の・べる【述べる/宣べる/陳べる】例文一覧 30件

  1. ・・・ それが明白なる誤謬、むしろ明白なる虚偽であることは、ここに詳しく述べるまでもない。我々日本の青年はいまだかつてかの強権に対して何らの確執をも醸したことがないのである。したがって国家が我々にとって怨敵となるべき機会もいまだかつてなかった・・・<石川啄木「時代閉塞の現状」青空文庫>
  2. ・・・世間並のお世辞上手な利口者なら町内の交際ぐらいは格別辛くも思わないはずだが、毎年の元旦に町名主の玄関で叩頭をして御慶を陳べるのを何よりも辛がっていた、負け嫌いの意地ッ張がこんな処に現われるので、心からの頭の低い如才ない人では決してなかった。・・・<内田魯庵「淡島椿岳」青空文庫>
  3. ・・・その生涯をことごとく述べることは今ここではできませぬが、この女史が自分の女生徒に遺言した言葉はわれわれのなかの婦女を励まさねばならぬ、また男子をも励まさねばならぬものである。すなわち私はその女の生涯をたびたび考えてみますに、実に日本の武士の・・・<内村鑑三「後世への最大遺物」青空文庫>
  4. ・・・ 私は点呼令状と腕時計をかわるがわる見せて、令状には午前七時に出頭すべしとあるが、今はまだ七時前であるという意味のことを述べると、分会長は文句を言うなと奴鳴って、再び拳骨で私の鼻を撲った。あッと思って鼻を押えると、血が吹き出していた。あ・・・<織田作之助「髪」青空文庫>
  5. ・・・ いかにおれが宣伝の才にめぐまれていたかは、いずれ後ほど詳しく述べる故、ここでは簡単に止めて置くが、たとえば湯崎へ来た最初の日集まった患者のなかで口の軽そうな、話好きそうな婆さんを見ると、「――この灸は天下一の名灸ではあるが、真実効・・・<織田作之助「勧善懲悪」青空文庫>
  6. ・・・ この奇妙な名前の男について述べる前に、しかし、作者は、その時、「やア、兄貴!」 と、鼻声で言いながら、ハナヤへはいって来た十七、八の、鼻の頭の真赤な男の方へ、視線を移さねばならない。 豹吉を兄貴と呼んだ所を見れば、同じ掏摸・・・<織田作之助「夜光虫」青空文庫>
  7. ・・・ただこの場合において一、二の注意を述べるなら、職能に関する読書はその部門の全般にわたる鳥瞰が欠くべからざるものであるが、そのあいだにもおのずと自分の特に関心し、選ぶ種目への集注的傾向が必要である。何事かを好み、傾くということがそのことへの愛・・・<倉田百三「学生と読書」青空文庫>
  8. ・・・「このごろでは、解析学の始めに集合論を述べる習慣があります。これについても、不審があります。たとえば、絶対収斂の場合、昔は順序に無関係に和が定るという意味に用いられていました。それに対して条件的という語がある。今では、絶対値の級数が収斂・・・<太宰治「愛と美について」青空文庫>
  9. ・・・気のきいたお悔みの言葉ひとつ述べることができない。許したまえ。この男は、悲しいのだ。自身の無力がくやしいのだ。息子戦死の報を聞くや、つと立って台所に行き、しゃっしゃっと米をといだという母親のぶざまと共に、この男の悲しみの顛倒した表現をも、苦・・・<太宰治「緒方氏を殺した者」青空文庫>
  10. ・・・はじめから死ぬるつもりで、女学生に決闘を申込んだ様子で、その辺の女房のいじらしい、また一筋の心理に就いては、次回に於いて精細に述べることにして、今は専ら、女房の亭主すなわち此の短いが的確の「女の決闘」の筆者、卑怯千万の芸術家の、その後の身の・・・<太宰治「女の決闘」青空文庫>
  11. ・・・花一輪に託して、自己のいつわらぬ感激と祈りとを述べるがよい。きっと在るのだ。全然新しいものが、そこに在るのだ。私は、誇りを以て言うが、それは、私の芸術家としての小さな勘でもって、わかっているのだ。でも、私には、それを具体的には言えない。私は・・・<太宰治「鴎」青空文庫>
  12. ・・・ 映画成立の最後の決定的過程として編集術については以下に項を改めて述べる事とする。     映画の編集過程 たくさんな陰画の堆積の中から有効なものを選び出してそれをいかにつなぎ合わせるかがいわゆるモンタージュの仕事である・・・<寺田寅彦「映画芸術」青空文庫>
  13. ・・・もっとも旋風は多くの場合に雷雨現象と連関して起こるから、その点で後に述べる時間分布の関係から言って多少この説に有利な点はある。しかしいわゆる光の現象やまた前述のまじないの意味は全くこれでは説明されない。 これに反して、ギバがなんらかの空・・・<寺田寅彦「怪異考」青空文庫>
  14. ・・・ 壇上の人が下りると、上壇に椅子へ腰かけた人、これが議長だそうであるが、この人が何か一言二言述べると、左の方の議員席からいきなり一人立上がって大きな声でわめき立てた。片手を高く打ち振りながら早口に短い言葉を連発していた。今にも席から飛び・・・<寺田寅彦「議会の印象」青空文庫>
  15. ・・・ 陶工が陶土およびその採掘者に対して感謝の辞を述べる場合は少ない。これは不都合なようにも思われるが、よく考えてみると、名陶工にはだれでもはなれないが、土を掘ることはたいていだれにでもできるからであろう。 独創力のない学生が、独創力の・・・<寺田寅彦「空想日録」青空文庫>
