よりは。当時シラミは歴史的にふとっ・・・<宮本百合子「スモーリヌイに翻る赤旗」青空文庫>
  10. ・・・          2       「南京虫」       「風呂」   マヤコフスキー作 この二つはメイエルホリドが、一九二八年・三〇年のシーズンにつづけて上演した、最初の、五ヵ年計画に関係をもつ脚本だ。「・・・<宮本百合子「ソヴェトの芝居」青空文庫>
  11. ・・・ 例えば衛生に関するフィルムでどんなのがあるか、既にロシアの油虫は有名である、南京虫も随分いる。それでキノを見ると、とても大きくて、まるで人間が食われそうな南京虫がフィルムの中に出て来る。これを退治しなければたまらない。そういうものは主・・・<宮本百合子「ソヴェト・ロシアの素顔」青空文庫>
  12. ・・・「何しろ沢山の党員だし、古い歴史をもった党だからタマには蛆虫も湧くんさ。南京虫はどこにでもいる。」 コンムニストが善玉揃いでないということはその限りにおいて真実だ。しかし、この少くとも第一部には、蛆虫も時には湧かせつつドイツの党がどれだ・・・<宮本百合子「プロレタリア文学における国際的主題について」青空文庫>
  13. ・・・ところ嫌わず南京虫の大群が横行している。フロレンスがみたどこの貧民窟よりも不潔である。日常品の欠乏ははなはだしく、ビールの空壜にローソクがたっていた。たらい、タオル、シャボン、箒、盆、皿、ナイフ、フォーク、スプーンなどという必需品さえなかっ・・・<宮本百合子「フロレンス・ナイチンゲールの生涯」青空文庫>
  14. ・・・ スムールイの黒トランクの中には『ホーマー教訓集』『砲兵雑記』『セデンガリ卿の書翰集』『毒虫・南京虫とその駆除法、附・此が携帯者の扱い方』などという本があった。始めの方がちぎれて無くなってしまっている本。終りがない本。そういう本がつまっ・・・<宮本百合子「マクシム・ゴーリキイの伝記」青空文庫>
  15. ・・・初めはマカロニ箱にこしかけて、『ホーマー教訓集』『毒虫、南京虫とその駆除法、附・之が携帯者の扱い方』などという本を音読させられた。が、だんだん『アインホー』を読み、『捨児トム・ジョーンズの物語』を読み、「知らず知らずの間に読みなれて」彼にと・・・<宮本百合子「マクシム・ゴーリキイの発展の特質」青空文庫>