にっ‐か〔‐クワ〕【日課】例文一覧 25件

  1. ・・・る中を、一人陰になって霜げながら、貧しい場末の町端から、山裾の浅い谿に、小流の畝々と、次第高に、何ヶ寺も皆日蓮宗の寺が続いて、天満宮、清正公、弁財天、鬼子母神、七面大明神、妙見宮、寺々に祭った神仏を、日課のごとく巡礼した。「……御飯が食・・・<泉鏡花「瓜の涙」青空文庫>
  2. ・・・に載すべき先生の原稿を、角の酒屋のポストに投入するのが日課だったことがある。原稿が一度なくなると復容易に稿を更め難いことは、我も人も熟く承知している所である。この大切な品がどんな手落で、遺失粗相などがあるまいものでもないという迷信を生じた。・・・<泉鏡花「おばけずきのいわれ少々と処女作」青空文庫>
  3. ・・・と茶の間で仏壇を拝むが日課だ。お来さんが、通りがかりに、ツイとお位牌をうしろ向けにして行く……とも知らず、とろんこで「御先祖でえでえ。」どろりと寝て、お京や、蹠である。時しも、鬱金木綿が薄よごれて、しなびた包、おちへ来て一霜くらった、大角豆・・・<泉鏡花「開扉一妖帖」青空文庫>
  4. ・・・ 日光浴をするとき私の傍らに彼らを見るのは私の日課のようになってしまっていた。私は微かな好奇心と一種馴染の気持から彼らを殺したりはしなかった。また夏の頃のように猛だけしい蠅捕り蜘蛛がやって来るのでもなかった。そうした外敵からは彼らは安全・・・<梶井基次郎「冬の蠅」青空文庫>
  5. ・・・たというような行儀正しい方であったそうですが、観行院様もまた其通りの方であったので、家の様子が変って人少なになって居るに関わらず、種善院様の時代のように万事を遣って往こうというので、私は毎朝定められた日課として小学校へ往く前に神様や仏様へお・・・<幸田露伴「少年時代」青空文庫>
  6. ・・・今日も例の通り厳冷な顔をして魔法修行の日課を如法に果そうとするほかに何の念もない。しかし戦乱の世である。河内の高屋に叛いているものがあるので、それに対して摂州衆、大和衆、それから前に与一に徒党したが降参したので免してやった赤沢宗益の弟福王寺・・・<幸田露伴「魔法修行者」青空文庫>
  7. ・・・わたしはまだ日の出ないうちに朝顔に水をそそぐことの発育を促すに好い方法であると知って、それを毎朝の日課のようにしているうちに、そこにも可憐な秋草の成長を見た。花のさまざま、葉のさまざま、蔓のさまざまを見ても、朝顔はかなり古い草かと思う。蒸暑・・・<島崎藤村「秋草」青空文庫>
  8. ・・・長い月日の間、私はこんな主婦の役をも兼ねて来て、好ききらいの多い子供らのために毎日の総菜を考えることも日課の一つのようになっていた。「待てよ。おれはどうでもいいが、送別会のおつきあいに鮎の一尾ももらって置くか。」 と、私はお徳に話し・・・<島崎藤村「嵐」青空文庫>
  9. ・・・学士も日課を済ましたところであったが、まだ机の前に立って何か生徒に説明していた。机の上には大理石の屑、塩酸の壜、コップなどが置いてあった。蝋燭の火も燃えていた。学士は手にしたコップをすこし傾げて見せた。炭素がその玻璃板の間から流れると、蝋燭・・・<島崎藤村「岩石の間」青空文庫>
  10. ・・・ そんな日課が霜のおりるころまでつづくのである。 スワを茶店にひとり置いても心配はなかった。山に生れた鬼子であるから、岩根を踏みはずしたり滝壺へ吸いこまれたりする気づかいがないのであった。天気が良いとスワは裸身になって滝壺のすぐ近く・・・<太宰治「魚服記」青空文庫>
  11. ・・・これは日課の、朝の散歩なのかも知れない。佐野君は、自分の、指さした右手の処置に、少し困った。初対面の令嬢の脚を、指さしたり等して、失礼であった、と後悔した。「だめですよ、そんな、――」と意味のはっきりしない言葉を、非難の口調で呟いて、颯っと・・・<太宰治「令嬢アユ」青空文庫>
  12. ・・・これが毎日日課のように繰返される間には、自分の顔の皺の一つや二つは増すに相違ない。 近頃アメリカの学者の書いたものを読んでいたら、その中に、「英国人に比べてみると米国人の顔なり挙動なりはあまり緊張し過ぎている。これは心に余裕のない事を示・・・<寺田寅彦「電車と風呂」青空文庫>
