ねん‐りょう〔‐レウ〕【燃料】例文一覧 23件

  1. ・・・妻の勤労のお蔭で一冬分の燃料にも差支ない準備は出来た。唯困るのは食料だった。馬の背に積んで来ただけでは幾日分の足しにもならなかった。仁右衛門はある日馬を市街地に引いて行って売り飛ばした。そして麦と粟と大豆とをかなり高い相場で買って帰らねばな・・・<有島武郎「カインの末裔」青空文庫>
  2. ・・・縄屑やゴミは燃料になるので、土がまじらぬように、そっと掃かないと叱られる。旦那は藁一筋のことにでも目の変るような人だった。掃除が終っても、すぐごはんにならず、使いに走らされる。朝ごはんの前に使いに遣ると、使いが早いというのです。その代り使い・・・<織田作之助「アド・バルーン」青空文庫>
  3. ・・・電燈会社が一割の配当をつゞけるため、燃料で誤魔化しをやっているのだった。 芝居小屋へ活動写真がかゝると、その電燈は息をした。 ふいに、強力な電燈を芝居小屋へ奪われて、家々の電燈は、スッと消えそうに暗くなった。映写がやまると、今度は、・・・<黒島伝治「浮動する地価」青空文庫>
  4. ・・・同日午後五時に、山本伯の内閣が出来上り、それと同時に非常徴発令を発布して、東京および各地方から、食料品、飲料、薪炭その他の燃料、家屋、建築材料、薬品、衛生材料、船その他の運ぱん具、電線、労務を徴発する方法をつけ、まず市内の自動車数百だいをと・・・<鈴木三重吉「大震火災記」青空文庫>
  5. ・・・またよくかき廻して丁度になっていても、一方で燃料が唸って燃え上がっているのでは這入っているうちにすぐに猛烈に熱くなって来るから工合が悪い。これらも少し科学的に頭を使ってやれば、燃料が燃え切った頃にだいたい丁度になるようにするくらいは、何でも・・・<寺田寅彦「家庭の人へ」青空文庫>
  6. ・・・ 地震があればこわれるような家を建てて住まっていれば地震の時にこわれるのはあたりまえである、しかもその家が、火事を起こし蔓延させるに最適当な燃料でできていて、その中に火種を用意してあるのだから、これは初めから地震に因る火災の製造器械をす・・・<寺田寅彦「からすうりの花と蛾」青空文庫>
  7. ・・・しかもその家が、火事を起し蔓延させるに最適当な燃料で出来ていて、その中に火種を用意してあるのだから、これは初めから地震に因る火災の製造器械を据付けて待っているようなものである。大火が起れば旋風を誘致して焔の海となるべきはずの広場に集まってい・・・<寺田寅彦「烏瓜の花と蛾」青空文庫>
  8. ・・・それはとにかく、よほど用心しないと、デパートというものは世にも巧妙な大量殺人機械になる恐れが充分にある。燃料を満載してある上に、しかも発火すると同時に出口が人間で閉塞し、その生きた栓が焼かれる仕掛けになっているからである。山火事の場合は居合・・・<寺田寅彦「銀座アルプス」青空文庫>
  9. ・・・大きな炎をあげて燃え上がるべき燃料は始めから内在しているのである。これに反してたとえば昔の漢学の先生のうちのある型の人々の頭はいわば鉄筋コンクリートでできた明き倉庫のようなものであったかもしれない。そうしてその中に集積される材料にはことごと・・・<寺田寅彦「読書の今昔」青空文庫>
  10. ・・・限定され、そのために強度を高められた電気火花のごとき効果をもって連想の燃料に点火する役目をつとめるのがこれらの季題と称する若干の語彙である。 有限な語彙の限定は形式の限定と同様往々俳句というものの活動の天地を限定するかのような錯覚を起こ・・・<寺田寅彦「俳句の精神」青空文庫>
  11. ・・・鍋はあるとした上でも、これだけのものを沸騰させ煮つめるだけの「燃料」を自分は貯えてあるだろうか。 この点に考え及ぶと私は少し心細くなる。 厄年の関を過ぎた私は立止ってこんな事を考えてみた。しかし結局何にもならなかった。厄年という・・・<寺田寅彦「厄年と etc.」青空文庫>
