はき‐はき例文一覧 20件

  1. ・・・口を利くのもはきはきしていれば、寝返りをするのも楽そうだった。「お肚はまだ痛むけれど、気分は大へん好くなったよ。」――母自身もそう云っていた。その上あんなに食気までついたようでは、今まで心配していたよりも、存外恢復は容易かも知れない。――洋・・・<芥川竜之介「お律と子等と」青空文庫>
  2. ・・・想像していたのとはまるで違って、四十恰好の肥った眇眼の男だった。はきはきと物慣れてはいるが、浮薄でもなく、わかるところは気持ちよくわかる質らしかった。彼と差し向かいだった時とは反対に、父はその人に対してことのほか快活だった。部屋の中の空気が・・・<有島武郎「親子」青空文庫>
  3. ・・・つぎに、男子というものは、心に思ったことは、はきはきと返事をすることを忘れてはならぬ。これは、使われるものの心得おくべきことだ。」といわれたのでした。 賢一は、老先生のお言葉をありがたく思いました。そして、この温情深い先生の膝下から、遠・・・<小川未明「空晴れて」青空文庫>
  4. ・・・ 秀ちゃんは、はじめてのお家へきたので、かしこまっていましたが、だんだん慣れると、さっぱりとした性質ですから、話しかけられれば、はきはき、ものをいいますので、すぐにみんなとうちとけてしまいました。 いろいろと話をしているうち、ふいに・・・<小川未明「二少年の話」青空文庫>
  5. ・・・それを極まり悪そうにもしないで、彼の聞くことを穏やかにはきはきと受け答えする。――信子はそんな好もしいところを持っていた。 今彼の前を、勝子の手を曳いて歩いている信子は、家の中で肩縫揚げのしてある衣服を着て、足をにょきにょき出している彼・・・<梶井基次郎「城のある町にて」青空文庫>
  6. ・・・言葉使いがはきはきしていた。初対面の時、じいさんとばあさんとは、相手の七むずかしい口上に、どう応酬していゝか途方に暮れ、たゞ「ヘエ/\」と頭ばかり下げていた。それ以来両人は大佐を鬼門のように恐れていた。 またしても、むずかしい挨拶をさせ・・・<黒島伝治「老夫婦」青空文庫>
  7. ・・・「どうもやっぱり頭がはきはきしません。じつは一年休学することにしたんです」「そうでございますってね。小母さんは毎日あなたの事ばかり案じていらっしゃるんですよ。今度またこちらへお出でになることになりましてから、どんなにお喜びでしたかし・・・<鈴木三重吉「千鳥」青空文庫>
  8. ・・・妹さんは、たった二十歳でも、二十二歳の佐吉さんより、また二十四歳の私よりも大人びて、いつも、態度が清潔にはきはきして、まるで私達の監督者のようでありました。佐吉さんも亦、其の日はいらいらして居る様子で、町の若者達と共に遊びたくても、派手な大・・・<太宰治「老ハイデルベルヒ」青空文庫>
  9. ・・・いつもに似ず言葉の調子がはきはきしていた。「いつごろです。」僕は玄関の式台に腰をおろした。「さあ、先月の中旬ごろだったでしょうか。あがらない?」「いいえ。きょうは他に用事もあるし。」僕には少し薄気味がわるかったのである。「恥・・・<太宰治「彼は昔の彼ならず」青空文庫>
  10. ・・・ 素直に思っていることを、そのまま言ってみたら、それは私の耳にも、とっても爽やかに響いて、この二、三年、私が、こんなに、無邪気に、ものをはきはき言えたことは、なかった。自分のぶんを、はっきり知ってあきらめたときに、はじめて、平静な新しい・・・<太宰治「女生徒」青空文庫>
  11. ・・・そうして皆に、はきはきした口調で挨拶して、末席につつましく控えていたら、私は、きっと評判がよくて、話がそれからそれへと伝わり、二百里離れた故郷の町までも幽かに響いて、病身の老母を、静かに笑わせることが、出来るのである。絶好のチャンスでは無い・・・<太宰治「善蔵を思う」青空文庫>
  12. ・・・私も、いちど軍服のT君と逢って三十分ほど話をした事がある。はきはきした、上品な青年であった。明日いよいよ戦地へ出発する事になった様子である。その速達が来てから、二時間も経たぬうちに、また妹から速達が来た。それには、「よく考えてみましたら、先・・・<太宰治「東京八景」青空文庫>
  13. ・・・ しかしお絹ははきはきしなかった。お芳とその連れが来たときのことも考えているらしかった。やがて座を立っていったが、幕があいた時分にやっとかえってきた。「ここの電話じゃ急のことには埒があかないから、わたしお隣の緑軒でかけてきましたわ」・・・<徳田秋声「挿話」青空文庫>
  14. ・・・目が見えて態度のはきはきした女は少年の頃から決して太十の相手ではなかった。太十もそれは知って居る。知って居るというより諦めて居た。それより猶お女のつれないということが彼には当然のことなのでそれを格別不足に思うということはなくなって居たのであ・・・<長塚節「太十と其犬」青空文庫>
  15. ・・・それをカムパネルラが忘れる筈もなかったのに、すぐに返事をしなかったのは、このごろぼくが、朝にも午后にも仕事がつらく、学校に出てももうみんなともはきはき遊ばず、カムパネルラともあんまり物を云わないようになったので、カムパネルラがそれを知って気・・・<宮沢賢治「銀河鉄道の夜」青空文庫>
  16. ・・・(じゃぃ、はきはきど返事せじゃ。何でぁ、あたな人形こさ奴おみちはさぁっと青じろくなってまた赤くなった。(ええ糞そのつら付嘉吉はまるで落ちはじめたなだれのように膳を向うへけ飛ばした。おみちはとうとううつぶせになって声をあげて泣き出・・・<宮沢賢治「十六日」青空文庫>
  17. ・・・ 楽器屋や本屋の取次が、はきはきして居ないのはほんとうに気持が悪いと思う。 早口で云われるとききとれない様な頭では駄目じゃあないかと思ったりして居ると、母が寿江子の頭がひどいから来て見ろと云う。 ほんとにまあ可哀そうに、頭の地一・・・<宮本百合子「一日」青空文庫>
  18. ・・・ 始めて彼の女を□(けた女、今までに一辺も見た事のないような張の有る、力のみちみちた、はきはきした口振の彼の女を見てどんなによろこんだ事だろう。 それから、妙なわけになって居るが段々その力つよさと男気の有るのが消え始めた。それでも私・・・<宮本百合子「砂丘」青空文庫>
  19. ・・・同じように白い息をはきはき、大勢の男や女が勤めへ向って急ぎ足で歩いている。 今朝は、いつもと違って郵電省の立派な入口に、幾条もの赤旗が飾られている。勢いよく走ってくる電車の屋根に、赤い小旗がヒラヒラしている。 どの女も、今日はどこや・・・<宮本百合子「ソヴェト同盟の三月八日」青空文庫>
  20. ・・・気性もはきはきしているらしい。これが石田の気に入った。 二三日置いてみて、石田はこれに極めた。比那古のもので、春というのだそうだ。男のような肥後詞を遣って、動作も活溌である。肌に琥珀色の沢があって、筋肉が締まっている。石田は精悍な奴だと・・・<森鴎外「鶏」青空文庫>