ばく‐だん【爆弾】例文一覧 30件

  1. ・・・ 将軍の声は爆弾のように、中佐の追憶を打ち砕いた。中佐は舞台へ眼を返した。舞台にはすでに狼狽した少尉が、幕と共に走っていた。その間にちらりと屏風の上へ、男女の帯の懸かっているのが見えた。 中佐は思わず苦笑した。「余興掛も気が利かなす・・・<芥川竜之介「将軍」青空文庫>
  2. ・・・ その間も寂しい鬼が島の磯には、美しい熱帯の月明りを浴びた鬼の若者が五六人、鬼が島の独立を計画するため、椰子の実に爆弾を仕こんでいた。優しい鬼の娘たちに恋をすることさえ忘れたのか、黙々と、しかし嬉しそうに茶碗ほどの目の玉を赫かせながら。・・・<芥川竜之介「桃太郎」青空文庫>
  3. ・・・ 例えば、広島に原子爆弾が出現した時、政府とそして政府の宣伝係の新聞は、新型爆弾怖るるに足らずという、あらぬことを口走っている。そしてこれを信じていた長崎の哀れな人々は、八月二十日を待たずに死んで行ったではないか。 原子爆弾と前後し・・・<織田作之助「終戦前後」青空文庫>
  4. ・・・丸善の棚へ黄金色に輝く恐ろしい爆弾を仕掛けて来た奇怪な悪漢が私で、もう十分後にはあの丸善が美術の棚を中心として大爆発をするのだったらどんなにおもしろいだろう。 私はこの想像を熱心に追求した。「そうしたらあの気詰まりな丸善も粉葉みじんだろ・・・<梶井基次郎「檸檬」青空文庫>
  5. ・・・すると、日本帝国主義は軍隊をさしむけ、飛行機、山砲、照明砲、爆弾等の精鋭な武器で蕃人たちを殺戮しようとした。その蕃人征伐に使われたのも兵士たちだ。 兵士たちは、こういう植民地の労働者を殺戮するために使われ、植民地を帝国主義ブルジョアジー・・・<黒島伝治「入営する青年たちは何をなすべきか」青空文庫>
  6. ・・・鉄砂の破片が、顔一面に、そばかすのように填りこんだ者は爆弾戦にやられたのだ。挫折や、打撲傷は、顛覆された列車と共に起ったものだ。 負傷者は、肉体にむすびつけられた不自由と苦痛にそれほど強い憤激を持っていなかった。「俺ら、もう十三寝た・・・<黒島伝治「氷河」青空文庫>
  7.  東京の三鷹の家にいた頃は、毎日のように近所に爆弾が落ちて、私は死んだってかまわないが、しかしこの子の頭上に爆弾が落ちたら、この子はとうとう、海というものを一度も見ずに死んでしまうのだと思うと、つらい気がした。私は津軽平野の・・・<太宰治「海」青空文庫>
  8. ・・・が弱いので、召集からも徴用からものがれ、無事に毎日、雑誌社に通勤していたのですが、戦争がはげしくなって、私たちの住んでいるこの郊外の町に、飛行機の製作工場などがあるおかげで、家のすぐ近くにもひんぴんと爆弾が降って来て、とうとう或る夜、裏の竹・・・<太宰治「おさん」青空文庫>
  9. ・・・         × 満洲事変が起った。爆弾三勇士。私はその美談に少しも感心しなかった。 私はたびたび留置場にいれられ、取調べの刑事が、私のおとなしすぎる態度に呆れて、「おめえみたいなブルジョアの坊ちゃんに革命なんて出来るものか・・・<太宰治「苦悩の年鑑」青空文庫>
  10. ・・・大戦の前から住んでいたのだが、ことしの春に爆弾でこわされたので、甲府市水門町の妻の実家へ移転した。しかるに、移転して三月目にその家が焼夷弾で丸焼けになったので、まちはずれの新柳町の或る家へ一時立ち退き、それからどうせ死ぬなら故郷で、という気・・・<太宰治「十五年間」青空文庫>
  11.  東京の家は爆弾でこわされ、甲府市の妻の実家に移転したが、この家が、こんどは焼夷弾でまるやけになったので、私と妻と五歳の女児と二歳の男児と四人が、津軽の私の生れた家に行かざるを得なくなった。津軽の生家では父も母も既になくなり・・・<太宰治「庭」青空文庫>
  12.  東京の三鷹の住居を爆弾でこわされたので、妻の里の甲府へ、一家は移住した。甲府の妻の実家には、妻の妹がひとりで住んでいたのである。 昭和二十年の四月上旬であった。聯合機は甲府の空をたびたび通過するが、しかし、投弾はほとん・・・<太宰治「薄明」青空文庫>
  13. ・・・先日、にわかに敵機が降下して来て、すぐ近くに爆弾を落し、防空壕に飛び込むひまも無く、家族は二組にわかれて押入れにもぐり込みましたが、ガチャンと、もののこわれる音がして、上の女の子が、やあ、ガラスがこわれたと、恐怖も何も感じない様子で、無心に・・・<太宰治「春」青空文庫>
  14. ・・・ 最後に「爆弾三勇士」があったが、これも前に一見した新派俳優のよりもはるかにおもしろく見られた。人間がやっていると思うと、どうしても感じる矛盾や不自然さが、人形だと、そう感じられない。あれで、もし背景などをもう少しくふうしてあれほど写実・・・<寺田寅彦「生ける人形」青空文庫>
  15. ・・・飛行機から爆弾を投下する光景や繋留気球が燃え落ちる場面があるというので自分の目下の研究の参考までにと見に行ったのが「ウィング」であった。それから後、象の大群が見られるというので「チャング」を見、アフリカの大自然があるというので「ザンバ」を見・・・<寺田寅彦「映画時代」青空文庫>
