ねん・ずる【念ずる】例文一覧 8件

  1. ・・・ なぜなら、今そうやって跪いた体は、神に対し、仏に対して、ものを打念ずる時の姿勢であると思ったから。 あわれ、覚悟の前ながら、最早や神仏を礼拝し得べき立花ではないのである。 さて心がら鬼のごとき目をみひらくと、余り強く面を圧して・・・<泉鏡花「伊勢之巻」青空文庫>
  2. ・・・この故に念々頭々かの観音力を念ずる時んば、例えばいかなる形において鬼神力の現前することがあるとも、それに向ってついに何等の畏れも抱くことがない。されば自分に取っては最も畏るべき鬼神力も、またある時は最も親むべき友たることが少くない。 さ・・・<泉鏡花「おばけずきのいわれ少々と処女作」青空文庫>
  3. ・・・本人も語らず、またかかる善根功徳、人が咎めるどころの沙汰ではない、もとより起居に念仏を唱える者さえある、船で題目を念ずるに仔細は無かろう。 されば今宵も例に依って、船の舳を乗返した。 腰を捻って、艪柄を取って、一ツおすと、岸を放れ、・・・<泉鏡花「葛飾砂子」青空文庫>
  4. ・・・と同音に念ずる時、胴の間の辺に雷のごとき声ありて、「取舵!」 舳櫓の船子は海上鎮護の神の御声に気を奮い、やにわに艪をば立直して、曳々声を揚げて盪しければ、船は難無く風波を凌ぎて、今は我物なり、大権現の冥護はあるぞ、と船子はたちまち力・・・<泉鏡花「取舵」青空文庫>
  5. ・・・お前が神仏を念ずるにも、まず第一に拝むと云った、その言葉が嘘でなければ、言わずとも分るだろう。そのお方のいいつけなんだ。お蔦 (消ゆるがごとく崩折ええ、それじゃ、貴方の心でなく、別れろ、とおっしゃるのは、真砂町の先生の。(と茫然早瀬・・・<泉鏡花「湯島の境内」青空文庫>
  6. ・・・身も魂もこれ限り消えて失せよと念ずる耳元に、何者かからからと笑う声して夢は醒めたり。醒めたるあとにもなお耳を襲う声はありて、今聞ける君が笑も、宵の名残かと骨を撼がす」と落ち付かぬ眼を長き睫の裏に隠してランスロットの気色を窺う。七十五度の闘技・・・<夏目漱石「薤露行」青空文庫>
  7. ・・・俗に言う子供の馬鹿ほど可愛く片輪ほど憐れなりとは、親の心の真面目を写したるものにして、其心は即ち子供の平等一様に幸福ならんことを念ずるの心なり。故に其子の男女長少に論なく、一様に之を愛して仮初にも偏頗なきは、父母の本心、真実正銘の親心なるに・・・<福沢諭吉「新女大学」青空文庫>
  8. ・・・そのいわれより疾翔と申さるる、大力というは、お徳によって、たとえ火の中水の中、ただこの菩薩を念ずるものは、捨身大菩薩、必らず飛び込んで、お救いになり、その浄明の天上にお連れなさる、その時火に入って身の毛一つも傷かず、水に潜って、羽、塵ほども・・・<宮沢賢治「二十六夜」青空文庫>