のぼ・せる【逆上せる】例文一覧 4件

  1. ・・・ 日中は梅の香も女の袖も、ほんのりと暖かく、襟巻ではちと逆上せるくらいだけれど、晩になると、柳の風に、黒髪がひやひやと身に染む頃。もうちと経つと、花曇りという空合ながら、まだどうやら冬の余波がありそうで、ただこう薄暗い中はさもないが、処・・・<泉鏡花「妖術」青空文庫>
  2. ・・・今度は三十ばかしの野郎よ、野郎じゃアねッからお話になんねエ、十七、八の新造と来なきゃア、そうよそろそろ暑くなるから逆上せるかもしんねエ。』と大きな声で言うのは『踏切の八百屋』である。『そうよ懐が寒くなると血がみんな頭へ上って、それで気が・・・<国木田独歩「郊外」青空文庫>
  3. ・・・すこし逆上せる程の日光を浴びながら、店々の飾窓などの前を歩いて、尾張町まで行った。広い町の片側には、流行の衣裳を着けた女連、若い夫婦、外国の婦人なぞが往ったり来たりしていた。ふと、ある店頭のところで、買物している丸髷姿の婦人を見掛けた。・・・<島崎藤村「刺繍」青空文庫>
  4. ・・・邸では瓦斯が勝手にまで使ってあるのに、奥さんは逆上せると云って、炭火に当っているのである。 電燈は邸ではどの寝間にも夜どおし附いている。しかし秀麿は寝る時必ず消して寝る習慣を持っているので、それが附いていれば、又徹夜して本を読んでいたと・・・<森鴎外「かのように」青空文庫>