にん‐む【任務】例文一覧 30件

  1. ・・・永年の交際において、私は氏がその任務をはずかしめるような人ではないと信じますから一言します。 けれどもこれら巨細にわたった施設に関しては、札幌農科大学経済部に依頼し、具体案を作製してもらうことになっていますから、それができ上がった時、諸・・・<有島武郎「小作人への告別」青空文庫>
  2. ・・・これが最もさし迫った任務である。しかし、それもまた、僕には、残忍なほど明確な決心があった。 それがために、しかしわが家ながら、他家のごとく窮屈に思われ、夏の夜をうちわ使う音さえ遠慮がちに、近ごろにない寂しい徹宵の後に、やッと、待ち設けた・・・<岩野泡鳴「耽溺」青空文庫>
  3. ・・・ 何を措いても児童たちに、理想社会の全貌を彷彿させることが肝要であり、また芸術や、教育の任務でなければなりません。そして、児童の読物に於ては、誤れる現実の喜悲を清算して、真にこれを感じて尊重しなければならぬ人類の名誉、幸福のいかなるもの・・・<小川未明「童話を書く時の心」青空文庫>
  4. ・・・倫理学はこの道徳盲を克服して、あらゆる人と時と処とにおいて不易なる道徳的真理そのもの、ジットリヒカイトを見出すことを任務とする。 かかる普遍的に妥当なる道徳的真理が存在するか否かがすでに根本的な問題である。たとえば唯物史観的な倫理学は一・・・<倉田百三「学生と教養」青空文庫>
  5. ・・・今日の文化の段階にまで達したる人間性の精神的要素と、ならびに人間性に禀具するらしい可能的神秘の側面で、われわれの恋愛の要請とは一体どんなものであるかを探求するのこそ進歩的恋愛論の本質的任務でなくてはならぬ。これに比べれば恋愛の社会的基礎の討・・・<倉田百三「学生と生活」青空文庫>
  6. ・・・しかし今日の、人間の文化と禍福とがますます密接に政治に依属しつつある時代において、政治の根本精神を正し、その理想を標幟せしむる啓蒙運動に、文化指導の任務を自覚するわれわれが関わりを持たずにいられないのは当然なことである。それは日蓮の時代より・・・<倉田百三「学生と先哲」青空文庫>
  7. ・・・それは純粋に専門的な技術家のみの結社であるが、技術は社会的・政治的問題と関連することなしには、その技術の任務と成果とをとげることができないと宣言しているのである。 かような事情である故、職能の習得のための読書もまた一般人生哲学的な課題の・・・<倉田百三「学生と読書」青空文庫>
  8. ・・・女性の任務の最大なものは母としてのそれであろうが、母としての務めの中でも、この子どもの精神と霊とを薫陶することが一番高い、重大なものであろう。 しかし子どもの精神と霊性とを薫陶するということも、肉体の世話と、労働の奉仕とを前提としなくて・・・<倉田百三「女性の諸問題」青空文庫>
  9. ・・・原則としては、理想的社会においては、普通の婦人は、自然が課したる母性としての特別任務をまず果して、それと両立し、少なくとも協定し得る限りにおいて、職業戦線に進出すべきものではあるまいか。 今日の社会では実に婦人は保護されていない。婦人と・・・<倉田百三「婦人と職業」青空文庫>
  10. ・・・ そこで、そういう、帝国主義的、――軍国主義的実質を曝露し、労働者農民大衆に働きかけ、大衆をして×起させることは、プロレタリア文学の任務である。これは、戦争が起っていない平和の時期に於ても、常に継続しなければならないのは、云うまでもない・・・<黒島伝治「反戦文学論」青空文庫>
  11. ・・・「みな、一時に集まって、任務についているんですぞ!」「一体、どういう状勢なんですか?」俺は、ワクワクしていた。「そんなこと、訊ねなくッてよろしい! 命令通りすればいいんだ!」 俺のあとから、七十人位やって来た。みな、銃と剣と弾薬・・・<黒島伝治「防備隊」青空文庫>
  12. ・・・主人が跣足になって働いているというのだから細君が奥様然と済してはおられぬはずで、こういう家の主人というものは、俗にいう罰も利生もある人であるによって、人の妻たるだけの任務は厳格に果すように馴らされているのらしい。 下女は下女で碓のような・・・<幸田露伴「太郎坊」青空文庫>
  13. ・・・あの時は砲車の援護が任務だった。砲車が泥濘の中に陥って少しも動かぬのを押して押して押し通した。第三聯隊の砲車が先に出て陣地を占領してしまわなければ明日の戦いはできなかったのだ。そして終夜働いて、翌日はあの戦争。敵の砲弾、味方の砲弾がぐんぐん・・・<田山花袋「一兵卒」青空文庫>
  14. ・・・かくすべしという命令は科学者としての任務のほかであることはもちろんである。これは忘れてならないことで、しかも往々にして忘れられがちなことである。 そういうことから考えても、科学者が科学者として文学に貢献しうるために選ぶべき一つの最も適当・・・<寺田寅彦「科学と文学」青空文庫>
  15. ・・・ 種の保存の任務を果たす前は雄が中央にのさばって雌を片わきに押しよせている。それが、役目がすむと直ちに枯死してしまった、あとは、次の世代を胎んだ雌のひとり天下になると見える。蜜蜂やかまきりの雄の運命ともよく似たところがあるのである。蜜蜂・・・<寺田寅彦「沓掛より」青空文庫>
