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いん‐よう【引用】例文一覧 30件

  1. ・・・自分は、今この覚え書の内容を大体に亘って、紹介すると共に、二三、原文を引用して、上記の疑問の氷解した喜びを、読者とひとしく味いたいと思う。―― 第一に、記録はその船が「土産の果物くさぐさを積」んでいた事を語っている。だから季節は恐らく秋・・・<芥川竜之介「さまよえる猶太人」青空文庫>
  2. ・・・しかしまだ不幸にも御存じのない方があれば、どうか下に引用した新聞の記事を読んで下さい。 東京日日新聞。昨十八日午前八時四十分、奥羽線上り急行列車が田端駅附近の踏切を通過する際、踏切番人の過失に依り、田端一二三会社員柴山鉄太郎の長男実彦(・・・<芥川竜之介「白」青空文庫>
  3. ・・・ベッカアはある夜五六人の友人と、神学上の議論をして、引用書が必要になったものでございますから、それをとりに独りで自分の書斎へ参りました。すると、彼以外の彼自身が、いつも彼のかける椅子に腰をかけて、何か本を読んでいるではございませんか。ベッカ・・・<芥川竜之介「二つの手紙」青空文庫>
  4. ・・・を挙げよというなら、間もなくおれが智慧をしぼって考えだした支店長募集など、そのひとつだろう。例によって「真相をあばく」を引用しよう。       五 ――馴れぬ手つきで揉みだした手製の丸薬ではあったが、まさか歯磨粉を胃腸薬に・・・<織田作之助「勧善懲悪」青空文庫>
  5. ・・・うしろには鬼がいるにきまっているとは、横光さんの言葉で、武田さんもよくこの言葉を引用していた。 しかし、そんな悲しい武田さんを想像することは今は辛い。やはり、武田麟太郎失明せりというデマを自分で飛ばしていた武田さんのことを、その死をふと・・・<織田作之助「武田麟太郎追悼」青空文庫>
  6. 一 スタンダールは彼の墓銘として「生きた、書いた、恋した」 という言葉を選んだということである。 スタンダールについて語る人は、殆んど例外なしに、この言葉を引用している。まことにスタンダールらしい言葉、スタンダールの生涯・・・<織田作之助「中毒」青空文庫>
  7. ・・・ 私の作品に好意的に触れておられる文章故、いささか気がさしながら引用したのであるが、要するに、これをもって見れば、すくなくとも、大阪的な作品は東京文壇の理解するところとならぬのではあるまいか。 どうせ、文学に対する考え方なぞ、人生に・・・<織田作之助「東京文壇に与う」青空文庫>
  8. ・・・自分は便利のためにこれをここに引用する必要を感ずる――武蔵野は俗にいう関八州の平野でもない。また道灌が傘の代りに山吹の花を貰ったという歴史的の原でもない。僕は自分で限界を定めた一種の武蔵野を有している。その限界はあたかも国境または村境が山や・・・<国木田独歩「武蔵野」青空文庫>
  9. ・・・彼がこの小松原の法難における吉隆と鏡忍との殉教を如何に尊び、感謝しているかは、彼の消息を見れば、輝くほどの霊文となって現われているのであるが、ここに引用する余裕がない。後に書くが日蓮はまれに見る名文家なのである。 この法難から文永五年蒙・・・<倉田百三「学生と先哲」青空文庫>
  10. ・・・ヨーロッパの誰某はかくいっているという引用の豊富が学や、思想を権威づける第一のものである習慣は改正されなければならぬのである。 この習慣の背後には、一般に、書物至上主義でないまでも、過度の書物依頼主義が横たわっている。この習慣は信じられ・・・<倉田百三「学生と読書」青空文庫>
  11. ・・・ジイドがそれを引用している。ジイドも相当に悪業の深い男のようである。いつまで経っても、なまぐさ坊主だ。ジイドは、その詩句に続けて、彼の意見を附加している。すなわち、「芸術は常に一の拘束の結果であります。芸術が自由であれば、それだけ高く昇騰す・・・<太宰治「鬱屈禍」青空文庫>
  12. ・・・どうも、自分の文章を自分で引用するというのは、グロテスクなもので、また、その自分の文章たるや、こうして書き写してみると、いかにも青臭く衒気満々のもののような気がして来て、全く、たまらないのであるが、そこがれいの鉄面皮だ、洒唖々々然と書きすす・・・<太宰治「鉄面皮」青空文庫>
  13. ・・・四日深夜、を、ことさらに引用して、少し意地がわるい。全文のかげにて、ぷんぷんお怒りの御様子。私、おのれ一個のプライドゆえに五円をお願いしたわけではなかったのです。わが身ひとつのための貪慾に非ず、名知らぬ寒しき人に投げ与えむため、または、かの・・・<太宰治「二十世紀旗手」青空文庫>
  14. ・・・という奇怪な言葉が引用されていたが、そんなことはないと思う。それは、安心していい。 日本の作家で、ほんとうの女を描いているのは、秋江であろう。秋江に出て来る女は、甚だつまらない。「へえ。」とか、「そうねえ。」とか呟いているばかりで、思索・・・<太宰治「女人創造」青空文庫>
  15. ・・・ 何ゆえにこのような区域に、特に降水が多いかという理由について、筒井氏の説を引用すると、冬季日本海沿岸に多量の降雨をもたらす北の季節風が、若狭近江の間の比較的低い山を越えて、そして広い琵琶湖上から伊勢湾のほうへ抜けようとする途中で雪を降・・・<寺田寅彦「伊吹山の句について」青空文庫>
