ナンセンス【nonsense】例文一覧 30件

  1. ・・・そして、それが、単に怖がらせの妖怪談であったり、また滑稽ものであったり、然らざれば、教訓的な童話であり、若くは、全くのナンセンスであって足れりとしました。 しかし、かくのごときものは、児童等の知識の進むに従って、満足することができな・・・<小川未明「新童話論」青空文庫>
  2. ・・・何故なら強制には強制者と被強制者とが対立せねば無意味であるが、この場合にはより強い動機とは自分の意欲にほかならぬ、自己が自己を強制するとはナンセンスである。自由とは意欲が人格によって規定されるという意味である。したがってかくの如き人格が道徳・・・<倉田百三「学生と教養」青空文庫>
  3. ・・・文化の果には、いつも大笑いのナンセンスが出現するようでございます。教養の、あらゆる道は、目的のない抱腹絶倒に通じて在るような気さえ致します。私はこの世で、いちばん不健康な、まっくらやみの女かも知れませぬけれど、また、その故にこそ、最も高い、・・・<太宰治「古典風」青空文庫>
  4. ・・・やたらに深刻をよろこぶ。ナンセンスの美しさを知らぬ。こ理くつが多くて、たのしくない。お月様の中の小兎をよろこばず、カチカチ山の小兎を愛している。カチカチ山は仇討ち物語である。 おばけは、日本の古典文学の粋である。狐の嫁入り。狸の腹鼓・・・<太宰治「古典竜頭蛇尾」青空文庫>
  5. ・・・ たまに、すこし書くのであるから、充分、考えて考えて書かなければなるまい。ナンセンス。 カントは、私に考えることのナンセンスを教えて呉れた。謂わば、純粋ナンセンスを。 いま、ふと、ダンデスムという言葉を思い出し、そうして・・・<太宰治「思案の敗北」青空文庫>
  6. ・・・何の事だか、まるでナンセンスのようでございますが、しかし、感覚的にぞっとするほどイヤな、まるで地獄の妖婆の呪文みたいな、まことに異様な気持のする言葉で、あんな脳の悪い女でも、こんな不愉快きわまる戦慄の言葉を案出し投げつけて寄こす事が出来ると・・・<太宰治「男女同権」青空文庫>
  7. ・・・自分がおならひとつしたことを書いても、それが大きい活字で組まれて、読者はそれを読み、襟を正すというナンセンスと少しも違わない。作家もどうかしているけれども、読者もどうかしている。 所詮は、ひさしを借りて母屋にあぐらをかいた狐である。何も・・・<太宰治「如是我聞」青空文庫>
  8. ・・・死ぬのが、いやなら進まなければならぬ。ナンセンスに似ていた。笠井さんも、流石に、もう、いやになった。八方ふさがり、と言ってしまうと、これもウソなのである。進める。生きておれる。真暗闇でも、一寸さきだけは、見えている。一寸だけ、進む。危険はな・・・<太宰治「八十八夜」青空文庫>
  9. ・・・雪が消えたところで、この枯葉たちは、どうにもなりやしないんだ。ナンセンス、というものだ。菊代、声立てて笑う。いや、笑いごとじゃありませんよ。僕たちだって、こんなナンセンスの春の枯葉かも知れないさ。十年間も、それ以上も・・・<太宰治「春の枯葉」青空文庫>
  10. ・・・言いかえれば、作家が、このような感想を書きつづることのナンセンスに触れた。「もの思う葦。」と言い、「碧眼托鉢。」と言うも、これは、遁走の一方便にすぎないのであって、作家たる男が、毎月、毎月、このような断片の言葉を吐き、吐きためているというの・・・<太宰治「碧眼托鉢」青空文庫>
  11. ・・・と名づけるナンセンス映画は近ごろ見たうちで比較的おもしろい愉快なものであった。もちろん、話の筋や役者の芸などは初めから問題にはならない。おもしろいのは主として編集の技巧から来る呼吸のおもしろさであると思う。たとえば拍手している多数の手がスク・・・<寺田寅彦「映画雑感(2[#「2」はローマ数字、1-13-22])」青空文庫>
  12. ・・・たとえば、音楽の演奏会の批評などは、その時に聞かなかった聴衆にはナンセンスである。生け花展覧会の批評などもややこれに類している。映画の批評となると、まさかそれほどでもないかもしれないが、大多数の映画の大衆観客にとっての生命はひと月とはもたな・・・<寺田寅彦「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」青空文庫>
  13. ・・・アメリカ喜劇のナンセンスが大衆に受ける一つの理由は、つまりここにあるのではないか、有名な小説や劇を仕組んだものが案外に失敗しがちな理由も一つはここにあるのではないかという気がする。 連句には普通の言葉で言い現わせるような筋は通っていない・・・<寺田寅彦「映画時代」青空文庫>
  14. ・・・最も重要なる会議がナンセンスの小田原会議のごとく思われるというのはこれはたしかにそう思う自分が間違っているに相違ないからである。 そういう憂鬱に襲われたときには無闇に煙草を吹かしてこの憂鬱を追払うように努力する。そういう時に、口からはな・・・<寺田寅彦「喫煙四十年」青空文庫>
  15. ・・・とかいうのも学問的にはナンセンスである。盆やたらいの距離を指定しなければ客観的には意味を成さない。言う人のつもりでは月や太陽を勝手なある距離に引き寄せて考えているのだが、その無意味な主観的な仮定は他人には通じない。 人玉を見たという人に・・・<寺田寅彦「自由画稿」青空文庫>