  16. ・・・       十四 マルキシズムの立場から科学を論じ、科学者の任務に対していろいろな注文をつける人がある。その人たちとしては一応もっともな議論ではあろうが、ただの科学者から見るとごくごく狭い自分勝手な視角から見た管見的科学論・・・<寺田寅彦「藤棚の陰から」青空文庫>
  17. ・・・ 以上のごとき単純な側面観によって科学と芸術との任務や領域を遺憾なく説明しようというのではない。こういう考えから出発して、文芸の中に潜在する科学的要素を捜してみたいと思うのである。 いかなる文芸といえどもその取扱う資料が常識を具えた・・・<寺田寅彦「文学の中の科学的要素」青空文庫>
  18. ・・・「――いつか、新聞に“現代青年の任務”というのをお書きになったんでしょ。妾、とても、感激しましたわ」 東京弁をまじえて、笑いもせずにいっている。そのあいての顔から視線をはずしているのに、口から鼻のまわりへかけてゆれうごくものが、三吉・・・<徳永直「白い道」青空文庫>
  19. ・・・されば競技者の任務を言えば攻者の地に立つ時はなるべく廻了の数を多からしめんとし、防者の地に立つ時はなるべく敵の廻了の数を少からしめんとするにあり。廻了というは正方形を一周することなれどもその間には第一基第二基第三基等の関門あり各関門には番人・・・<正岡子規「ベースボール」青空文庫>
  20. ・・・ その次の日又重湯を運んでやり、歩けるようになる迄、粥をやるのがいしの任務であった。仙二は、苦笑しながら半分冗談、半分本気で云った。「あげえ業の深けえ婆、世話でも仕ずに死なしたら、忘れっこねえ、きっと化けて出よるぜ」 沢や婆は、・・・<宮本百合子「秋の反射」青空文庫>
  21. ・・・も一般人の生活の歴史に重大な関係をもつ社会事相に敏速に応じ、それを正当な方向において、歴史の意味するところを報告し、より正確で深い人間性に迄ふれて一般人に各自のおかれている現実関係を理解させようとする任務を持っている。 今日、諸雑誌や新・・・<宮本百合子「明日の言葉」青空文庫>
  22. ・・・レーニンの言葉を引用して、歴史の事実をゆがめ、労働者階級の任務を歪曲した議論がまとめられていることに、多くの人が驚きました。 知識欲のさかんな若い人々、レーニンが云っているように向上心にもえ、階級の武器として、あらゆる知識をもちたいと思・・・<宮本百合子「新しい抵抗について」青空文庫>
  23. ・・・ 婦人が性の本然として生殖の任務をもっているということと、女は家庭にあるべきものという旧来の考えかたと、婦人が今日の社会事情の現実によって課せられている勤労の必然と、この三つのものは現代では未だ非常な紛糾、混乱した関係におかれていると思・・・<宮本百合子「新しい婦人の職場と任務」青空文庫>
  24. ・・・民主主義革命とその文学とは、日本の全人民の、民主的な人間革命をこそ、広汎で重大な任務としてできる限りの熱意で達成してゆかなければならない。民主的で、人間的な社会進歩に対する善意を、普通の市民的標準の意志と肉体の堅忍とで保ってゆくことができる・・・<宮本百合子「あとがき(『宮本百合子選集』第十巻)」青空文庫>
  25. ・・・要は、食うためにはそれもしかたがない、という過去、あるいは現在の諸条件を、生存するばかりか人生のための仕事なのだからこそ、ここまで高まらなくてはならないと社会的に主張し、努力してゆくのが、私たち作家の任務であると知らしてきていると思う。・・・<宮本百合子「ある回想から」青空文庫>
  26. ・・・父は医者であるが、医者は病気というものをこの人生から駆逐する任務を持っているという確信で動いていた。父の日常の動作に「報酬のため」或いは「生活費のため」という影のさしたことをかつて見たことがない。報酬はもちろん受ける、しかし自分の任務を果た・・・<和辻哲郎「蝸牛の角」青空文庫>
  27. ・・・ 根に対する情熱を鼓吹し、その根の本能的に好むところの土壌のありかを教え、そうして幾千年来堆積している滋養分をその根に供給してやるのが教育の任務である。特に大学教育の任務である。 大学が植木鉢に堕するか否かは、人の問題であって制度の・・・<和辻哲郎「樹の根」青空文庫>
  28. ・・・それは生命の流動に統一ある力強さを与えるべく、また生命の発育を健やかな豊満と美とに導くべく、生活にとって欠くべからざる任務を有する。これなくしては人は意識の混沌と欲求の分裂との間に萎縮しおわらなくてはならぬ。人が何らか積極的の生を営み得るた・・・<和辻哲郎「『偶像再興』序言」青空文庫>
  29. ・・・――この点を明らかにするのが第一の任務である。 一般民衆が圧抑に対する反動をもって動くときには、ともすれば群集心理的の浮ついた気分になって、芸術を受用し得るような心の落ちつきを失うものである。しかし民衆の教養は、西ヨーロッパにおいては、・・・<和辻哲郎「世界の変革と芸術」青空文庫>
  30. ・・・への奉仕とともに、真実の人類への奉仕であることを、そうしてそれが自己の任務づけられた、自己の分担し得る人類への奉仕であることを、明白に自覚している。この自覚を岸田君は切実なる内生の告白として表現しているのである。 美への奉仕はすなわち人・・・<和辻哲郎「『劉生画集及芸術観』について」青空文庫>