  12. ・・・けだし学者のために安身の地をつくりてその政談に走るをとどむるは、また燃料を除くの一法なり。<福沢諭吉「学問の独立」青空文庫>
  13. ・・・工場が燃料に欠乏を感じぬ日は一日もない。工場用の水はきたない。そのために製造したバタの品質が低下する。上ナザロフ村にもう一つバタ工場がある。そこの建物はひどい有様だ。扉はこわれている。寒くて働けぬ。この間支配人はクラスノヤルスク・・・<宮本百合子「新しきシベリアを横切る」青空文庫>
  14. ・・・実にはっきり、燃料となり、代用食事の手間のかかる支度となって女性の二十四時間にくいこんで来ている。しかも、十年前にくらべると、一日のうちに自由時間を一時間半しかもてなくなって来ているこれらの主婦が目にふれ耳にきくのは、アメリカの電化された台・・・<宮本百合子「偽りのない文化を」青空文庫>
  15.              ○ 支那事変がはじまって五年、大東亜戦争がはじまって満一ヵ年と十ヵ月経って秋も深くなった。 燃料がどこの家でも不如意になって来ていて、風呂たきは注意ぶかい一家の行事の一つとなった。 いろいろのも・・・<宮本百合子「折たく柴」青空文庫>
  16. ・・・そんなさわぎにまるで関係なく、燃料のとぼしい台所で、せめて子供のためにと、おいものきんとんを煮ていた主婦たち。さまざまの人の姿の上に一夜があけて、まずどうやら年を越した、おめでとう、と云い交すひとの心のなかには、あながち、古いしきたりばかり・・・<宮本百合子「今年こそは」青空文庫>
  17. ・・・ 毎朝日本の総ての婦人はどんな燃料で、どれだけの時間をかけて、どんな代用食を作っているでしょうか。私達の使っている燃料とその燃料が使えるようなかまど、いもや粉の代用食、これ等総ては近代的でしょうか。私達のおばあさん、ひいおばあさん達がま・・・<宮本百合子「今度の選挙と婦人」青空文庫>
  18. ・・・ しかし今日のわたしたちの生活にはまず電力節減、燃料不足などという、極めて原始的な困難から始って、温い冬の靴下がないという困難にまで及んでいます。どんな人でもくさくさすればそこから自分の心持を紛らすことを望みます。どんな若い人が自分の青・・・<宮本百合子「自覚について」青空文庫>
  19. ・・・ 然し、めいめいが僅かばかりの肉だ、野菜だとわざわざ市場へ出かけて手間どって買って、燃料をかけて不美味いものをこさえるよりは、専門家が、材料も選び、料理に腕をふるったものの方が、やすいし、美味いし、第一時間がはぶけ、どんなに暮しが身軽く・・・<宮本百合子「ソヴェト労働者の解放された生活」青空文庫>
  20. ・・・その頃でさえ、全露作家協会の共同金庫は、生活に余裕ない作家の生活援助のために保健費を出したり、原稿料の一部の前借を計らったり、消費組合をもって燃料、織物などの共同購入の便宜を計らっていた。一九三〇年頃には便利な食堂も出来ていた。ノビコフ・プ・・・<宮本百合子「近頃の話題」青空文庫>
  21.  世界の経済恐慌につれて、日本でも種々の生産が低下し、それにつれて燃料原料となる石炭は二割七分の生産減を見た。北九州地方の炭坑労働者の生活などはこの頃以前にましてひどい有様になって来ている。 これは北九州の或る坑山で実際・・・<宮本百合子「ドン・バス炭坑区の「労働宮」」青空文庫>
  22. ・・・交通事情は目に見えて悪化し、これまでより長い時間をかけてやっと帰宅して、これまでよりもっともっと苦労した燃料でやっと炊事をして、さてようようほっとしようとしたときは、停電だったり、たった二十燭のあかりだったりして、つぎものをするのも不便だし・・・<宮本百合子「婦人大会にお集りの皆様へ」青空文庫>
  23. ・・・婦人達が燃料の欠乏、シャボンその他の洗剤の欠乏、繊維が悪くなって洗えもしないスフの製品が殖えたことなどで、毎日の婦人の仕事が一層困難になって来たと同じ時に、農村の婦人達が田圃で働く木綿着物がなくなった。手拭は足りなくなって来た。肥料・農具も・・・<宮本百合子「私たちの建設」青空文庫>