• で始まる
  • で一致する
  • で終わる
  • を説明文に含む
  • を見出しに含む

ぬき【抜き】例文一覧 30件

  1. ・・・はそのために大きい彼の写真を出したり、三段抜きの記事を掲げたりした。何でもこの記事に従えば、喪服を着た常子はふだんよりも一層にこにこしていたそうである。ある上役や同僚は無駄になった香奠を会費に復活祝賀会を開いたそうである。もっとも山井博士の・・・<芥川竜之介「馬の脚」青空文庫>
  2. ・・・青侍は、爪で頤のひげを抜きながら、ぼんやり往来を眺めている。貝殻のように白く光るのは、大方さっきの桜の花がこぼれたのであろう。「話さないかね。お爺さん。」 やがて、眠そうな声で、青侍が云った。「では、御免を蒙って、一つ御話し申し・・・<芥川竜之介「運」青空文庫>
  3. ・・・ 扉の後には牛乳の瓶がしこたましまってあって、抜きさしのできる三段の棚の上に乗せられたその瓶が、傾斜になった箱を一気にすべり落ちようとするので、扉はことのほかの重みに押されているらしい。それを押し返そうとする子供は本当に一生懸命だった。・・・<有島武郎「卑怯者」青空文庫>
  4. ・・・息もつかず、もうもうと四面の壁の息を吸って昇るのが草いきれに包まれながら、性の知れない、魔ものの胴中を、くり抜きに、うろついている心地がするので、たださえ心臓の苦しいのが、悪酔に嘔気がついた。身悶えをすれば吐きそうだから、引返して階下へ抜け・・・<泉鏡花「開扉一妖帖」青空文庫>
  5. ・・・けれども、以前見覚えた、両眼真黄色な絵具の光る、巨大な蜈むかでが、赤黒い雲の如く渦を巻いた真中に、俵藤太が、弓矢を挟んで身構えた暖簾が、ただ、男、女と上へ割って、柳湯、と白抜きのに懸替って、門の目印の柳と共に、枝垂れたようになって、折から森・・・<泉鏡花「国貞えがく」青空文庫>
  6. ・・・起き抜きでしょう。さア……かねや……」 民子のお父さんとお母さん、民子の姉さんも来た。「まアよく来てくれました。あなたの来るのを待ってました。とにかくに上って御飯をたべて……」 僕は上りもせず腰もかけず、しばらく無言で立っていた・・・<伊藤左千夫「野菊の墓」青空文庫>
  7. ・・・「どうです、まだ任せられませんか、もう理屈は尽きてるから、理屈は抜きにして、それでも親の掟に協わない子だから捨てるというなら、この薊に拾わしてください。さあ土屋さん、何とかいうてください」「いや薊さん、それほどいうなら任せよう。たし・・・<伊藤左千夫「春の潮」青空文庫>
  8. ・・・この一言の勢いは、抜き身をもってはいって来た強盗ででもあるかのようであった。「………」僕はいたたまらないで二階を下りて来た。 しばらくしてはしご段をとんとんおりたものがあるので、下座敷からちょッと顔を出すと、吉弥が便所にはいるうしろ・・・<岩野泡鳴「耽溺」青空文庫>
  9. ・・・一時は猫も杓子も有頂天になって、場末のカフェでさえが蓄音機のフォックストロットで夏の夕べを踊り抜き、ダンスの心得のないものは文化人らしくなかった。 が、四十年前のいわゆる鹿鳴館時代のダンス熱はこれどころじゃなかった。尤も今ほど一般的では・・・<内田魯庵「四十年前」青空文庫>
  10. ・・・間接に来世を語る言葉は到る所に看出さる、而して是は単に非猶太的なる路加伝に就て言うたに過ぎない、新約聖書全体が同じ思想を以て充溢れて居る、即ち知る聖書は来世の実現を背景として読むべき書なることを、来世抜きの聖書は味なき意義なき書となるのであ・・・<内村鑑三「聖書の読方」青空文庫>
