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のば・す【伸ばす/延ばす】例文一覧 21件

  1. ・・・ と主人は此方に手を伸ばすと、見得もなく、婦人は胸を、はらんばいになるまでに、ずッと出して差置くのを、畳をずらして受取って、火鉢の上でちょっと見たが、端書の用は直ぐに済んだ。 机の上に差置いて、「ほんとに御苦労様でした。」「・・・<泉鏡花「女客」青空文庫>
  2. ・・・……と視るうちに、稚児は伸上り、伸上っては、いたいけな手を空に、すらりと動いて、伸上っては、また空に手を伸ばす。―― 紫玉はズッと寄った。稚児はもう涼傘の陰に入ったのである。「ちょっと……何をしているの。」「水が欲しいの。」・・・<泉鏡花「伯爵の釵」青空文庫>
  3. ・・・この場合に臨んではもう五分間と起きるを延ばすわけにゆかぬ。省作もそろそろ起きねばならんでなお夜具の中でもさくさしている。すぐ起きる了簡ではあるが、なかなかすぐとは起きられない。肩が痛む腰が痛む、手の節足の節共にきやきやして痛い。どうもえらい・・・<伊藤左千夫「隣の嫁」青空文庫>
  4. ・・・ しかし中学生の分際で髪の毛を伸ばすのは、口髭を生やすよりも困難であった。それ故私は高等学校にはいってから伸ばそうという計画を樹て、学校もなるべく頭髪の型に関する自由を許してくれそうな学校を選んだ。倖い私のはいった学校は自由を校風として・・・<織田作之助「髪」青空文庫>
  5. ・・・ と、手を伸ばすと、武田さんは、「おっとおっと……」 これ取られてなるものかと、頓狂な声を出して、その時計を胸に抱くようにした。「――どうもお眼も早いが、手も早い。千円でも譲らんよ。エヘヘ……」 胸に当てて離さなかった。・・・<織田作之助「四月馬鹿」青空文庫>
  6. ・・・みを運びながら、洋服で腕組みしたり、頭を垂れたり、あるいは薄荷パイプを啣えたりして、熱い砂を踏んで行く人の群を眺めると、丁度この濠端に、同じような高さに揃えられて、枝も葉も切り捨てられて、各自の特色を延ばすことも出来ない多くの柳を見るような・・・<島崎藤村「並木」青空文庫>
  7. ・・・手を延ばすなら、藤さんの膝にかろうじて届くのである。水は薄黒く濁っていれど、藤さんの翳す袂の色を宿している。自分の姿は黒く写って、松の幹の影に切られる。「また浮きますよ」と藤さんがいう。指すところをじっと見守っていると、底の水苔を味噌汁・・・<鈴木三重吉「千鳥」青空文庫>
  8. ・・・石ころだらけで、私はこの白い脚を伸ばす事が出来ませぬ。なんだか、毛むくじゃらの脚になりました。ごぼうの振りをしていましょう。私は、素直に、あきらめているの。」 棉の苗。「私は、今は、こんなに小さくても、やがて一枚の座蒲団にな・・・<太宰治「失敗園」青空文庫>
  9. ・・・これらすべての事を思ったり見たり考えたりすると、自分の個性を伸ばすどころの騒ぎではない。まあ、まあ目立たずに、普通の多くの人たちの通る路をだまって進んで行くのが、一ばん利巧なのでしょうくらいに思わずにはいられない。少数者への教育を、全般へ施・・・<太宰治「女生徒」青空文庫>
  10. ・・・いやらしいくらいに、くどくどと語り、私が折角いい案配に忘れていたあの綴方の事まで持ち出して、全く惜しい才能でした、あの頃は僕も、児童の綴方に就いては、あまり関心を持っていなかったし、綴方に依って童心を伸ばすという教育法も存じませんでしたが、・・・<太宰治「千代女」青空文庫>
  11. ・・・そして壁を延ばす代りに穴の中へ頭を挿しこんで内部の仕事をやっている事もあった。しかしそれがどういう目的で何をしているのだか自分には分らなかった。 そのうちに私は何かの仕事にまぎれて、しばらく蜂の事は忘れていた。たぶん半月ほど経ってからと・・・<寺田寅彦「小さな出来事」青空文庫>
