ねつ‐ぼう〔‐バウ〕【熱望】例文一覧 25件

  1. ・・・が悪いのか、母と妹とが悪いのか、今更いうべき問題でもないが、ただ一の動かすべからざる事実あり曰く、娘を持ちし親々は、それが華族でも、富豪でも、官吏でも、商人でも、皆な悉く軍人を聟に持ちたいという熱望を持ていたのである。 娘は娘で軍人を情・・・<国木田独歩「酒中日記」青空文庫>
  2. ・・・ かつ拙者は貴所の希望の成就を欲する如く細川の熱望の達することを願う、これに就き少も偏頗な情を持ていない。貴所といえども既に細川の希望が達したと決定れば細川の為めに喜こばれるであろう。又梅子嬢の為にも、喜ばれるであろう。 そして拙者・・・<国木田独歩「富岡先生」青空文庫>
  3. ・・・だから、資本家は、「植民地の征服を熱望する。」そうして、「金融資本と、それに相応する国際政策とは、結局世界の経済的政治的分割のための強国間の闘争をもたらすことになる。」 これが即ち帝国主義××である。そうして、広大な植民地と市場を独占し・・・<黒島伝治「反戦文学論」青空文庫>
  4. ・・・執筆の動機はただ我邦学術の健全なる発達に対する熱望の外には何物もない。ただ生来の不文のために我学界に礼を失するがごとき点があるかもしれないが、これについては単えに読者の寛容を祈る次第である。・・・<寺田寅彦「学位について」青空文庫>
  5. ・・・感覚的な外観の底にかくれた不可達の生命をつかもうとする熱望衝動が同じ方向に動こうとする吾々の心にもいくぶんかの運動量を附与しないだろうか。無論私は作家自身の心のアスピレーションと作品の上に現れたそれとを混同していない積りである。努力だけを買・・・<寺田寅彦「帝展を見ざるの記」青空文庫>
  6. ・・・私たちの心情には一つの熱望がある。それは日本の女性の真の心を、世界の女性につたえたいおもいである。だが、それには世界に通じることばがなければならない。「民主的日本の女性から」という生きたことばが確立されなければならない。〔一九四七年二月・・・<宮本百合子「明日の知性」青空文庫>
  7. 「伸子」は、一九二四年頃から三年ほどかかって書かれた。丁度、第一次ヨーロッパ大戦が終った時から、その後の数年間に亙る時期に、日本の一人の若い女性が、人及び女として、ひたすら成長したい熱望につき動かされて、与えられた中流的な環・・・<宮本百合子「あとがき(『伸子』第一部)」青空文庫>
  8. ・・・この人生に明らかな知性と豊かで健全な人間的情熱の発動を熱望する一人の作家が、今日の現実を見る勉強としてやって見るつもりである。日本文学史全巻を担当される近藤忠義が、篤学、正確な視点をもたれる学者であることは、読者にとっての幸運であるし、同時・・・<宮本百合子「意味深き今日の日本文学の相貌を」青空文庫>
  9. ・・・時の間に、市電や省線にのりこんで来る詰襟の少年たちの心の底に求められているものは、何と云っても自分たちが偶然生れあわせた境遇に抗して、人生の可能を自分たちの現実によりひろげよりゆたかに獲得して行きたい熱望であろうと思う。もっと勉強したいとい・・・<宮本百合子「今日の耳目」青空文庫>
  10. ・・・ 輸入映画が国外の興業資本によって日本の文化に植民地的な影響を深めつつあるとき、日本の心あるすべての人々は、日本の人民生活の実感を芸術化した日本の映画の発展を熱望している。放送討論会でも日本映画の将来については大衆の熱心で支持的な発言が・・・<宮本百合子「今日の日本の文化問題」青空文庫>
  11. ・・・「戦争の災禍が骨身に徹しており、かつ個人の精神的物質的幸福を無視することが、どのような結果をもたらすかを十分経験した日本人は、これらの熱望に共感するであろう」と。わたしたちはこの言葉を、生活の実際について理解し、平和について語り、平和のため・・・<宮本百合子「世界は求めている、平和を!」青空文庫>
  12. ・・・それらがとりあげられず、その悲傷において、その克服への熱望においてそのものとして肯定を強要して存在するのでしょうか。 久しい間沈黙していた豊島与志雄がこのごろ「塩花」などをはじめ、若い女性を主人公とするいくつもの作品を発表しています。初・・・<宮本百合子「一九四六年の文壇」青空文庫>