  16. ・・・少なくも爆弾よりも安価でしかもかえって有効かもしれない。 戦争のないうちはわれわれは文明人であるが戦争が始まると、たちまちにしてわれわれは野蛮人になり、獣になり鳥になり魚になりまた昆虫になるのである。機械文明が発達するほどいっそうそうな・・・<寺田寅彦「からすうりの花と蛾」青空文庫>
  17. ・・・少なくも爆弾よりも安価でしかも却って有効かもしれない。 戦争のないうちは吾々は文明人であるが、戦争が始まるとたちまちにして吾々は野蛮人になり、獣になり鳥になり魚になり、また昆虫になるのである。機械文明が発達するほど一層そうなるから妙であ・・・<寺田寅彦「烏瓜の花と蛾」青空文庫>
  18. ・・・井戸に毒を入れるとか、爆弾を投げるとかさまざまな浮説が聞こえて来る。こんな場末の町へまでも荒して歩くためには一体何千キロの毒薬、何万キロの爆弾が入るであろうか、そういう目の子勘定だけからでも自分にはその話は信ぜられなかった。 夕方に駒込・・・<寺田寅彦「震災日記より」青空文庫>
  19. ・・・ 大地震、大火事の最中に、暴徒が起って東京中の井戸に毒薬を投じ、主要な建物に爆弾を投じつつあるという流言が放たれたとする。その場合に、市民の大多数が、仮りに次のような事を考えてみたとしたら、どうだろう。 例えば市中の井戸の一割に毒薬・・・<寺田寅彦「流言蜚語」青空文庫>
  20. ・・・ あらゆる監房からは、元気のいい声や、既に嗄れた声や、中にはまったく泣声でもって、常人が監獄以外では聞くことのできない感じを、声の爆弾として打ち放った。 これ等の声の雑踏の中に、赤煉瓦を越えて向うの側から、一つの演説が始められた。・・・<葉山嘉樹「牢獄の半日」青空文庫>
  21. ・・・疎開児童は田舎へ行って爆弾からは護られたけれども空腹からは護られませんでした。疎開学童は働く楽しみのために農家を手伝ったのではなくて、そうすれば食物を貰えるから、その目的のために働きました。それでも疎開児童が帰って来たときに、親は涙をこぼす・・・<宮本百合子「美しく豊な生活へ」青空文庫>
  22. ・・・ここで隊列を敷いていたフランス兵たちが生きながら瞬間に爆弾の土砂に埋められた。 更に一ヤードほど登った前方の草の間に、金の輪でも落ちているように光を放っているものがある。こごんでそれを眺め、私は覚えず息をつめた。 おおこれは一つの小・・・<宮本百合子「女靴の跡」青空文庫>
  23. ・・・そのための強国間の協力、原子爆弾の禁止、人種的差別の撤廃、マーシャル・プランの廃止、植民地住民の自治原則確立、日独に対する講和促進と占領軍の撤退、中国における民主的連立政権の樹立、タフト・ハートレー法の撤廃、非米委員会活動の廃止、基本産業の・・・<宮本百合子「現代史の蝶つがい」青空文庫>
  24. ・・・何しろ原子爆弾さえできた世の中です。天然色の映画さえできております。ですからものを能率的につくるという機械の発展は十九世紀以来驚くべきものなのです。第二次ヨーロッパ大戦ではたくさんの発明がありましたからわかりませんけれども、少くとも第一次ヨ・・・<宮本百合子「幸福の建設」青空文庫>
  25. ・・・ 文芸春秋に、「男性への爆弾」という記事があり、山川菊栄、森田たま、河崎なつの諸名流女史が夫々執筆していられる。河崎なつ氏をのぞいて、他の二人、特に山川菊栄女史の文章は面白い。女史は「先ず手近から」男を観察し、女中の留守には自分の洗・・・<宮本百合子「昨今の話題を」青空文庫>
  26. ・・・超階級的と思われてきた自然科学の法則が、支配階級の権力によって使用された場合、そして、その権力が侵略的であったとき、科学の真理は毒ガスとなり、爆弾となり、おそろしい殺人を行いました。地球はまわるといったガリレオ・ガリレイは、宗教裁判にかけら・・・<宮本百合子「質問へのお答え」青空文庫>
  27. ・・・ 湯川秀樹博士がノーベル賞を受けた日、「わたしは原子爆弾をつくれないし、そういう興味をもっていない」と語った言葉は、世界のまじめな人たちの心に響いた。 南原東大総長がワシントンの会議で、「民族とその文化の独立のためには、世界平和が確・・・<宮本百合子「しようがない、だろうか?」青空文庫>
  28.  日本の新聞はアメリカの良心的な市民が読んだら怒るだろうほどおく面ない調子で、アメリカに原子爆弾よりも殺リク力を持った、放射線の雲を作ることが発明されたと報じています。建物を破壊しないで人間はセン滅するから原子爆弾よりも有効・・・<宮本百合子「世界は平和を欲す」青空文庫>
  29. ・・・「また椰子の殻に爆弾を詰めたのが二つ三つあったそうですよ。」「革命党ですね。」 己は大理石の卓の上にあるマッチ立てを引き寄せて、煙草に火を附けて、椅子に腰を掛けた。 暫くしてから、脚長が新聞を卓の上に置いて、退屈らしい顔をしてい・・・<森鴎外「沈黙の塔」青空文庫>
  30. ・・・噂の原子爆弾というやつかな。」「そうでもないらしいです。何んでも、凄い光線らしい話でしたよ。よく私も知りませんが、――」 負け傾いて来ている大斜面を、再びぐっと刎ね起き返すある一つの見えない力、というものが、もしあるのなら誰しも欲し・・・<横光利一「微笑」青空文庫>