  11.  くりの木のこずえに残った一ひらの葉が、北の海を見ながら、さびしい歌をうたっていました。 おきぬは、四つになる長吉をつれて、山の畑へ大根を抜きにまいりました。やがて、冬がくるのです。白髪のおばあさんが、糸をつむいでいるように、空では・・・<小川未明「谷にうたう女」青空文庫>
  12. ・・・ 女は二十二三でもあろうか、目鼻立ちのパラリとした、色の白い愛嬌のある円顔、髪を太輪の銀杏返しに結って、伊勢崎の襟のかかった着物に、黒繻子と変り八反の昼夜帯、米琉の羽織を少し抜き衣紋に被っている。 男はキュウと盃を干して、「さあお光・・・<小栗風葉「深川女房」青空文庫>
  13. ・・・ずして、死んだとか、とくに死んでいる筈の病人が、どういう手落ちでか、百ヵ日当日の新聞広告の写真の上に生きかえって、おかげで全快してこんな嬉しいことはない云々と喋っているとか、些かユーモア味のある素っ破抜きをしてあるが、まさか、そんなことはな・・・<織田作之助「勧善懲悪」青空文庫>
  14. ・・・ 新吉はベンチに腰掛けながら、栓抜き瓢箪がぶら下ったようなぽかんとした自分の姿勢を感じていた。 新吉はよく「古綿を千切って捨てたようにクタクタに疲れる」という表現を使ったが、その古綿の色は何か黄色いような気がしてならなかった。 ・・・<織田作之助「郷愁」青空文庫>
  15. ・・・ と光代は奪上げ放しに枕の栓を抜き捨て、諸手に早くも半ば押し潰しぬ。 よんどころなく善平は起き直りて、それでは仲直りに茶を点れようか。あの持って来た干菓子を出してくれ。と言えば、知りませぬ。と光代はまだ余波を残して、私はお湯にでも参りま・・・<川上眉山「書記官」青空文庫>
  16. ・・・ことに妊娠というようなことにでもなれば、抜き差しならぬ破目に陥ることがある。これは充分警戒しなければならぬことだ。ダンサー、女給、仲居、芸者等いわゆる玄人の女性は気をつけねばならぬ。ことに自分より年増の女は注意を要する。      ・・・<倉田百三「学生と生活」青空文庫>
  17. ・・・母性愛と職業との矛盾は国家の保護政策を抜きにして解決の道はない。元来子孫の維持と優生という男女協同の任務の遂行が、女子に特別な負荷を要求する以上、男子が女子を保護しなければならないのは当然のことである。しかるに今日においては国法は男子の利益・・・<倉田百三「婦人と職業」青空文庫>
  18. ・・・ 彼は、抜き捨てられた菜ッ葉のように、凋れ、へすばってしまいだした。 彼は最後の力を搾った。 彼はまた這い上ろうとした。 将校は、大刀のあびせようがなかった。将校は老人の手や顔に包丁で切ったような小さい傷をつけるのがいやにな・・・<黒島伝治「穴」青空文庫>
  19. ・・・ 少尉が兵士達の注意を右の方へ向けようとして、何やら真剣に叫んで、抜き身の軍刀を振り上げながら、永井の傍を馳せぬけた。しかし、それが何故であるか、永井には分らなかった。彼の頭の中には娘の豊満な肉体を享楽するただそのことがあるばかりだった・・・<黒島伝治「パルチザン・ウォルコフ」青空文庫>
  20. ・・・コロック抜きも螺状をなしているから能く突込めるのだよ。道路は即ち螺状を平面にしたようについているものだよ。事々物々皆螺旋サ。波線で世界を解釈しても解釈が出来るよ、螺線を見つぶしにすれば即ち波線だよ、波線螺線渦線皆曲線より成るものサ、その曲線・・・<幸田露伴「ねじくり博士」青空文庫>
