にい・し〔にひし〕【新し】例文一覧 30件

  1. ・・・た白い天井、赤いモロッコ皮の椅子や長椅子、壁に懸かっているナポレオン一世の肖像画、彫刻のある黒檀の大きな書棚、鏡のついた大理石の煖炉、それからその上に載っている父親の遺愛の松の盆栽――すべてがある古い新しさを感じさせる、陰気なくらいけばけば・・・<芥川竜之介「開化の良人」青空文庫>
  2. ・・・統的小説である身辺小説のように、簡素、単純で、伝統が作った紋切型の中でただ少数の細かいニュアンスを味っているだけにすぎず、詩的であるかも知れないが、散文的な豊富さはなく、大きなロマンや、近代的な虚構の新しさに発展して行く可能性もなく、いって・・・<織田作之助「大阪の可能性」青空文庫>
  3. ・・・という上林暁の攻撃を受け、それは無理からぬことであったが、しかし、上林暁の書いている身辺小説がただ定跡を守るばかりで、手のない時に端の歩を突くなげきもなく、まして、近代小説の端の歩を突く新しさもなかったことは、私にとっては不満であった。一刀・・・<織田作之助「可能性の文学」青空文庫>
  4.  僕は終戦後間もなくケストネルの「ファビアン」という小説を読んだ。「ファビアン」は第一次大戦後の混乱と頽廃と無気力と不安の中に蠢いている独逸の一青年を横紙破りの新しいスタイルで描いたもので、戦後の日本の文学の一つの行き方を、・・・<織田作之助「土足のままの文学」青空文庫>
  5. ・・・そうした処にも自分の歩むべき新しい道がある。そして自分の無能と不心得から、無惨にも離散になっている妻子供をまとめて、謙遜な気持で継母の畠仕事の手伝いをして働こう。そして最も素朴な真実な芸術を作ろう……」などと、それからそれと楽しい空想に追わ・・・<葛西善蔵「贋物」青空文庫>
  6. ・・・ 現代では、日本の新しい女性は科学と芸術とには目を開いたけれども、宗教というものは古臭いものとして捨ててかえりみなかったが、最近になって、またこの人性の至宝ともいうべき宗教を、泥土のなかから拾いあげて、ふたたび見なおし、磨き上げようとす・・・<倉田百三「女性の諸問題」青空文庫>
  7. ・・・死んだ山本勝治には、階級闘争の中に生長した青年らしい新しさが幾分か作品の中に生かされようとしていた。 しかし、これらの作家によって、現在までに生産された文学は、単に量のみを問題としても、我国人口の大部分を占める巨大な農民層に比して、決し・・・<黒島伝治「農民文学の問題」青空文庫>
  8. ・・・ 物価は、鰻のぼりにのぼった。新しい巨大な器械が据えつけられた。選鉱場にも、製煉所にも。又、坑内にも。そして、銅は高価の絶頂にあった。彼等は、祖父の時代と同様に、黙々として居残り仕事をつゞけていた。 大正×年九月、A鉱山では、四千名・・・<黒島伝治「土鼠と落盤」青空文庫>
  9. ・・・そこにはまた白に近い淡緑の色彩の新しさがあって、その力のある花の形は周囲の単調を破って居た。 三年の間、私は異郷の客舎の方で暗い冬を送って来た。寒い雨でも来て障子の暗い日なぞにはよくあの巴里の冬を思出す。そこでは一年のうちの最も日の短い・・・<島崎藤村「三人の訪問者」青空文庫>
  10. ・・・あの映画には、いままでの日本の映画に無かった清潔な新しさがあった。いやらしい「芸術的」な装飾をつい失念したから、かえって成功しちゃったのだ。重ねて言う。映画は、「芸術」であってはならぬ。私はまじめに言っているのである。・・・<太宰治「芸術ぎらい」青空文庫>
  11. ・・・こういう趣向は別に新しくもなくまたなんでもないことのようであるが、しかしやはり映画のスクリーンの世界にのみ可能な一種不思議な夢幻郷である。観客はその夢幻郷の蝴蝶になって観客席の空間を飛翔してどことも知らぬ街路の上に浮かび出るのである。 ・・・<寺田寅彦「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」青空文庫>
  12. ・・・自然界は古いも新しいもなく、つまらぬものもつまるものもないのであって、それを研究する人の考えと方法が新しいか古いか等が問題になるのである。最新型の器械を使って、最近流行の問題を、流行の方法で研究するのがはたして新しいのか、古い問題を古い器械・・・<寺田寅彦「時事雑感」青空文庫>
  13. ・・・十四世紀の日本人に比べて二十世紀の日本人はほとんど一歩も進んでいないという感を深くさせるのはこれらの諸篇である。新しがることの好きな人は「一九三三年である。今頃『徒然草』でもあるまい」と云うが、そういう諸君の現在していることの予報がその『徒・・・<寺田寅彦「徒然草の鑑賞」青空文庫>
  14. ・・・ 子供を教育するばかりが親の義務でなくて、子供に教育されることもまた親の義務かもしれないのである。 新しい交通機関、例えば地下鉄や高架線が開通すると、誰よりも先に乗ってみないと気のすまないという人がある。つい近ごろ、上野公園西郷銅像・・・<寺田寅彦「猫の穴掘り」青空文庫>
  15. ・・・ 時代に適応するつもりで骨を折って新しがってみても、鼻にしみ込んだこの引き出しのにおいが抜けない限り心底から新しくなりようがない。       十二 四五年会わなかった知人に偶然銀座でめぐり会った。それからすぐ帰宅して見・・・<寺田寅彦「藤棚の陰から」青空文庫>