  13. ・・・ マヤコフスキーが、ソヴェトを愛し、その発達を熱望し、それを自分の戯曲の中で目の前に見るように描きたがった心持。彼の所謂、「よく丈夫に組立てられたフォードの美」をその演出で把握しようとしたメイエルホリドの意志。どっちも理解出来る。二人は・・・<宮本百合子「ソヴェトの芝居」青空文庫>
  14. ・・・というのは、空を翔びたいと熱望した少年イカルスが、大鳥の翼を体につけて地上より飛び立ち、高く高くと舞い上って行ったけれども、あんまり天に近いところまで行ったら、ジュピターが人間の少年イカルスの剛胆さに腹をたてて、イカルスの背中に翼をくっつけ・・・<宮本百合子「なぜ、それはそうであったか」青空文庫>
  15. ・・・この年に書いた小説はどれも、作者のその基本的な熱望の上にたっていた。しかし表現はむずかしくてどの作品もかろうじて全篇を流れる気分として戦争に対する反対を表し得たばかりであった。文芸評論でいわゆる日本的なものの本質の究明とエセヒューマニズムと・・・<宮本百合子「年譜」青空文庫>
  16. ・・・再び職業に戻りたい熱望は堪えがたいものです。ロザリーは、種々に苦しみました。 良人は、家庭の為にと云って、それを賛成しない。彼は義務を云々します。彼女は、こう云う場合自分が男であったなら、何の面倒なことがあろうと思わずにはいられません。・・・<宮本百合子「「母の膝の上に」(紹介並短評)」青空文庫>
  17. ・・・ 私共は、真個によりよい事実の上に生きることを熱望致します。〔一九二一年八月〕<宮本百合子「ひしがれた女性と語る」青空文庫>
  18. ・・・ 生きることを心から愛する私たち日本の婦人、努力を惜しまず、平和と幸福との社会的な保証を熱望する私たち日本婦人は、率直にそれらの真情を吐露しながら、世界の歩みと倶に自分たちの実力を高め、希望を実現してゆく方法を学び、その忍耐づよさに最後・・・<宮本百合子「婦人民主クラブ趣意書」青空文庫>
  19. ・・・従って作品の主題は人道主義的正義観、人間解放への熱望などで特色づけられているのだ。ドストイェフスキーの作品の悲劇的な分裂の世界は、ロシアの苦悩が正当なはけぐちとしての人民の革命的方向からはなれた結果の錯乱として、世界的な例を示している。・・・<宮本百合子「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」青空文庫>
  20. ・・・一人の女が、さながら子供なんぞ可愛いと思ってはいけない夜叉のヒューマニズムでも高々とふりかざしているかのように云われる舟橋氏も、主張されるその新胎に立ってしずかに眺められた時、ここに一つの愛し生まんと熱望しつつ歴史の歯車によってその可能を引・・・<宮本百合子「夜叉のなげき」青空文庫>
  21. ・・・特に昭和三年、三男英男を失ってから、母は以前にもまして自身の情熱を文章として表現したいという熱望を抱くようになったとともに、既にその頃は糖尿病が重り、視力衰弱して読書執筆については全く不如意な健康状態におかれていたのであった。それにもかかわ・・・<宮本百合子「葭の影にそえて」青空文庫>
  22. ・・・ ボリシェヴィキは火花のような言葉でそれをあばき大衆の熱望をとらえている。 戦艦オーロラーが、冬宮を砲撃した時の写真、軍事革命委員会の本部があった、スモーリヌイの大きな写真を見ると、われ知らず、喜びの叫びが口をついてあふれる・・・<宮本百合子「ロシアの過去を物語る革命博物館を観る」青空文庫>
  23. ・・・それが人間としての醜さとして社会生活の判断に適用するような社会、十代のひとたちが、よりよく生きようと熱望する、その熱望が、すべての人々の熱望に通じて行為されるような社会にしてゆくこと。自分自身を偽われず、新しい世代の何ものかであろうと欲する・・・<宮本百合子「若い人たちの意志」青空文庫>
  24. ・・・ 現代の平和と原子兵器禁止の要求にあらわされている世界人民の熱望の声々は、より高い次元での人民のルネッサンスの声々である。現代の医学では癌の発生する原因がとりのぞかれず、一分ごとに癌患者が出ている。それだからと云って、癌を人間社会から絶・・・<宮本百合子「私の信条」青空文庫>
  25. ・・・に即こうとする熱望があるのであった。七 先生の諧謔はこの超脱の要求と結びつけて考えねばならぬ。もともと先生の気質には諧謔的な傾向が存在していたかもしれない。しかし先生は諧謔をもってすべてを片づけようとする人ではなかった。諧謔・・・<和辻哲郎「夏目先生の追憶」青空文庫>