ねんが‐じょう〔‐ジヤウ〕【年賀状】例文一覧 7件

  1. ・・・予も腹のどん底を白状すると、お繁さんから今年一月の年賀状の次手に、今年の夏も是非柏崎へお越しを願いたい。今一度お目に掛って信仰上のお話など伺いたく云々とあったに動かされてきたと云ってもよい位だ。其に来て見れば、お繁さんが居ないのだから……。・・・<伊藤左千夫「浜菊」青空文庫>
  2. ・・・ことしの年賀状には、百合とかいう女の子の名前とそれから夫婦の名前と三つならべて書かれていた。銀行員のまえには、三十歳くらいのビイル会社の技師に貸していた。母親と妹の三人暮しで、一家そろって無愛想であった。技師は、服装に無頓着な男で、いつも青・・・<太宰治「彼は昔の彼ならず」青空文庫>
  3. ・・・引越して来て、すぐにあなたは、年賀状を、移転通知を兼ねて三百枚も刷らせました。三百枚。いつのまに、そんなにお知合いが出来たのでしょう。私には、あなたが、たいへんな危い綱渡りをはじめているような気がして、恐しくてなりませんでした。いまに、きっ・・・<太宰治「きりぎりす」青空文庫>
  4. ・・・平生は年賀状以外にほとんど音信もしないくらいにお互いに疎遠でいた甥の事は、堅吉の頭にどうしても浮かばなかったのであった。 しかしこう事実がわかってみると、堅吉の頭は休まる代わりにかえってまた忙しくならなければならなかった。 第一には・・・<寺田寅彦「球根」青空文庫>
  5. ・・・ この大晦日の晩十二時に日本へ送る年賀状を出しに出ました。町の辻で子供が二三人雪を往来の人に投げつけていました。市役所のへんまで行くと暗やみの広場に人がおおぜいよっていて、町の家の二階三階からは寒いのに窓をあけて下をのぞいている人々の顔・・・<寺田寅彦「先生への通信」青空文庫>
  6. ・・・わがままで不精な彼にとって年賀状というものが年の瀬に横たわる一大暗礁のごとく呪わしきものに思われて来たのだそうである。「同じ文句を印刷したものを相互に交換するのであるから、結局始めから交換しないでも同じ事である。ただ相違のある点は国民何・・・<寺田寅彦「年賀状」青空文庫>
  7. ・・・町名番地が変わったからという活版刷りの通知状であったが、とにかく年賀状以外にこの人の書信に接したことはやはり四五年来一度もなかったはずである。 そのはがきを出したのは銀座で会う以前であったということは到着の時刻からも消印からも確実に証明・・・<寺田寅彦「藤棚の陰から」青空文庫>