のり‐かえ〔‐かへ〕【乗(り)換え/乗(り)替え】例文一覧 24件

  1. ・・・動坂から電車に乗って、上野で乗換えて、序に琳琅閣へよって、古本をひやかして、やっと本郷の久米の所へ行った。すると南町へ行って、留守だと云うから本郷通りの古本屋を根気よく一軒一軒まわって歩いて、横文字の本を二三冊買って、それから南町へ行くつも・・・<芥川竜之介「田端日記」青空文庫>
  2. ・・・今朝も僕が電車へ乗ったら、先生は一番まん中にかけていたっけが、乗換えの近所になると、『車掌、車掌』って声をかけるんだ。僕は可笑しくって、弱ったがね。とにかく一風変った人には違いないさ。」と、巧に話頭を一転させてしまった。が、毛利先生のそう云・・・<芥川竜之介「毛利先生」青空文庫>
  3. ・・・勿論その時は格別気にもしないで、二羽とも高い夕日の空へ、揉み上げられるようになって見えなくなるのを、ちらりと頭の上に仰ぎながら、折よく通りかかった上野行の電車へ飛び乗ってしまいましたが、さて須田町で乗換えて、国技館前で降りて見ると、またひら・・・<芥川竜之介「妖婆」青空文庫>
  4. ・・・ 一帆がその住居へ志すには、上野へ乗って、須田町あたりで乗換えなければならなかったに、つい本町の角をあれなり曲って、浅草橋へ出ても、まだうかうか。 もっとも、わざととはなしに、一帳場ごとに気を注けたが、女の下りた様子はない。 で・・・<泉鏡花「妖術」青空文庫>
  5. ・・・ ある夕方、三味線のトランクを提げて日本橋一丁目の交叉点で乗換えの電車を待っていると、「蝶子はんと違いまっか」と話しかけられた。北の新地で同じ抱主の所で一つ釜の飯を食っていた金八という芸者だった。出世しているらしいことはショール一つにも・・・<織田作之助「夫婦善哉」青空文庫>
  6. ・・・Eから乗るとTで乗換えをする。そのTへゆくまでがMからだとEからの二倍も三倍もの時間がかかるのであった。電車はEとTとの間を単線で往復している。閑な線で、発車するまでの間を、車掌がその辺の子供と巫山戯ていたり、ポールの向きを変えるのに子供達・・・<梶井基次郎「路上」青空文庫>
  7. ・・・新宿から品川行に乗換えて、あの停車場で降りてからも弟達の居るところまでは、別な車で坂道を上らなければならなかった。おげんはとぼとぼとした車夫の歩みを辻車の上から眺めながら、右に曲り左に曲りして登って行く坂道を半分夢のように辿った。 弟達・・・<島崎藤村「ある女の生涯」青空文庫>
  8. ・・・三昼夜かかって、やっと秋田県の東能代までたどりつき、そこから五能線に乗り換えて、少しほっとした。「海は、海の見えるのは、どちら側です。」 私はまず車掌に尋ねる。この線は海岸のすぐ近くを通っているのである。私たちは、海の見える側に坐っ・・・<太宰治「海」青空文庫>
  9. ・・・川部という駅で五能線に乗り換えて十時頃、五所川原駅に着いた時には、なんの事はない、わからない津軽言葉なんて一語も無かった。全部、はっきり、わかるようになっていた。けれども、自分で純粋の津軽言葉を言う事が出来るかどうか、それには自信がなかった・・・<太宰治「帰去来」青空文庫>
  10. ・・・という綴方は、池袋の叔母さんが、こんど練馬の春日町へお引越しになって、庭も広いし、是非いちど遊びにいらっしゃいと言われて私は、六月の第一日曜に、駒込駅から省線に乗って、池袋駅で東上線に乗り換え、練馬駅で下車しましたが、見渡す限り畑ばかりで、・・・<太宰治「千代女」青空文庫>
  11. ・・・ 三鷹駅から省線で東京駅迄行き、それから市電に乗換え、その若い記者に案内されて、先ず本社に立寄り、応接間に通されて、そうして早速ウイスキイの饗応にあずかりました。 思うに、太宰はあれは小心者だから、ウイスキイでも飲ませて少し元気をつ・・・<太宰治「美男子と煙草」青空文庫>
  12. ・・・八王子あたりまでは、よく晴れていたのだが、大月で、富士吉田行の電車に乗り換えてからは、もはや大豪雨であった。ぎっしり互いに身動きの出来ぬほどに乗り込んだ登山者あるいは遊覧の男女の客は、口々に、わあ、ひどい、これあ困ったと豪雨に対して不平を並・・・<太宰治「服装に就いて」青空文庫>
