ばく‐はつ【爆発】例文一覧 30件

  1. ・・・ 彼は片手に銃を振り振り、彼の目の前に闇を破った、手擲弾の爆発にも頓着せず、続けざまにこう絶叫していた。その光に透かして見れば、これは頭部銃創のために、突撃の最中発狂したらしい、堀尾一等卒その人だった。     二 間牒・・・<芥川竜之介「将軍」青空文庫>
  2. ・・・硝煙は見る見る山をなし、敵の砲弾は雨のように彼等のまわりへ爆発した。しかし味かたは勇敢にじりじり敵陣へ肉薄した。もっとも敵の地雷火は凄まじい火柱をあげるが早いか、味かたの少将を粉微塵にした。が、敵軍も大佐を失い、その次にはまた保吉の恐れる唯・・・<芥川竜之介「少年」青空文庫>
  3. ・・・それとも海底噴火山の爆発かな。 気がついて見ると、僕は、書斎のロッキング・チェアに腰をかけて St. John Ervine の The Critics と云う脚本を読みながら、昼寝をしていたのである。船だと思ったのは、大方椅子の揺れる・・・<芥川竜之介「MENSURA ZOILI」青空文庫>
  4. ・・・ 果然革命は欧洲戦を導火線として突然爆発した。が、誰も多少予想していないじゃないが余り迅雷疾風的だったから誰も面喰ってしまった。その上、東京の地震の火事と同様、予想以上に大きくなったのでいよいよ面喰ってしまった。日本は二葉亭の注文通りに・・・<内田魯庵「二葉亭追録」青空文庫>
  5. ・・・凶暴な人間が血を見ていっそう惨虐性を発揮するように、涙を見ると、私の凶暴性が爆発する。Fの涙は、いつの場合でも私には火の鞭であり、苛責の暴風であった。私の今日の惨めな生活、瘠我慢、生の執着――それが彼の一滴の涙によって、たとえ一瞬間であろう・・・<葛西善蔵「父の出郷」青空文庫>
  6. ・・・丸善の棚へ黄金色に輝く恐ろしい爆弾を仕掛けて来た奇怪な悪漢が私で、もう十分後にはあの丸善が美術の棚を中心として大爆発をするのだったらどんなにおもしろいだろう。 私はこの想像を熱心に追求した。「そうしたらあの気詰まりな丸善も粉葉みじんだろ・・・<梶井基次郎「檸檬」青空文庫>
  7. ・・・ ――戦死者中福井丸の広瀬中佐および杉野兵曹長の最後はすこぶる壮烈にして、同船の投錨せんとするや、杉野兵曹長は爆発薬を点火するため船艙におりし時、敵の魚形水雷命中したるをもって、ついに戦死せるもののごとく、広瀬中佐は乗員をボートに乗り移・・・<国木田独歩「号外」青空文庫>
  8. ・・・ 彼は、嫉妬と憤怒が胸に爆発した。大隊を指揮する、取っておきのどら声で怒なりつけようとした。その声は、のどの最上部にまで、ぐうぐう押し上げて来た。 が、彼は、必死の努力で、やっとそれを押しこらえた。そして、前よりも二倍位い大股に、聯・・・<黒島伝治「渦巻ける烏の群」青空文庫>
  9. ・・・ 女や、子供や、老人の叫喚が、逃げ場を失った家畜の鳴声に混って、家が倒れ、板が火に焦げる刺戟的な音響や、何かの爆発する轟音などの間から聞えてくる。 見晴しのきく、いくらか高いところで、兵士は、焼け出されて逃げてくる百姓を待ち受けて射・・・<黒島伝治「パルチザン・ウォルコフ」青空文庫>
  10. ・・・ その時、奥の方で、ハッパが連続的に爆発する物凄い音響が轟いた。砕かれた岩が、ついそこらへまで飛んで来るけはいがした。押し出される空気が、サッと速力のある風になって流れ出た。つゞいて、煙硝くさい、煙のたまが、渦を捲いて濛々と湧き出て来た・・・<黒島伝治「土鼠と落盤」青空文庫>