  16. ・・・しかしそんなことは心理劇でも何でもないナンセンス劇「ユーモレスク」には別に大した問題にするほどの問題ではないので、ともかくも夕刊売りのK嬢をして「あの男です、あの男です」と叫ばせ、満場を総立ちにさせ、陪審官一斉に靴磨きの「無罪」を宣言させ、・・・<寺田寅彦「初冬の日記から」青空文庫>
  17. ・・・自然を論理的科学的な立場から見ることのみを知ってそれ以外の見方をすることの可能性に心づかない民族にとっては、それは全くのナンセンスであり悪趣味でさえもありうるのである。 こんなことを考えただけでも、和歌を外国語に翻訳しただけで外国人に味・・・<寺田寅彦「日本人の自然観」青空文庫>
  18. ・・・これは大変な名誉なことであったが、これについて母に送った手紙には「試験官が私の書いたナンセンスに感服したのは可笑しい」とあった。この秋から彼は始めてストークスの光学の講義に出席し、特にその講義でやって見せる実験を喜んだ。ストークスの考え方や・・・<寺田寅彦「レーリー卿(Lord Rayleigh)」青空文庫>
  19. ・・・アメリカその他の映画が、たとえば恋愛を扱うにしろ、社会の非合理から生じた悲劇を悲劇のまま描いたものか、さもなければナンセンス、ユーモアに韜晦しているもの足りなさを、今日のソヴェト映画は、どのような内容と技術の新生面を開いているだろうか。小説・・・<宮本百合子「映画の恋愛」青空文庫>
  20. ・・・ そこから、ゴーゴリの諷刺と本質的にちがいつつ、アメリカのナンセンスとも異る新種の快活、辛辣が生じている。 そんなにゴーゴリの泣き笑いとはちがう若く確信に満ちた哄笑が響いていながら、なお、この「黄金の仔牛」の読者が、しばしば、ああイ・・・<宮本百合子「音楽の民族性と諷刺」青空文庫>
  21. ・・・ この問題は、同時に、そうちょいと簡単に、ナンセンスでやっつけるわけには行かない代物なのだから、自分とすると、またまたここで、抑々ソヴェト生産拡張五箇年計画は、というところからやり直すのが、ひどい苦痛だ。 いろいろやって見たが、三度・・・<宮本百合子「「鎌と鎚」工場の文学研究会」青空文庫>
  22. ・・・いろいろ悪い時代にははっきりしたお話が申上げられませんから、ナンセンスのようなことをいっていらっしゃいましたけれども、今日などのお話は新居さんはお気持がよかったろうと思います。お年はあまり若くないけれども、お心のなかから若い女の人達に将来の・・・<宮本百合子「幸福の建設」青空文庫>
  23. ・・・日本の伝統的な皇族への感情の習慣は、ナンセンスそのものを通じて、偶像を否定しきっていない心理を温存させてゆく。笑いや優越感をとおって屈従に近づけられてゆくのである。 ヴァイニング夫人の「皇太子の教育」と題される文章が「皇太子殿下の御教育・・・<宮本百合子「ジャーナリズムの航路」青空文庫>
  24. ・・・ この時期ナンセンスな流行歌と漫才とエノケン、ロッパの大流行をみたのは、人心のどんな波動を語っていたのだろう。 ヒューマニズムの歴史性そのものが内包していた方向から目をそらして無制約に人間中心の唱えられたことは、文学に雑多な個別的な・・・<宮本百合子「昭和の十四年間」青空文庫>
  25. ・・・アメリカの漫画の発達、ナンセンスな遊戯の趣味、軽音楽、サローヤンの軽い文学。それらはみんなアメリカの旺盛な生産力、激甚な自由競争、充実緊張した実務時間の半面におこる文化的要求の反映である。世界生産の諸部門において、ソヴェト同盟はアメリカに近・・・<宮本百合子「政治と作家の現実」青空文庫>
  26. ・・・の舞台の牧歌的朗らかな恋愛表現、哄笑的ナンセンスとの対照。又「D《デー》・E《エー》」の黒漆でぬたくったような暗い激しい圧力と「吼えろ! 支那」の切り石のような迫力との対照は、メイエルホリドがひととおりの才人でないことを知らされる。「お・・・<宮本百合子「ソヴェトの芝居」青空文庫>
  27. ・・・ 良子嬢によって実行された十七日女給の試みが、最も無邪気な貴族令嬢の映画好みのアバンチュールまたは、ナンセンスな茶目ぶりと解釈されるにしても、やはりそこには、良子嬢がああいう階級の一部の若い連中のひそかな興味の代弁人であったことだけは顕・・・<宮本百合子「花のたより」青空文庫>
  28. ・・・一方ブルジョア雑誌は不景気を切り抜け、民衆を現実から欺瞞する為に低級なエロとナンセンスで売りつけようとします。故に彼等は真面目な作品よりもエロとナンセンスを要求します。彼女等はエロやナンセンスを書くことを悲しいと思う。然し書かねば喰えないか・・・<宮本百合子「婦人作家の「不振」とその社会的原因」青空文庫>
  29. ・・・自分達お互いがよく生きようとする希望、お互いに信頼してはっきりと生きて行こうという希望、新しい文学の明るい面、ナンセンスではない明るさ、馬鹿笑いでない高笑い、愉快な足どり、一つの希望に結びつけて来る努力、その努力を尊重する気持、前進する気持・・・<宮本百合子「婦人の創造力」青空文庫>
  30. ・・・そして、ブルジョア文化用具としてのブルジョア・ジャーナリズムの命じるままに、片々たるエロチシズムとナンセンス文学をつくって来た。ところが、階級対立が激化し、帝国主義戦争=大衆の大量的死がブルジョアジーにとって必要となってくるにつれ、文化のい・・・<宮本百合子「文芸時評」青空文庫>