  16. ・・・その理由は無論明白な話で、前詳しく申上げた開化の定義に立戻って述べるならば、吾々が四五十年間始めてぶつかった、また今でも接触を避ける訳に行かないかの西洋の開化というものは我々よりも数十倍労力節約の機関を有する開化で、また我々よりも数十倍娯楽・・・<夏目漱石「現代日本の開化」青空文庫>
  17. ・・・述作に対すると思いついた事をいい加減に述べる。だから評し尽したのだか、まだ残っているのか当人にも判然しない。西洋も日本も同じ事である。 これらの条項を遺憾なく揃えるためには過去の文学を材料とせねばならぬ。過去の批評を一括してその変遷を知・・・<夏目漱石「作物の批評」青空文庫>
  18. ・・・それを矯める方法を御話しするためにわざわざこの壇上に現われたのではないから詳しい事は述べませんが、また述べるにしたところで大体はすでに諸君も御承知の事であるが、まあ物のついでだから一言それに触れておきましょう。すでに個々介立の弊が相互の知識・・・<夏目漱石「道楽と職業」青空文庫>
  19. ・・・分化作用を述べる際につい口が滑って文学者ことに小説家の眼識に論及してしまったのであります。だからこれをもって彼らの使命の全般をつくしたとは申されない。前にも云う通りついでだから分化作用に即して彼らの使命の一端を挙げたのに過ぎんのである。した・・・<夏目漱石「文芸の哲学的基礎」青空文庫>
  20. ・・・そうした麻酔によるエクスタシイの夢の中で、私の旅行した国々のことについては、此所に詳しく述べる余裕がない。だがたいていの場合、私は蛙どもの群がってる沼沢地方や、極地に近く、ペンギン鳥のいる沿海地方などを彷徊した。それらの夢の景色の中では、す・・・<萩原朔太郎「猫町」青空文庫>
  21.  翻訳は如何様にすべきものか、其の標準は人に依って、各異ろうから、もとより一概に云うことは出来ぬ。されば、自分は、自分が従来やって来た方法について述べることとする。 一体、欧文は唯だ読むと何でもないが、よく味うて見ると、・・・<二葉亭四迷「余が翻訳の標準」青空文庫>
  22. ・・・しばらく休んで次の講座で述べるといたす。 南無疾翔大力、南無疾翔大力。 みなの衆しばらくゆるりとやすみなされ。」 いちばん高い木の黒い影が、ばたばた鳴って向うの低い木の方へ移ったようでした。やっぱりふくろうだったのです。 そ・・・<宮沢賢治「二十六夜」青空文庫>
  23. ・・・ 前業の養鶏奨励の方法は、だんだん詳しく述べるつもりであるが、まあその模範として一例を示そう。先頃私が茨窪の松林を散歩していると、向うから一人の黒い小倉服を着た人間の生徒が、何か大へん考えながらやって来た。私はすぐにその生徒の考えている・・・<宮沢賢治「茨海小学校」青空文庫>
  24. ・・・祭司次長ウィリアム・タッピング祭司長ヘンリー・デビスに代ってこれを述べる。」 拍手は天幕もひるがえるばかり、この間デビスはただよろよろと感激して頭をふるばかりでありました。 その拍手の中でデビス長老は祭司次長に連れられて壇を下り透明・・・<宮沢賢治「ビジテリアン大祭」青空文庫>
  25. ・・・ その晩、自分は最後の時間をうけもっていたのでおそく出席し、そもそもその講習会員がどんな発端からそういう話をはじめたのかわからず、鹿地亘が意見を述べるのを聞いていた。「亀のチャーリー」について問題とすべきはプロレタリア文学としての創作方・・・<宮本百合子「一連の非プロレタリア的作品」青空文庫>
  26. ・・・ 或る人々は、その様な事は誤った事だと、私の此れから述べる事をひていするかもしれない。けれ共、私は自分の五官の働きを信じて疑わない。 私にとって、自分の眼、耳に感じた事が、自分に対しては最も正直な、或る事物に対する反影であると信ずる・・・<宮本百合子「大いなるもの」青空文庫>
  27. ・・・傍聴券が出されたと云う事も彼女一つの例を以て、多くの他の場合を戒めるという意味であったのでしょうが、暁子が若し心の底から自分の境遇と結果について述べる力を持っていたならば、彼女の云いたかった事は何でありましょう。私共は此の事を考えて見ないで・・・<宮本百合子「「女の一生」と志賀暁子の場合」青空文庫>
  28. ・・・だけれども、飾らずめいめいの感想を述べるとすると、その点、私たちの生活の文化は、満足なほど率直ではないのが今日の実際だと思う。明日の事がよく見とおせるだけ、事態は明瞭だとは云い難い。 しかし、健全な文化、明るく朗らかな生活ということは到・・・<宮本百合子「今日の生活と文化の問題」青空文庫>
  29. ・・・だが、それは後に述べることとして、さて前に述べた新感覚についての新なるものとは何か。感覚とは純粋客観から触発された感性的認識の質料の表徴であった。そこで、感覚と新感覚との相違であるが、新感覚は、その触発体としての客観が純粋客観のみならず、一・・・<横光利一「新感覚論」青空文庫>
  30. ・・・『辰敬家訓』として述べるものも、実はこの父の教訓にほかならない。辰敬自身は、青年時代以来諸国を放浪して歩いたが、その間に、「力を以て事をなすは下の人、心を働かして心にて事をなすは上の人」と悟ったのである。悟ってみると父の教訓がしみじみと思い・・・<和辻哲郎「埋もれた日本」青空文庫>