にん‐じん【人参】例文一覧 10件

  1. ・・・そうしてその町の右側に、一軒の小さな八百屋があって、明く瓦斯の燃えた下に、大根、人参、漬け菜、葱、小蕪、慈姑、牛蒡、八つ頭、小松菜、独活、蓮根、里芋、林檎、蜜柑の類が堆く店に積み上げてある。その八百屋の前を通った時、お君さんの視線は何かの拍・・・<芥川竜之介「葱」青空文庫>
  2. ・・・牛蒡、人参は縦に啣える。 この、秋はまたいつも、食通大得意、というものは、木の実時なり、実り頃、実家の土産の雉、山鳥、小雀、山雀、四十雀、色どりの色羽を、ばらばらと辻に撒き、廂に散らす。ただ、魚類に至っては、金魚も目高も決して食わぬ。・・・<泉鏡花「茸の舞姫」青空文庫>
  3. ・・・――実際あそこの人参葉の美しさなどは素晴しかった。それから水に漬けてある豆だとか慈姑だとか。 またそこの家の美しいのは夜だった。寺町通はいったいに賑かな通りで――と言って感じは東京や大阪よりはずっと澄んでいるが――飾窓の光がおびただしく・・・<梶井基次郎「檸檬」青空文庫>
  4. ・・・コローの絵を想い出させるようなフランスの田舎の幻像がスクリーンの上を流れて行く、老人と子供が雪夜の石段を下りて来る図や、密航船の荷倉で人参をかじる図なども純粋に挿画的である。      三 管弦楽映画 ベルリンフィルハルモニ・・・<寺田寅彦「映画雑感(5[#「5」はローマ数字、1-13-25])」青空文庫>
  5. ・・・先ず裏の畑の茄子冬瓜小豆人参里芋を始め、井戸脇の葡萄塀の上の棗、隣から貰うた梨。それから朝市の大きな西瓜、こいつはごろごろして台へ載りにくかったのをようやくのせると、神様へ尻を向けているのは不都合じゃと云い出してまた据え直す。こんな事でとう・・・<寺田寅彦「祭」青空文庫>
  6. ・・・ 小石川区内では○植物園門前の小石川○柳町指ヶ谷町辺の溝○竹島町の人参川○音羽久世山崖下の細流○音羽町西側雑司ヶ谷より関口台町下を流れし弦巻川。 芝区内では○愛宕下の桜川また宇田川○芝橋かかりし入堀 赤坂区内では○溜池桐畠の溝渠・・・<永井荷風「葛飾土産」青空文庫>
  7. ・・・照らされた部分が泥だらけの人参のような色に見える。「こう毎日のように舟から送って来ては、首斬り役も繁昌だのう」と髯がいう。「そうさ、斧を磨ぐだけでも骨が折れるわ」と歌の主が答える。これは背の低い眼の凹んだ煤色の男である。「昨日は美しいのをや・・・<夏目漱石「倫敦塔」青空文庫>
  8. ・・・ きのう、霜どけのぬかるみを歩いてその通りをゆくと、ちょうど八百やが露店を出していた。人参、葱、大根が並んでいる。鉢巻した売りてが、大きい一本の大根をぶら下げて、あっちからこっちへと積みかえながら、「さア、この大根だと、一本十六円」・・・<宮本百合子「人民戦線への一歩」青空文庫>
  9. ・・・ 駿府の城ではお目見えをする前に、まず献上物が広縁に並べられた。人参六十斤、白苧布三十疋、蜜百斤、蜜蝋百斤の四色である。江戸の将軍家への進物十一色に比べるとはるかに略儀になっている。もとより江戸と駿府とに分けて進上するという初めからのし・・・<森鴎外「佐橋甚五郎」青空文庫>
  10. ・・・沢山な人が私のいったその家に集っていて、大皿や鉢に、牛蒡や人参や、鱈や、里芋などの煮つめたものが盛ってある間を、大きな肩の老人が担がれたまま、箱の中へ傾けて入れられるところだった。それが母の父の死の姿だった。また、人の死の姿を私の見たのはそ・・・<横光利一「洋灯」青空文庫>