ねつ‐れつ【熱烈】例文一覧 30件

  1. ・・・いや、むしろ前よりも熱烈に夫を愛しているのです。夫もまた妙子を信じている。これは云うまでもないことでしょう。そのために妙子の苦しみは一層つのるばかりなのです。 主筆 つまりわたしの近代的と云うのはそう云う恋愛のことですよ。 保吉 達・・・<芥川竜之介「或恋愛小説」青空文庫>
  2. ・・・滝田君ほど熱烈に生活した人は日本には滅多にいないのかも知れない。<芥川竜之介「滝田哲太郎氏」青空文庫>
  3. ・・・さらばといって、君に熱烈なある野心があるとも思えない。ときどきの消息に、帰国ののちは山中に閑居するとか、朝鮮で農業をやろうとか、そういうところをみれば、君に妻子を忘れるほどのある熱心があるとはみえない。 こういうと君はまたきっと、「いや・・・<伊藤左千夫「去年」青空文庫>
  4. ・・・もし、芸術が真の発見であり、創意であり、作家の熱烈なる要求であることの代りに、通俗への合流に過ぎぬとしたら、何の教化ということもないでありましょう。 芸術は、凡俗生活に対する反抗からはじまったと見るべきが本当であります。今日の文化が、兎・・・<小川未明「作家としての問題」青空文庫>
  5. ・・・あの熱烈な態度はどうであったか。彼の一生は続いて人間性のために苦しい戦であり、反抗であった。それから思えば、何処に現在のキリスト教徒にその熱烈さと、その厳粛さと反抗の精神が燃えているか。全世界を通じてキリスト教徒の数は夥しい。若しこれらの信・・・<小川未明「反キリスト教運動」青空文庫>
  6. ・・・画家にして、同時に熱烈な詩人であったミレーの永久に民衆の良心に培う叫びが聞かれる所以なのです。 私は、思い出すまゝ、偶然ミレーを最初に例として言ったが、同じく、悲痛な、そして、民衆的な、言い換えれば人間的な、共に、人の心を動かさずには止・・・<小川未明「民衆芸術の精神」青空文庫>
  7. ・・・しかしすぐれた倫理学を熟読するならば、いかに著者の人間が誠実に、熱烈に、条理をつくして、その全容を表現しているかを見出して、敬慕の念を抱かずにはいられないであろう。それは文芸の傑作に触れた感動にも劣るものではない。そしてその感染性とわれわれ・・・<倉田百三「学生と教養」青空文庫>
  8. ・・・こちらの熱情がそれを呼びさまし、相手の注意がこちらに向いて、ついに熱烈な相思の仲になることもあるものだ。先方が稚い娘であるときにそうしたことがある。が、それにはよほどの熱誠と忍耐とがいるものだ。 が、それにもかかわらずどうしてもうまくい・・・<倉田百三「学生と生活」青空文庫>
  9. ・・・彼は雷電のごとくに馳駆し、風雨のごとくに敵を吹きまくり、あるいは瀑布のごとくはげしく衝撃するかと思えば、また霊鷲のように孤独に深山にかくれるのである。熱烈と孤高と純直と、そして大衆への哭くが如きの愛とを持った、日本におけるまれに見る超人的性・・・<倉田百三「学生と先哲」青空文庫>
  10. ・・・は、なおそれ以上、微塵もその反映は見られない。「肉弾」は熱烈な愛国主義に貫かれている。 愛国主義は、それ自身決して不自然な感情でもないし、浅薄なものでもない。それは、「幾世紀も幾千年にも亘る祖国の存在によって固められた最も深い感情の一つ・・・<黒島伝治「明治の戦争文学」青空文庫>
  11. ・・・が面白くなくも見えましょうが、それはそれとして置いて、馬琴の大手腕大精力と、それから強烈な自己の道義心と混淆化合してしまった芸術上の意見、即ち勧善懲悪という事を主義にして数十年間を努力した芸術的良心の熱烈であった事は、どうしても人をして尊敬・・・<幸田露伴「馬琴の小説とその当時の実社会」青空文庫>
  12. ・・・革命運動などのような、もっとも熱烈な信念と意気と大胆と精力とを要するの事業は、ことに少壮の士に待たねばならぬ。古来の革命は、つねに青年の手によってなされたのである。維新の革命に参加してもっとも力のあった人びとは、当時みな二十代から三十代であ・・・<幸徳秋水「死刑の前」青空文庫>
  13. ・・・ 力士の如き其最も著しき例である、文学・芸術の如きに至っても、不朽の傑作たる者は其作家が老熟の後よりも却って未だ大に名を成さざる時代の作に多いのである、革命運動の如き、最も熱烈なる信念と意気と大胆と精力とを要するの事業は、殊に少壮の士に・・・<幸徳秋水「死生」青空文庫>
  14. ・・・大町桂月、福本日南等と交友あり、桂月を罵って、仙をてらう、と云いつつ、おのれも某伯、某男、某子等の知遇を受け、熱烈な皇室中心主義者、いっこくな官吏、孤高狷介、読書、追及、倦まざる史家、癇癪持の父親として一生を終りました。十三歳の時です。その・・・<太宰治「虚構の春」青空文庫>
  15. ・・・理論物理のような常識に遠い六かしい事を講義して、そして聴衆を酔わせ得るのは、彼自身の内部に燃える熱烈なものが流れ出るためだと云っている。彼の講義には他の抽象学者に稀に見られる二つの要素、情調と愛嬌が籠っている、とこの著者は云っている。講義の・・・<寺田寅彦「アインシュタインの教育観」青空文庫>
