にげ‐あし【逃(げ)足】例文一覧 4件

  1. ・・・しかるに豹一は半分逃足だった。会わす顔もないと思っていたところを偶然出くわしたので、まごまごしていた。いきなり逃げだそうとしたその足へ、とたんに自尊心が蛇のように頭をあげてきて、からみついた。あんな恥かしいところを見られたのだから名誉を回復・・・<織田作之助「雨」青空文庫>
  2. ・・・目まぐるしい変転する世相の逃足の早さを言うのではない。現実を三角や四角と思って、その多角形の頂点に鉤をひっかけていた新吉には、もはや円形の世相はひっかける鉤を見失ってしまったのだ。多角形の辺を無数に増せば、円に近づくだろう。そう思って、新吉・・・<織田作之助「郷愁」青空文庫>
  3. ・・・それほど彼らは逃げ足が遅い。逃げ足が遅いだけならまだしも、わずかな紙の重みの下で、あたかも梁に押えられたように、仰向けになったりして藻掻かなければならないのだった。私には彼らを殺す意志がなかった。それでそんなとき――ことに食事のときなどは、・・・<梶井基次郎「冬の蠅」青空文庫>
  4. ・・・「井伏の小説は、実に、逃げ足が早い。」 また、或る人は、ご叮嚀にも、モンテーニュのエッセエの「古人の吝嗇に就いて」という章を私に見せて、これが井伏の小説の本質だなどと言った。すなわち、「アフリカに於ける羅馬軍の大将アッチリウ・・・<太宰治「『井伏鱒二選集』後記」青空文庫>