  16. ・・・ 私たちの生活に、社会について自然についていろいろと科学的な成果がゆたかに齎らされるにつれて、旧き大地の新しさや、そこの上に生じてゆく社会の歴史の様相が極めて複雑であることを理解する。 日本の勤労人員の幾割が農民であろうか。 約・・・<宮本百合子「新しき大地」青空文庫>
  17. ・・・のあらゆるもがきが、日本の近代社会の隅々までをみたしている根づよい古さと中途半端な新しさとの矛盾から生れていることを、こんにちの作者と読者とが理解するようには理解していなかった。「伸子」の続篇は、波瀾の多い四分の一世紀をへて、今「二つの庭」・・・<宮本百合子「あとがき(『伸子』)」青空文庫>
  18.  パール・バック女史の問題のつかみ方は、さすがに作家らしくて、わたしにも皆さんにも同感されたのだと思います。パール・バックはアメリカの今日の文明をちょうど子供が新しいすばらしい玩具の作り方を発見して、それに夢中になっている状・・・<宮本百合子「アメリカ文化の問題」青空文庫>
  19. ・・・鴎外のこの進歩性に立つ面も、更に一層歴史に対する観念の進んだ立場から顧みられるとき、彼が一般人間性に歩み出した新しさに止って、人間性をその先で具体的な相異においている社会的な関係へは洞察を向けていないことで、それ自身一つの歴史的限界を示して・・・<宮本百合子「鴎外・芥川・菊池の歴史小説」青空文庫>
  20. ・・・例えば作品や技法の上で新しいものを追求しようという熱心さと、その新しいものの質の探求や新しさの発生の根源を人類の生活の歴史の流れの只中から見出そうとするような思想の規模との間に、具体的な矛盾があるとも思われます。芸術至上主義ととなりあわせて・・・<宮本百合子「期待と切望」青空文庫>
  21. ・・・世界ファシズムと戦争挑発に対する抵抗を組織することが、世界人民の歴史の課題であり、世界文学につながる日本の文学の新しい世紀の精神であることが実感されて来て、そのための実践も着手されていたのである。 したがって、出版恐慌を理由として、これ・・・<宮本百合子「五〇年代の文学とそこにある問題」青空文庫>
  22. ・・・ 民主日本への歴史的な転換は、当然文学にも新しい窓をひらいた。民主的な文学という欲求がある。しかし、今日のごく若い文学の働き手、または今日読者であるが未来は作家と期待される人々にとって、民主の文学といっても、なんとなしいきなりつき出され・・・<宮本百合子「作家の経験」青空文庫>
  23. ・・・従来の文学的領野に於ては、依然として志賀直哉が主観的なリアリズムの完成をもって一つの典型をなしており、新しい作家たちが若しその道へ進むとして、志賀直哉を凌駕する希望というものは抱きにくい状態であったし、かつてバーナアド・ショウやゴルスワージ・・・<宮本百合子「昭和の十四年間」青空文庫>
  24. ・・・ここに文学の新しい見方があると思う。婦人と文学という問題をとりあげて、それを人類と文学の歴史という問題から見てくると、第一に何故世界の婦人は、これまで男のひとたちよりも文学史的活動をしてこなかったのだろうかという疑問が起って来る。婦人の文学・・・<宮本百合子「女性の歴史」青空文庫>
  25. ・・・ 自由民権時代に、岸田俊子その他の若い女性が活躍したことは周知のとおりだし、大正末期から昭和六七年頃までの期間、多くの若い婦人が政治的な関心をめざまされて活動したことも、まだ記憶に新しいことだと思う。 維新の風雲の間を奔走した女のひ・・・<宮本百合子「女性の歴史の七十四年」青空文庫>
  26. ・・・の流転の中にのみ酩酊の快さで自らの生存の全願望を感じるからである、○彼等には真直な方向や明確な目的が全然なく、すべての価値の動揺、p.177その背景としての十九世紀のロシア p.179○しかも新しい人間を創造する六日目の予感がある、・・・<宮本百合子「ツワイク「三人の巨匠」」青空文庫>
  27. ・・・大家連が依然として芸者、舞妓、花、蛙などにとじこもっているに対し、題材として新しい方向を求め、例えば発電所・橋・市街鳥瞰図風の素材を扱った新人もあるが、結局それ等の題材は風景として理解されているに止っているし、日本画としての技術上からも、そ・・・<宮本百合子「帝展を観ての感想」青空文庫>
  28.  この一年あまりの間に日本の文化がどんなに新しく、そしてゆたかになったかということについては、いろいろの複雑な問題がある。文学は字であらわされる芸術であるし、字というものは生活の言葉であるから、私たちの生活の実感というものと・・・<宮本百合子「ディフォーメイションへの疑問」青空文庫>
  29. ・・・中には横着で新しそうなのを選って穿く人もある。僕はしかたがないからなるべく跡まで待っていて、残った下駄を穿いたところが、歯の斜に踏み耗らされた、随分歩きにくい下駄であった。後に聞けば、飾磨屋が履物の間違った話を聞いて、客一同に新しい駒下駄を・・・<森鴎外「百物語」青空文庫>
  30. ・・・これだけでは少し突飛な説明で、まだ何ら新しき感覚のその新しさには触れ得ない。そこで今一言の必要を認めるが、ここで用いられた主観なるものの意味である。主観とはその物自体なる客体を認識する活動能力をさして云う。認識とは悟性と感性との綜合体なるは・・・<横光利一「新感覚論」青空文庫>