にし‐がわ〔‐がは〕【西側】例文一覧 18件

  1. ・・・屋敷の西側に一丈五六尺も廻るような椎の樹が四五本重なり合って立って居る。村一番の忌森で村じゅうから羨ましがられて居る。昔から何ほど暴風が吹いても、この椎森のために、僕の家ばかりは屋根を剥がれたことはただの一度もないとの話だ。家なども随分と古・・・<伊藤左千夫「野菊の墓」青空文庫>
  2. ・・・そこは俗にいう瀬戸物町で、高麗橋通りに架った筋違橋のたもとから四ツ橋まで、西横堀川に添うた十五町ほどの間は、ほとんど軒並みに瀬戸物屋で、私の奉公した家は、平野町通りから二三軒南へはいった西側の、佃煮屋の隣りでした。 私は木綿の厚司に白い・・・<織田作之助「アド・バルーン」青空文庫>
  3. ・・・ ころは春五月の末で、日は西に傾いて西側の家並みの影が東側の家の礎から二三尺も上に這い上っていた。それで尺八を吹く男の腰から上は鮮やかな夕陽に照されていたのである。 夕暮近いので、街はひとしおの雑踏を極め、鉄道馬車の往来、人車の東西・・・<国木田独歩「女難」青空文庫>
  4. ・・・ そこで僕は武蔵野はまず雑司谷から起こって線を引いてみると、それから板橋の中仙道の西側を通って川越近傍まで達し、君の一編に示された入間郡を包んで円く甲武線の立川駅に来る。この範囲の間に所沢、田無などいう駅がどんなに趣味が多いか……ことに・・・<国木田独歩「武蔵野」青空文庫>
  5. ・・・私たちの住む家は西側の塀を境に、ある邸つづきの抜け道に接していて、小高い石垣の上を通る人の足音や、いろいろな物売りの声がそこにも起こった。どこの石垣のすみで鳴くとも知れないような、ほそぼそとした地虫の声も耳にはいる。私は庭に向いた四畳半の縁・・・<島崎藤村「嵐」青空文庫>
  6. ・・・それと向い合った西側の壁には一坪ばかりの鏡がかけられていた。鏡は金粉を塗った額縁に収められているのである。北側の入口には赤と黒との縞のよごれたモスリンのカアテンがかけられ、そのうえの壁に、沼のほとりの草原に裸で寝ころんで大笑いをしている西洋・・・<太宰治「逆行」青空文庫>
  7. ・・・ 滝壺は三方が高い絶壁で、西側の一面だけが狭くひらいて、そこから谷川が岩を噛みつつ流れ出ていた。絶壁は滝のしぶきでいつも濡れていた。羊歯類は此の絶壁のあちこちにも生えていて、滝のとどろきにしじゅうぶるぶるとそよいでいるのであった。 ・・・<太宰治「魚服記」青空文庫>
  8. ・・・さらにまたこの海峡の西側に比べると東側の山脈の脊梁は明らかに百メートルほどを沈下し、その上に、南のほうに数百メートルもずれ動いたものである事がわかる。もっともこの断層の生成、これに伴なう沈下や滑動の起こった時代は、おそらく非常に古い地質時代・・・<寺田寅彦「怪異考」青空文庫>
  9. ・・・ やっぱり浅間が爆発したのだろうと思ってすぐにホテルの西側の屋上露台へ出て浅間のほうをながめたがあいにく山頂には密雲のヴェールがひっかかっていて何も見えない。しかし山頂から視角にしてほぼ十度ぐらいから以上の空はよく晴れていたから、今に噴・・・<寺田寅彦「小爆発二件」青空文庫>
  10.       一 蜂 私の宅の庭は、わりに背の高い四つ目垣で、東西の二つの部分に仕切られている。東側の方のは応接間と書斎とその上の二階の座敷に面している。反対の西側の方は子供部屋と自分の居間と隠居部屋とに三方を囲まれた・・・<寺田寅彦「小さな出来事」青空文庫>
  11. ・・・もっともこの点では英国諸島はきわめて類似の位置にあるが、しかし大陸の西側と東側とでは大気ならびに海流の循環の影響でいろいろな相違のあることが気候学者によってとうに注意されている。どちらかと言えば日本のように大陸の東側、大洋の西側の国は気候的・・・<寺田寅彦「日本人の自然観」青空文庫>
  12. ・・・ 小石川区内では○植物園門前の小石川○柳町指ヶ谷町辺の溝○竹島町の人参川○音羽久世山崖下の細流○音羽町西側雑司ヶ谷より関口台町下を流れし弦巻川。 芝区内では○愛宕下の桜川また宇田川○芝橋かかりし入堀 赤坂区内では○溜池桐畠の溝渠・・・<永井荷風「葛飾土産」青空文庫>
  13. ・・・ 吉原田圃の全景を眺めるには廓内京町一、二丁目の西側、お歯黒溝に接した娼楼の裏窓が最もその処を得ていた。この眺望は幸にして『今戸心中』の篇中に委しく描き出されている。即ち次の如くである。忍ヶ岡と太郎稲荷の森の梢には朝陽が際立ッて・・・<永井荷風「里の今昔」青空文庫>
  14. ・・・石切場の壁はすっかり白くその西側の面だけに月のあかりがうつっていた。   野宿第三夜(どうも少し引き受けようが軽率だったな。グリーンランドの成金がびっくりする程立派な蛋白石などを、二週間でさがしてやろうなんてのは・・・<宮沢賢治「楢ノ木大学士の野宿」青空文庫>
  15. ・・・イギリスの公園と云えば世界に有名だけれども、ロンドンの東部の公園では、遊んでいる子供も大人も顔色から言葉つきからその骨組の工合まで、西側の人々と異っているというのは何故だろう。 巴里の凱旋門の下では、夜も昼も無名戦士の墓辺の焔がもやしつ・・・<宮本百合子「時代と人々」青空文庫>
  16. ・・・低いそっちは東で、反対の西側、うちのある方は、見はらしがきかなくて、お寺になっていた。 お寺の庭は土がかたく平らで、はだしで繩とびをするのに、ひどく工合がよかった。春のまだひいやりする土が、柔らかな女の子のはだしの足の裏に快く吸いついた・・・<宮本百合子「道灌山」青空文庫>
  17. 西側の腰高窓の床の間よりに机を出して坐った。そこからは灰色の雨雲が走る空の下に 頂を濃い霧につつまれた小高い山とその手前の樹木の茂った丘陵とが見晴せた。狭い田圃をへだてたこちら側は 山陽線海岸まわりの幾条もの線路になってい・・・<宮本百合子「無題(十二)」青空文庫>
  18. ・・・客間はこの書斎の西側に続いているので、仕切りは引き戸になっていたと思うが、それは大抵あけ放してあって、一間のように続いていた。客間の方は畳敷で、書斎の板の間との間には一寸ぐらいの段がついていたはずである。この客間にも、壁のところには書棚が置・・・<和辻哲郎「漱石の人物」青空文庫>