  21. ・・・と金太郎はちょっとお力の方を見て、「この九月一日には、私共も集りまして、旦那に、先生に、それから私共夫婦と、四人で記念にビイルなぞを抜きました」「大方そんなことだろうッて、浦和でもお噂していましたよ」とお三輪が言った。「それがです、・・・<島崎藤村「食堂」青空文庫>
  22. ・・・そうして、たしかに、その辺の家の窓は、ごみで茶色に染まっているのであります。抜きさしならぬ現実であります。そうして一群の鳩が、驚いて飛び立って、唯さえ暗い中庭を、一刹那の間、一層暗くしたというのも、まさに、そのとおりで、原作者は、女のうしろ・・・<太宰治「女の決闘」青空文庫>
  23. ・・・これなどは思い切って切り詰め、年代いじりなどは抜きにして綱領だけに止めたい。特に古い時代の歴史などはずいぶん抜かしてしまっても吾人の生活に大した影響はない。私は学生がアレキサンダー大王その外何ダースかの征服者の事を少しも知らなくても、大した・・・<寺田寅彦「アインシュタインの教育観」青空文庫>
  24. ・・・この四種のいずれがいかなる時勢に流行し、いずれがいかなる人にもっとも歓迎さるるかは大分興味ある問題でありますが、これも時間がないから抜きに致します。ただちょっと御断りをしておきたいのは、この四種は名前の示すごとく四種であって互にそれ相当の主・・・<夏目漱石「文芸の哲学的基礎」青空文庫>
  25. ・・・この文は西洋の新聞紙等より抜きたるものにして、必ずしもその記事の醜美を撰ぶにあらざれば、時々法外千万なる漫語放言もあれども、人生の内行に関するの醜談、即ち俗にいう下掛りのこととては、かつて一言もこれを見ず。その然る所以は、訳者が心を用いて特・・・<福沢諭吉「日本男子論」青空文庫>
  26. ・・・男の子はまるでパイを喰べるようにもうそれを喰べていました、また折角剥いたそのきれいな皮も、くるくるコルク抜きのような形になって床へ落ちるまでの間にはすうっと、灰いろに光って蒸発してしまうのでした。 二人はりんごを大切にポケットにしまいま・・・<宮沢賢治「銀河鉄道の夜」青空文庫>
  27. ・・・其の機械として対手を見、その快楽から、人格的価値抜きに対手を抱擁する事は愧ずべき事だ。 人が、陥り易い多くの盲目と、忘我とを地獄の門として居る為に、性慾が如何に恐るべき謹むべきものであるかと云うことは、昔の賢者の云った通りである。 ・・・<宮本百合子「黄銅時代の為」青空文庫>
  28. ・・・横田聞きも果てず、いかにも某は茶事の心得なし、一徹なる武辺者なり、諸芸に堪能なるお手前の表芸が見たしと申すや否や、つと立ち上がり、脇差を抜きて投げつけ候。某は身をかわして避け、刀は違棚の下なる刀掛に掛けありし故、飛びしざりて刀を取り抜き合せ・・・<森鴎外「興津弥五右衛門の遺書」青空文庫>
  29. ・・・ 母が立ち去った跡で忍藻は例の匕首を手に取り上げて抜き離し、しばらくは氷の光をみつめてきっとした風情であったが、またその下からすぐに溜息が出た,「匕首、この匕首……さきにも母上が仰せられたごとくあの刀禰の記念じゃが……さてもこれを見・・・<山田美妙「武蔵野」青空文庫>
  30. ・・・少年のころから深く植えつけられた習癖が、そう簡単に抜き去られるものではない。 藤村の文体の特徴も、おそらくここに関係があるであろう。ありのままを卒直に言ってしまうということは、実際にありのままを表現し得るかどうかは別問題として、一つの性・・・<和辻哲郎「藤村の個性」青空文庫>