  16. ・・・ また、ある少女が思春期以前に暴行を受けてその時の心の激動の結果が、熱烈な宗教心となって発現する。そうして最も純潔な尼僧の生活から、一朝つまらぬ悪漢に欺かれて最も悲惨な暗黒の生涯に転落する、というような実験を、忠実に行なった作品があると・・・<寺田寅彦「科学と文学」青空文庫>
  17. ・・・が重大で誠意が熱烈で従って緊張が強度であればあるほどに、それを無事に過ごしたあとの長閑さもまた一入でわれわれの想像出来ないものがあるであろうと思いながら、夕刊第二頁をあけると、そこには、教育界の腐敗、校長の涜職事件や東京市会と某会社をめぐる・・・<寺田寅彦「初冬の日記から」青空文庫>
  18. ・・・批評家自身の芸術観から編み上げた至美至高の理想を詳細に且つ熱烈に叙述した後に、結論としてただ一言「それ故にこれらの眼前の作品は一つも物になっていない」と断定するのもある。そういうのも面白いが、あまり抽象的で従って何時の世のどの展覧会にでも通・・・<寺田寅彦「帝展を見ざるの記」青空文庫>
  19. ・・・よしまた、知ったにしても、こういう江戸ッ児はわれら近代の人の如く熱烈な嫌悪憤怒を感じまい。我れながら解せられぬ煩悶に苦しむような執着を持っていまい。江戸の人は早く諦めをつけてしまう。すぐと自分で自分を冷笑する特徴をそなえているから。 高・・・<永井荷風「深川の唄」青空文庫>
  20. ・・・ この故に写生文家は地団太を踏む熱烈な調子を避ける。恁る狂的の人間を写すのを避けるのではない。写生文家自身までが写さるる狂的な人間と同一になるを避けるのである。避けるのではない。そこまで引き込まるる事がおかしくてできにくいのである。・・・<夏目漱石「写生文」青空文庫>
  21. ・・・何しろ人間一生のうちで数えるほどしかない僅少の場合に道義の情火がパッと燃焼した刹那を捉えて、その熱烈純厚の気象を前後に長く引き延ばして、二六時中すべてあのごとくせよと命ずるのは事実上有り得べからざる事を無理に注文するのだから、冷静な科学的観・・・<夏目漱石「文芸と道徳」青空文庫>
  22. ・・・僕の馬場下の家とは近いものだから、おりおりやってきて熱烈な議論をやった。あの男は君も知っているだろう。精神錯乱で自殺してしまったよ。『新俳句』に僕があの男を追懐して、思ひ出すは古白と申す春の人という句を作ったこともあったっけ・・・<夏目漱石「僕の昔」青空文庫>
  23. ・・・あのマドレエヌに逢ってみたらイソダンで感じたように楽しい疑懼に伴う熱烈な欲望が今一度味われはすまいか。本当にあのマドレエヌが昔のままで少しも変らずにいてくれればいい。しかし自分はどうだろうか。なに、それは別に心配しなくてもいい。もちろん髪の・・・<著:プレヴォーマルセル 訳:森鴎外「田舎」青空文庫>
  24.  恋愛は、実に熱烈で霊感的な畏ろしいものです。 人間の棲む到る処に恋愛の事件があり、個人の伝記には必ずその人の恋愛問題が含まれてはいますが、人類全般、個人の全生活を通観すると、それらは、強いが烈しいが、過程的な一つの現象・・・<宮本百合子「愛は神秘な修道場」青空文庫>
  25. ・・・これまで自分の心にあふれていて、その要素はいろいろな愛情を未熟に熱烈にひとっかたまりにぶつけていたものが失われると思いこんでいるから苦しいのであるし、その無我夢中の苦しさ、その半狂乱に、云うならばむすめ心もあるというものだろう。それと一緒に・・・<宮本百合子「雨の昼」青空文庫>
  26. ・・・而も、彼には、人間として精進し、十善に達したい意慾が、真心から熱烈にあった。 作品にその二つが調和して現れた場合、ひとは、ムシャ氏の頼もしさとは又違う種類の共鳴、鼓舞、人生のよりよき半面への渇仰を抱かせられたのだ。 彼は、学識と伝統・・・<宮本百合子「有島武郎の死によせて」青空文庫>
  27. ・・・その尊敬の情は熱烈ではないが、澄み切った、純潔な感情なのだ。道徳だってそうだ。義務が事実として証拠立てられるものでないと云うことだけ分かって、怪物扱い、幽霊扱いにするイブセンの芝居なんぞを見る度に、僕は憤懣に堪えない。破壊は免るべからざる破・・・<森鴎外「かのように」青空文庫>
  28. ・・・そこで同じ性格の佐渡守が、『本佐録』において、熱烈な儒教の尊崇者として現われることになる。対象は変わって行くが、態度は同じなのである。天道の理、尭舜の道、五倫の教えは、ほとんど宗教的な情熱をもって説かれている。天道というのも、ここでは「天地・・・<和辻哲郎「埋もれた日本」青空文庫>
  29. ・・・ 彼女は芸術と美とを熱烈に愛している。音楽を聞く時には魂の滋養物を吸っているような態度である。花の匂いをかいだり、書物や画を見たりなどする時には、我れを忘れて非常な勢いで近寄って来る。彼女が美しい物の話をする時には内面的に顔が輝いて来る・・・<和辻哲郎「エレオノラ・デュウゼ」青空文庫>
  30. ・・・大塚先生の講義はその熱烈な好学心をひしひしと我々の胸に感じさせ、我々の学問への熱情を知らず知らずに煽り立てるようなものであったが、それに対して岡倉先生の講義は、同じく熱烈ではあるがしかし好学心ではなくして芸術への愛を我々に吹き込むようなもの・・・<和辻哲郎「岡倉先生の思い出」青空文庫>