  13. ・・・そうして読んでいけないと思う種類の書物を山積して毎日の日課として何十ページずつか読むように命令するのも一法であるかもしれない。 楠さんも、この不良と目された不幸な青年も夭死してとくの昔になくなったが、自分の思い出の中には二人の使徒のよう・・・<寺田寅彦「読書の今昔」青空文庫>
  14.  学校の昼の休みに赤門前の友の下宿の二階にねころんで、風のない小春日の温かさを貪るのがあの頃の自分には一つの日課のようになっていた。従ってこの下宿の帳場に坐っていつもいつも同じように長い煙管をふすべている主婦ともガラス障子越・・・<寺田寅彦「雪ちゃん」青空文庫>
  15. ・・・トランプや花も好きであったが、本を読むことも彼女の日課の一つであった。 道太は暇つぶしに、よく彼女や抱えの女たちと花を引いたが、弱そうに見えるおひろは、そう勝ちもしなかったけれど、頭脳は鋭敏に働いた。勘定も早かった。その声に深みがあるよ・・・<徳田秋声「挿話」青空文庫>
  16. ・・・それが午過になってまただんだん険悪に陥ったあげく、とうとう絶望の状態まで進んで来た時は、余が毎日の日課として筆を執りつつある「彼岸過迄」をようやく書き上げたと同じ刻限である。池辺君が胸部に末期の苦痛を感じて膏汗を流しながらもがいている間、余・・・<夏目漱石「三山居士」青空文庫>
  17. ・・・ その頃は日課として小説を書いている時分であった。飯と飯の間はたいてい机に向って筆を握っていた。静かな時は自分で紙の上を走るペンの音を聞く事ができた。伽藍のような書斎へは誰も這入って来ない習慣であった。筆の音に淋しさと云う意味を感じた朝・・・<夏目漱石「文鳥」青空文庫>
  18. ・・・orders wherein ……………………………………4 brothers' names who list to serche the grovnd.女はこの句を生れてから今日まで毎日日課として暗誦したように一種の口調をもっ・・・<夏目漱石「倫敦塔」青空文庫>
  19. ・・・私はフランネルの着物を着て、ひとりで裏山などを散歩しながら、所在のない日々の日課をすごしていた。 私のいる温泉地から、少しばかり離れた所に、三つの小さな町があった、いずれも町というよりは、村というほどの小さな部落であったけれども、その中・・・<萩原朔太郎「猫町」青空文庫>
  20. ・・・この男はきちんと日課に割り附けてある一日の午後を、どんな美しい女のためにでも、無条件に犠牲に供せようとは思わない。この心持は自分にもはっきり分かっている。そんなら何が今でもこの男に興味を感ぜさせるかと云うと、それは女が自分のためにのぼせてく・・・<著:プレヴォーマルセル 訳:森鴎外「田舎」青空文庫>
  21. ・・・それは役所の日課の時間割によって、忠実になされているのであるから。私はしまいに、ラジオで音楽が鳴り出すと、決して終りまで心持よく聴くことなどを初めから期待しないという抵抗力をつけた。さもなければ、緊張と中絶との全然受動的なくり返しで、かえっ・・・<宮本百合子「芸術が必要とする科学」青空文庫>
  22. ・・・の働きを見るのが、彼の新しい飽きることのない日課となったのである。 或る日、六はいつもの通り小屋へ行こうとして家を出かけた。 そして、とある林の傍へ来かかると彼の目には妙なものが見えた。赤い小さい、可愛い椅子が、何かをのせて空の真中・・・<宮本百合子「禰宜様宮田」青空文庫>
  23. ・・・一週間に一遍ずつ市ヶ谷に面会にゆくことが日課になった。宮本がともかく警察で殺されないで市ヶ谷に行ったということは私を大変安心させた。小説の書ける気持になった。小説「乳房」を中央公論に発表した。この小説は後にソヴェトで革命文学の文集に集録され・・・<宮本百合子「年譜」青空文庫>
  24. ・・・たちのわるい残酷ないたずらをするのが日課であるいとこたち。ゴーリキイの不安な毎日の中で、たった一つのよろこびと慰めとなったのは、おばあさんでした。昔話が此上なく上手で、人間は、辛棒づよく正しく親切をつくし合って生きるべきものであることをいつ・・・<宮本百合子「マクシム・ゴーリキイについて」青空文庫>
  25. ・・・リュシアンの日課   軍務。ナポレオン戦史講義   騎兵の操兵法チェスのようにして  そういう日課が習慣となって来た、  p.91―若い少尉のあらゆる感覚が鈍って来た             ○ ――殆ど自分・・・<宮本百合子「「緑の騎士」ノート」青空文庫>