にお‐やか〔にほ‐〕【匂やか】例文一覧 4件

  1. ・・・そしてふかぶかと胸一杯に匂やかな空気を吸い込めば、ついぞ胸一杯に呼吸したことのなかった私の身体や顔には温い血のほとぼりが昇って来てなんだか身内に元気が目覚めて来たのだった。…… 実際あんな単純な冷覚や触覚や嗅覚や視覚が、ずっと昔からこれ・・・<梶井基次郎「檸檬」青空文庫>
  2. ・・・念を入れた化粧をし、メリンス友禅の羽織を着、物を云うとき心持頭を左に曲げながら、何故か苦しそうに匂やかな二つの眉をひそめて声を出すのであった。 少し荒れた赤い小さな唇を見「さようでございますの」と云う含声をきいた時、さほ子は此娘をお前と・・・<宮本百合子「或る日」青空文庫>
  3. ・・・清新な眼を見ひらいた美しい匂やかなまなざしを、わたしたちは自分に持ちたいと思います。自覚は、生きてゆき、建設してゆく喜びそのものになってくることが期待されます。〔一九四七年五月〕<宮本百合子「自覚について」青空文庫>
  4. ・・・ 翌日はまた春に有りがちなしとしと雨が銀線を匂やかな黒土の上におちて居た。落ちた桜の花弁はその雨にポタポタとよごされて居る。 光君は椽に坐って肩まで髪をたれた童達が着物のよごれるのを忘れてこまかい雨の中を散った花びらをひろっては並べ・・・<宮本百合子「錦木」青空文庫>