のう‐りつ【能率】例文一覧 30件

  1. ・・・だから最初の二三時間はひどく能率を上げても、あとがからきしだめで、ほかの人夫が一日七十銭にも八十銭にもなるのに、私は三十四銭にしかならないのです。当時三度食べて煙草を買うと、まずいくら切り詰めても四十五銭はいりました。五日働いた後、私はまた・・・<織田作之助「アド・バルーン」青空文庫>
  2. ・・・ 今は、五カ年計劃の実行に忙がしかった。能率増進に、職場と職場が競争した。贅沢品や、化粧品をこしらえているひまはなかった。そんなものをかえりみているどころではなかった。 寒気が裂けるように、みしみし軋る音がした。 ペーチカへ、白・・・<黒島伝治「国境」青空文庫>
  3. ・・・朝早く起きて、能率は、ちっともあがらないのであるが、それでも遊ぶのが、こわくて、たいてい机のまえに坐って、一日中、勉強のふりをしているのである。まねごとだけでも、机にからだを縛りつけて、もそもそやっていると、夜までには、かなりからだも疲れて・・・<太宰治「春の盗賊」青空文庫>
  4. ・・・健康ならばどんなにでも仕事の能率の上がる時でありながら気分が悪くて仕事が思うように出来ず、また郊外へ散歩にでも行けばどんなに愉快であろうと思うが、少し町を歩いただけで胃の工合が悪くなってどうにも歩行に堪えられなくなる。歩かなくても電車や汽車・・・<寺田寅彦「異質触媒作用」青空文庫>
  5. ・・・カルネラはそんなことなどは問題にしないと見えて絶えず攻勢を持続するのはよいが、やみなしに中庸な突きを繰り返しているのは、仕事の経済から見ても非常に能率の悪いしかたで、無益の動作に勢力をなしくずしに浪費しているように見えるのであった。ベーアは・・・<寺田寅彦「映画雑感(3[#「3」はローマ数字、1-13-23])」青空文庫>
  6. ・・・この空中反転作用は花冠の特有な形態による空気の抵抗のはたらき方、花の重心の位置、花の慣性能率等によって決定されることはもちろんである。それでもし虻が花の蕊の上にしがみついてそのままに落下すると、虫のために全体の重心がいくらか移動しその結果は・・・<寺田寅彦「思い出草」青空文庫>
  7. ・・・偉大なる迂愚者の頭の悪い能率の悪い仕事の歴史である。 頭のいい人は批評家に適するが行為の人にはなりにくい。すべての行為には危険が伴なうからである。けがを恐れる人は大工にはなれない。失敗をこわがる人は科学者にはなれない。科学もやはり頭の悪・・・<寺田寅彦「科学者とあたま」青空文庫>
  8. ・・・あらゆる種類の電気照明は積雪飛雪の街頭にその最大能率を発揮する。ネオンサインの最も美しく見えるのもまた雪の夜である。雪の夜の銀座はいつもの人間臭いほこりっぽい現実性を失って、なんとなくおとぎ話を思わせるような幻想的な雰囲気に包まれる。町の雑・・・<寺田寅彦「銀座アルプス」青空文庫>
  9. ・・・これによって自分の本然の仕事がいくぶんでも能率を上げることができれば、少なくも自身にとっては下手な芸術や半熟の哲学や生ぬるい宗教よりもプラグマティックなものである。ただあまりに安価で外聞の悪い意地のきたない原動力ではないかと言われればそのと・・・<寺田寅彦「コーヒー哲学序説」青空文庫>
  10. ・・・そうして実に僅少な研究費を与えられて、それで驚くべき能率を上げているようである。おそらくは戦闘艦の巨砲の一発の価、陸軍兵員の一日分のたくあんの代金にも足りないくらいの金を使って懸命に研究し、そうして世界的に立派な結果を出しているようである。・・・<寺田寅彦「時事雑感」青空文庫>
  11. ・・・こんな事にまで現代ふうの見方を持って来るとすれば、ともかくも科学的に能率をよくするために前にあげた第一の要求を満たす方法を選んだほうがよさそうに思われた。能率を論ずる場合には人間を器械と同様に見るのであるが、今の場合にはそれでは少し困るので・・・<寺田寅彦「芝刈り」青空文庫>
  12. ・・・務め人なら務めの仕事の能率が上がるであろう。 一針縫うのに十五秒ないし三十秒かかるであろうし、それに針や糸を渡し受取り、布片を延べたり、○印を一つ選定したりするにもかれこれ此れと同じくらいはかかる。それであとからあとから縫い手が押しかけ・・・<寺田寅彦「千人針」青空文庫>
  13. ・・・ この颱風は日本で気象観測始まって以来、器械で数量的に観測されたものの中では最も顕著なものであったのみならず、それがたまたま日本の文化的施設の集中地域を通過して、云わば颱風としての最も能率の好い破壊作業を遂行した。それからもう一つには、・・・<寺田寅彦「颱風雑俎」青空文庫>
  14. ・・・いう美徳の問題などはしばらくおいて、単に功利的ないし利己的の立場から考えても、少なくも電車の場合では、満員車は人に譲って、一歩おくれてすいた車に乗るほうが、自分のためのみならず人のためにも便利であり「能率」のいい所行であるように思われる。少・・・<寺田寅彦「電車の混雑について」青空文庫>
  15. ・・・ 鉛をかじる虫も、人間が見ると能率ゼロのように見えても実はそうでなくて、虫の方で人間を笑っているかもしれない。人間が山から莫大な石塊を掘りだして、その中から微量な貴金属を採取して、残りのほとんど全質量を放棄しているのを見物して、現在の自・・・<寺田寅彦「鉛をかじる虫」青空文庫>