  12. ・・・アメリカ人にしても特別に長い方に属するかと思われるこの税関吏の顔は、チューインガムを歯と歯の間に引延ばすアクションのために一層長く見えるのであった。 ホボケンという場所の名までが、何だか如何にも人を馬鹿にしたような名だと思われたのもおそ・・・<寺田寅彦「チューインガム」青空文庫>
  13. ・・・ こういう災害を防ぐには、人間の寿命を十倍か百倍に延ばすか、ただしは地震津浪の週期を十分の一か百分の一に縮めるかすればよい。そうすれば災害はもはや災害でなく五風十雨の亜類となってしまうであろう。しかしそれが出来ない相談であるとすれば、残・・・<寺田寅彦「津浪と人間」青空文庫>
  14. ・・・そう云った身拵えで、早稲田の奥まで来て下すって、例の講演は十一月の末まで繰り延ばす事にしたから約束通りやってもらいたいというご口上なのです。私はもう責任を逃れたように考えていたものですから実は少々驚ろきました。しかしまだ一カ月も余裕があるか・・・<夏目漱石「私の個人主義」青空文庫>
  15. ・・・即ち人心の働きの定則として、一方に本心を枉げて他の一方にこれを伸ばすの道理あらざればなり。私徳を修めて身を潔清の位に置くと、私権を張りて節を屈せざると、二者その趣を殊にするが如くなれども、根本の元素は同一にして、私徳私権相関し、徳は権の質な・・・<福沢諭吉「日本男子論」青空文庫>
  16. ・・・徹夜などした時は、仕事がすんでから右の手を伸ばそうとしても容易に伸ばす事が出来んようになってしまう。今日も昼からつづけさまに書いて居るので大分くたびれたから、筆を投げやって、右の肱を蒲団の外へ突いて、頬杖をして、暫く休んだ。熱と草臥とで少し・・・<正岡子規「ランプの影」青空文庫>
  17. ・・・「祭り延ばすから早くよくなれ」本家のおばあさんが見舞いに行って、その子の頭をなでて言いました。 その子は九月によくなりました。 そこでみんなはよばれました。ところがほかの子供らは、いままで祭りを延ばされたり、鉛の兎を見舞いにとら・・・<宮沢賢治「ざしき童子のはなし」青空文庫>
  18. ・・・長い頸を天に延ばすやつ頸をゆっくり上下に振るやつ急いで水にかけ込むやつ実にまるでうじゃうじゃだった。「もういけない。すっかりうまくやられちゃった。いよいよおれも食われるだけだ。大学士の号も一所になくなる。雷竜はあんまりひ・・・<宮沢賢治「楢ノ木大学士の野宿」青空文庫>
  19. ・・・こいつを延ばすと子供の使うはしごになるんだ。いいか。そら。」 紳士はだんだんそれを引き延ばしました。間もなく長さ十米ばかりの細い細い絹糸でこさえたようなはしごが出来あがりました。「いいかい。こいつをね。あの栗の木に掛けるんだよ。ああ・・・<宮沢賢治「ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」青空文庫>
  20. ・・・そういう風にして、立派な才能、或はよくなる才能でも、商売と結びついた文学の中では非常に純粋に立派に伸ばすという真面目な気持をもって扱われにくい。商売の本性はそういうものです。 それがもっと悲惨なことになったのは、婦人の文学ばかりではあり・・・<宮本百合子「婦人の創造力」青空文庫>
  21. ・・・おそるべき青年たちの一塊をさし覗いて、彼らの悩み、――それもみな数学者のさなぎが羽根を伸ばすに必要な、何か食い散らす葉の一枚となっていた自分の標札を思うと、さなぎの顔の悩みを見たかった。そして、梶自身の愁いの色をそれと比べて見ることは、失わ・・・<横光利一「微笑」青空文庫>