  16. ・・・その珍しい自叙伝中から二、三小節を引用してあるのを見ると、例えば雪の降る光景などがあたかも見るように空間的に描かれている。あるいは秋の自然界の美しい色彩が盲人が書いたとは思われないように実感的に述べてある。しかし著者はこのような光景は固より・・・<寺田寅彦「鸚鵡のイズム」青空文庫>
  17. ・・・一体科学者が自己の研究を発表するに当って、その当面の問題に聯関した先人の研究を引用し批評するのは当然の務めである事は申すまでもない。しかしこれが往々にして骨董的傾向を帯びる事がある。すなわち当面の問題に多少の関係さえあれば、これが如何に目下・・・<寺田寅彦「科学上の骨董趣味と温故知新」青空文庫>
  18. ・・・芭蕉の俳諧がわからなくても芭蕉の句のどの句がいい句であるという事を知り、またそれを引用し、また礼賛することもできるのと同様である。これと反対にまた世俗に有名ないわゆる大家がたまたま気まぐれに書き散らした途方もない寝言のようなものが、存外有名・・・<寺田寅彦「科学と文学」青空文庫>
  19. ・・・わたくしは此のたびの草稿に於ては、明治年間の東京を説くに際して、寡聞の及ぶかぎり成るべく当時の人の文を引用し、之に因って其時代の世相を窺知らしめん事を欲しているのである。 松子雁の饒歌余譚に曰く「根津ノ新花街ハ方今第四区六小区中ノ地ニ属・・・<永井荷風「上野」青空文庫>
  20. ・・・ 江戸時代隅田堤看花の盛況を述るものは、大抵寺門静軒が『江戸繁昌記』を引用してこれが例証となしている。風俗画報社の『新撰東京名所図会』もまた『江戸繁昌記』を引きこれを補うに加藤善庵が『墨水観花記』を以てしている。わたくしは塩谷宕陰の文集・・・<永井荷風「向嶋」青空文庫>
  21. ・・・そうして一度日本を離れればもう帰らないと云われた時、先生の引用した“no more, never more.”というポーの句を思い出した。<夏目漱石「ケーベル先生」青空文庫>
  22. ・・・手紙の文句まで引用されると是非共信じなければならぬようになる。何となく物騒な気合である。この時津田君がもしワッとでも叫んだら余はきっと飛び上ったに相違ない。「それで時間を調べて見ると細君が息を引き取ったのと夫が鏡を眺めたのが同日同刻にな・・・<夏目漱石「琴のそら音」青空文庫>
  23. ・・・最も恐るべくへたな恋の都々一なども遠慮なく引用してあった。すべてを総合して、書き手のくろうとであることが、誰の目にもなにより先にまず映る手紙であった。どうせ無関係な第三者がひとの艶書のぬすみ読みをするときにこっけいの興味が加わらないはずはな・・・<夏目漱石「手紙」青空文庫>
  24. ・・・今でも私は時に J'agis, jeveux, donc je suis[我行為す、我意志す、故に我あり]などいう語を引用することがある。しかしクーザンの出版したものは、遂に手に入れることができなかった。従って受働的習慣と能働的習慣との区別・・・<西田幾多郎「フランス哲学についての感想」青空文庫>
  25. ・・・とあるがゆえに、中学校、師範学校の教師が、本書を講ずるときに、種々様々の例証を引用して、学生の徳行を導くことならん。ずいぶん易からざる業なれども、しばらく実際に行わるべきものとしてこれにしたがうも、なお遺憾なきを得ず。 そもそも本書全面・・・<福沢諭吉「読倫理教科書」青空文庫>
  26. ・・・猪木氏の出現は、今日の若い読者層が過去の社会科学の文献に通じていず、したがって同氏が論拠とされている、ローザ・ルクセンブルグやトロツキーなどの引用文の、革命理論の誤謬を実際的に批判する能力は持っていないというギャップをねらっています。同氏が・・・<宮本百合子「新しい抵抗について」青空文庫>
  27.  先頃、友情というものについてある人の書かれた文章があった。その中にニイチェの言葉が引用されている。「婦人には余りにも永い間暴君と奴隷とがかくされていた。婦人に友情を営む能力のない所以であって、婦人の知っているのは恋愛だけで・・・<宮本百合子「異性の間の友情」青空文庫>
  28. ・・・ だからといって作家同盟の方向が根本的に誤っているとか、または林房雄の憫然たるアナーキー性の爆発的言辞を引用すれば「鎌倉に引込んだ僕の方がプロレタリア的仕事をするから見ていろ」などというに至っては、すでに論外である。 真にプロレタリ・・・<宮本百合子「一連の非プロレタリア的作品」青空文庫>
  29. ・・・昔の和歌に巧妙な古歌の引用をもって賞讃を博したものがあるが、この種の絵もそういう技巧上の洒落と択ぶ所がない。自己の内部生命の表現ではなく、頭で考えた工夫と手先でコナした技巧との、いわばトリックを弄した芸当である。そうしてそのトリックの斬新が・・・<和辻哲郎「院展日本画所感」青空文庫>
  30. ・・・もし『菊と刀』の著者がこの作を読んだのであったならば、この個所を有名な証拠として引用したであろう。 が、そこにこそ問題があるのであることを、私は久しい間気づかなかった。世間の思わくの前に苦しむのであって、自分の良心の前に苦しむのでない、・・・<和辻哲郎「藤村の個性」青空文庫>