  16. ・・・享楽しながら商売の宣伝になるのは能率のいいことである。 この辺の山には他所の多くの山の概念とは少しばかりちがった色々の特徴があって面白い。ごく古い消火山と新しい活火山との中間物といったような気のする山である。形態が火山のようで、しかも大・・・<寺田寅彦「箱根熱海バス紀行」青空文庫>
  17. ・・・だから、鑿岩機の能率は良かった。「おい、早仕舞にしようじゃないか」 秋山と云う、ライナーのハンドルを握ってるのが、小林に云った。 それは、鑿岩機さえ運転していないで、吹雪さえなければ、対岸までも聞える程の大声であった。そして、そ・・・<葉山嘉樹「坑夫の子」青空文庫>
  18. ・・・レールの幅は狭軌で能率のわるい鉄道ながら、ともかく日本には明治以来鉄道が普及しているし、それと同じに天皇制軍国主義的国民教育というものが、明治以来全国にしみとおっています。これは、封建的な主従関係での忠義の感情にいきなりむすびついて「奉公」・・・<宮本百合子「新しい抵抗について」青空文庫>
  19. ・・・をつくり都会の大工場で同じ機械を使って造り出す能率の二倍以上の成績を、農村の子女によってあげている。智能と資本とを縦横に駆使して、イギリスの良品高価に対する良品廉価生産・高賃銀低コストを目ざす科学主義工業という呼び名が、これらの人々によって・・・<宮本百合子「新しい婦人の職場と任務」青空文庫>
  20. ・・・日本型トラクターの能率は馬耕の二倍、人耕の十二倍で、しかも反当りの費用は人耕の四円五十三銭に比べて僅か一円九十五銭ですむ。 明日の農村の希望はまた生活の習慣や衛生条件の改善にある。共同炊事や托児所や診療施設など。若い農村の女性こそ青年た・・・<宮本百合子「新しき大地」青空文庫>
  21. ・・・は、啓蒙的な必要のためには、最もじかにその目的をもって書かれているそれらの紹介を集め、出版し、普及させるのが、能率的であり、活溌な方法であった。しかし、当時の「ナップ」指導部はそう考えず、作者自身も、そういう標題小説が、はたして可能であるか・・・<宮本百合子「あとがき(『宮本百合子選集』第十巻)」青空文庫>
  22. ・・・ただそこには非能率的に組織された、面倒な書類とハンコのぐるぐるまわしがあって、人々を机にしばりつけている。一日に何時間、書類とハンコは生きている若い命を机にしばりつけているのだろうか。能率よく民主化された執務の方法ということは、人間らしさを・・・<宮本百合子「いのちの使われかた」青空文庫>
  23. ・・・アメリカの能率のよい生産行程では、一つの型紙でもって電気鋏で一度に数百枚の切れ地を切って電気ミシンで縫う。 特に裁縫ではいろいろ細工がある。衣料関係の労働は、こういう大量の既製品製作ばかりではない。金モール細工をする人、刺繍をする人、さ・・・<宮本百合子「衣服と婦人の生活」青空文庫>
  24. ・・・家族手当をやめよ、賃銀を労働者一人の能率払いにせよ、と書いている。『中央公論』は、仄聞するところによると十万の出版部数をもっているそうだ。『中央公論』をよむ人はまたリーダーズ・ダイジェストもよんでいる。そして行政整理に生活不安を感じる人・・・<宮本百合子「鬼畜の言葉」青空文庫>
  25. ・・・日本の農村の生産は現在のままの様式で最高の能率をあげ得るのだろうか。同時に、都会の工場が、何故こうも平和産業に転換することがのろいのであろう。これ迄は変則なインフレ景気で工員たちも遊んで暮せる金があったかもしれないが、現在、人々は遊んで餓え・・・<宮本百合子「現実に立って」青空文庫>
  26. ・・・ですからものを能率的につくるという機械の発展は十九世紀以来驚くべきものなのです。第二次ヨーロッパ大戦ではたくさんの発明がありましたからわかりませんけれども、少くとも第一次ヨーロッパ大戦の前までは、もし地球上の人が一日に五時間ずつみなで働けば・・・<宮本百合子「幸福の建設」青空文庫>
  27. ・・・ では、例えばソヴェトじゅうの工場と役所とが日曜日だというと一斉に休業して、用のある者はしまったガラス戸越しに机と電話、磨かれた機械は見るが、そこで呼びかけるべき人間の影も無いという状態は、果して能率増進的であろうか? 心理学の実験は、人間・・・<宮本百合子「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」青空文庫>
  28. ・・・低くてスプリングもよいから、仕事してくたびれるとそのまま体をよこにする事が出来て大いに能率的であるわけです。つる公も椅子テーブルの方が疲労が少ないから大いにそれでやると云っているが、いつその道具立ては出来ることやら。 私のベッドというと・・・<宮本百合子「獄中への手紙」青空文庫>
  29. ・・・だもんで下にいて、些か能率低下なの。家で夏をすごすのは四年目です。ではどうか御機嫌よく。[自注7]徳さんもこの暑いのに可哀そうに――坂井徳三がプロレタリア文化運動のため検挙されて未決にいた。[自注8]健坊――佐多稲子の長男健・・・<宮本百合子「獄中への手紙」青空文庫>
  30. ・・・あすこは能率増進のために極度に分業化され、たとえば鋲をこしらえる部では何年経とうがそれだけやらせられるから、さてクビになると機械工といってもかたわで修繕工にさえなれない。これは恐しいことであると従業員は訴えているのである。 私たちは、自・・・<宮本百合子「個性というもの」青空文庫>