  13. ・・・先生、お茶の水から外濠線に乗り換えて錦町三丁目の角まで来ておりると、楽しかった空想はすっかり覚めてしまったような侘しい気がして、編集長とその陰気な机とがすぐ眼に浮かぶ。今日も一日苦しまなければならぬかナアと思う。生活というものはつらいものだ・・・<田山花袋「少女病」青空文庫>
  14. ・・・いつか須田町で乗換えたときに気まぐれに葉巻を買って吸付けたばかりに電車を棄権して日本橋まで歩いてしまった。夏目先生にその話をしたら早速その当時書いていた小説の中の点景材料に使われた。須永というあまり香ばしからぬ役割の作中人物の所業としてそれ・・・<寺田寅彦「喫煙四十年」青空文庫>
  15. ・・・池袋から乗り換えて東上線の成増駅まで行った。途中の景色が私には非常に気にいった。見渡す限り平坦なようであるが、全体が海抜幾メートルかの高台になっている事は、ところどころにくぼんだ谷があるので始めてわかる。そういう谷の所にはきまって松や雑木の・・・<寺田寅彦「写生紀行」青空文庫>
  16. ・・・うっかりバーゼル止まりの客車へ乗り込んでいたが、車掌に注意されてあわててベルリン直行のに乗り換えた。 コモやルガノの絵のような湖も見られた。ボートの上にカンバスをかまぼこ形に張ったのが日本の屋根舟よりはむしろ文人画中の漁舟を思い出させた・・・<寺田寅彦「旅日記から(明治四十二年)」青空文庫>
  17. ・・・しかしまた、乗り換え切符を出さなくなったために乗客の選ぶコースが平常と変わり、その結果としていつもは混雑するある時刻のある線路が異常に閑散になったというような現象もあるらしく思われた。この異常時の各線路の乗客数の調査をしたら市電将来の経営に・・・<寺田寅彦「破片」青空文庫>
  18. ・・・三田行きの電車を大手町で乗り換えたり、あるいはそこから歩いたりして日本橋の四つ角まで行く。白木屋に絵の展覧会でもあるとはいって見る事もあるが、大概はすぐに丸善へ行く。別にどういう本を買うあてがあるわけではないが、ただ何かしら久しぶりで仲のい・・・<寺田寅彦「丸善と三越」青空文庫>
  19. ・・・九段、市ヶ谷、本郷、神田、小石川方面のお方はお乗換え――あなた小石川はお乗換ですよ。お早く願います。」と注意されて女房は真黒な乳房をぶらぶら、片手に赤児片手に提灯と風呂敷包みを抱え込み、周章てふためいて降り掛ける。その入口からは、待っていた・・・<永井荷風「深川の唄」青空文庫>
  20. ・・・ただ今お乗り換えの方は切符を拝見致します。次は数寄屋橋、お乗換の方は御在いませんか。」「ありますよ。ちょいと、乗りかえ。本所は乗り換えじゃないんですか。」髪を切り下げにした隠居風の老婆が逸早く叫んだ。 けれども車掌は片隅から一人々々・・・<永井荷風「深川の唄」青空文庫>
  21. ・・・夕靄の中に暮れて行く外濠の景色を見尽して、内幸町から別の電車に乗換えた後も絶えず窓の外に眼を注いでいた。特徴のないしかも乱雑な人家つづきの街が突然尽きて、あたりが真暗になったかと思うと、自分は直様窓の外に縦横に入り乱れて立っている太い樹木を・・・<永井荷風「霊廟」青空文庫>
  22. ・・・川の底を通って、それから汽車を乗換えて、いわゆる「ウエスト・エンド」辺に行くのだ。停車場まで着て十銭払って「リフト」へ乗った。連が三四人ある。駅夫が入口をしめて「リフト」の縄をウンと引くと「リフト」がグーッとさがる、それで地面の下へ抜け出す・・・<夏目漱石「倫敦消息」青空文庫>
  23. ・・・ただ御飯を食べるだけでも詰らないからと私共は或る相談をしたのだ。乗り換えて浅草近くなると網野さんは、「ああこの辺へ来るのは久しぶりで何だか嬉しい」と云った。それをきき私共は安心し一層愉快を感じた。雷門で下車。仲店の角をつっきるとき私・・・<宮本百合子「九月の或る日」青空文庫>
  24. ・・・自分は西国まで往くことは出来ぬが、諸国の船頭を知っているから、船に載せて出て、西国へ往く舟に乗り換えさせることが出来る。あすの朝は早速船に載せて出ようと、大夫は事もなげに言った。 夜が明けかかると、大夫は主従四人をせき立てて家を出た。そ・・・<森鴎外「山椒大夫」青空文庫>