ねつ‐あい【熱愛】例文一覧 14件

  1. ・・・……どっちだかそれは解らんが、とにかく相互の熱情熱愛に人畜の差別を撥無して、渾然として一如となる、」とあるはこの瞬間の心持をいったもんだ。 この犬が或る日、二葉亭が出勤した留守中、お客が来て格子を排けた途端に飛出し、何処へか逃げてしまっ・・・<内田魯庵「二葉亭余談」青空文庫>
  2. ・・・ 私を、現実の苦しみから救うものは、逃避でもなく、妥協でもなく、また終わりなき戦いでもなく、全く、創造の熱愛があるからです。私は、創造のために、いかなる戦いも辞せない。 私達が、この現実に於て、あらゆる方面や、形に於て戦うということ・・・<小川未明「『小さな草と太陽』序」青空文庫>
  3. ・・・ 現実は説明の出来ない力であるが、若し芸術家が真に此の現実の前に謙遜であり、それを熱愛し、それを痛感しているならば、其の人の芸術は必ず民衆の胸を衝き、誰れにでも強い感激を与え得るに違いない。何となれば芸術は凡ての現実の極度だからである。・・・<小川未明「囚われたる現文壇」青空文庫>
  4. ・・・このことは、即ち、親達が、そして教える人達が、先ず真理の熱愛者でなければならぬことを語るに他ならないと思うのであります。<小川未明「読んできかせる場合」青空文庫>
  5. ・・・予言者には宇宙の真理とひとつになったという宗教的霊覚がなければならぬのは勿論であるが、さらに特に己れの生きている時代相への痛切な関心と、鋭邁な批判と、燃ゆるが如き本能的な熱愛とをもっていなければならない。普通妥当の真理への忠実公正というだけ・・・<倉田百三「学生と先哲」青空文庫>
  6. ・・・日本にも、それら大家への熱愛者が五万といるのであるから、私が、その作品を下手にいじくりまわしたならば、たちまち殴り倒されてしまうであろう。めったなことは言われぬ。それが HERBERT さんだったら、かえって私が、埋もれた天才を掘り出したな・・・<太宰治「女の決闘」青空文庫>
  7. ・・・あにを熱愛していたぼくは、マルキシズムの理論的影響失せなかったぼくは、直に共鳴して、鎌倉の別荘を売ったぼくの学費を盗みだして兄に渡し、自分も学内にR・Sを作りました。関タッチイはそのメンバーであり、彼の下宿はアジトでした。その頃、自殺を企て・・・<太宰治「虚構の春」青空文庫>
  8. ・・・ これもいかにも八雲氏の熱愛した固有日本の夢を象徴するもののように見えておもしろい。このような蒲団地は、今日ではもうたぶんデパートはもちろんどこの呉服屋にも見つからないであろう。それをわざわざ調製したのだそうである。小山書店主人のなみな・・・<寺田寅彦「小泉八雲秘稿画本「妖魔詩話」」青空文庫>
  9. ・・・先生自身が自然探究に対する熱愛をもっていれば、それは自然に生徒に伝染しないはずはない。実例の力はあらゆる言詞より強いからである。 すべての小学校、中学校の先生が皆立派な科学者でなければならないという事を望むのは無理である。実行不可能であ・・・<寺田寅彦「雑感」青空文庫>
  10. ・・・絵具商のタンギイ爺さんというのがセザンヌ一派を熱愛して、たまにセザンヌの絵を求めてくる人があると、画室へ自分が案内して選ばせたのだそうですが、その画室には、一枚のキャンバスに小さいモティブの絵がいくつか別々に描かれていて、貧しい愛好家は一ル・・・<宮本百合子「獄中への手紙」青空文庫>
  11. ・・・デスデモーナは、オセロを熱愛しながら、一方で畏怖している。オセロの愛のはげしさをうけみにおそれて、これをなくさないように、と云われたその言葉の力に圧せられ、麻痺させられてしまっている。デスデモーナのこの分別のない過度の従順さ、清浄さ、無邪気・・・<宮本百合子「女性の歴史」青空文庫>
  12. ・・・を眺め、横光によってたどられた自由建設の道行きを調べると、私どもは、いわゆる高邁な文学的業績を熱愛する作者が、実は案外、単純で、楽な道具だてだけをこの作品のために拾ってきている事実を見出すのである。 総体がリアリズムによって書かれている・・・<宮本百合子「一九三四年度におけるブルジョア文学の動向」青空文庫>
  13. ・・・真面目な科学者は、彼の片目を盲にした爆発物を、なお残りの隻眼で分析する勇気と、熱愛と、献身とを持つ」 彼女は確かに失望もし、情けない恥かしさに心を満たされもした。 けれども、極度な歓喜に燃え熾った感情が、この失策によって鎮められ、し・・・<宮本百合子「地は饒なり」青空文庫>
  14. ・・・その三月の時、日頃彼を熱愛していた母は、最愛の息子が自殺して苦悶から逃げようとした態度を激励的に叱責するよりも先に、その純情と苦悶とに自分がうたれ、感傷し、感情の上で弟にまきこまれた。五ヵ月後、彼が遂に死んだ時も、母はこの濁世に生きるには余・・・<宮本百合子「母」青空文庫>