  11. ・・・苦悩が爆発したのである。「何も彼も皆わたくしの恐ろしい落度から起りましたので。」 自ら責めるよりほかは無かったが、自ら責めるばかりで済むことでは無い、という思が直に※深く考え居りてか、差当りて何と為ん様子も無きに、右膳は愈々勝に乗り・・・<幸田露伴「雪たたき」青空文庫>
  12. ・・・それがキッかけに、今度は爆発するように、皆が足踏みをし、壁をたゝき出した。 われ/\の十一月七日を勇敢に闘った同志は、そのなかを大声で何か叫びながら、連れて行かれた。俺だちはその声が遠くなり、聞えなくなる迄、足踏みをやめなかった。・・・<小林多喜二「独房」青空文庫>
  13. ・・・おさえにおさえて、どっと爆発した歓喜の情が、よくわかるのである。バンザイ以外に、表現が無い。しばらくして兄は、「よかった!」と一言、小さい声で呟いて、深く肩で息をした。それから、そっと眼鏡をはずした。 私は、危く噴き出しそうになった・・・<太宰治「一燈」青空文庫>
  14. ・・・というだみ声が、上席のほうから発せられて、私は自分の行きどころの無い思いを一時にその上席のだみ声に向けて爆発させた。「うるせえ、だまっとれ!」と、確かに小声で言った筈なのだが、坐ってから、あたりを見廻すと、ひどく座が白けている。もう、駄・・・<太宰治「善蔵を思う」青空文庫>
  15. ・・・でも、こんなに遅く私の家にまいりましたことは一度も無いのですし、それに、わざわざ私を、こっそり呼ぶというのは、いよいよ芹川さんのれいの問題が爆発したのにちがいない、とわくわくしてしまって、私のほうから、「芹川さんは、このごろお見えになり・・・<太宰治「誰も知らぬ」青空文庫>
  16. ・・・この匂いを嗅ぐと、少年時代に遊び歩いた郷里の北山の夏の日の記憶が、一度に爆発的に甦って来るのを感じる。 宿に落着いてから子供等と裏の山をあるいていると、鶯が鳴き郭公が呼ぶ。落葉松の林中には蝉時雨が降り、道端には草藤、ほたるぶくろ、ぎぼし・・・<寺田寅彦「浅間山麓より」青空文庫>
  17. ・・・プドーフキンは爆発の光景を現わすのに本物のダイナマイトの爆発を撮ってみたがいっこうにすごみも何もないので、試みにひどく黒煙を出す炬火やら、マグネシウムの閃光やを取り交ぜ、おまけに爆発とはなんの縁もない、有り合わせの河流の映像を插入してみたら・・・<寺田寅彦「映画芸術」青空文庫>
  18. ・・・を作ろうとして誤って爆発させたり、幻燈器械や電池を作りそこなったりしていたのである。そうして、中学校から高等学校へ移るまぎわに立ったときに、なんの躊躇もなく生涯の針路を科学のほうに向けたのであった。そうして、今になって考えてみても自分の取る・・・<寺田寅彦「科学と文学」青空文庫>
  19. ・・・なるほど一時は在来の型で抑えられるかも知れないが、どうしたって内容に伴れ添わない形式はいつか爆発しなければならぬと見るのが穏当で合理的な見解であると思う。 元来この型そのものが、何のために存在の権利を持っているかというと、前にもお話した・・・<夏目漱石「中味と形式」青空文庫>
  20. ・・・その幾百噸の煙りの一分子がことごとく震動して爆発するかと思わるるほどの音が、遠い遠い奥の方から、濃いものと共に頭の上へ躍り上がって来る。 雨と風のなかに、毛虫のような眉を攅めて、余念もなく眺めていた、圭さんが、非常な落ちついた調子で、・・・<夏目漱石「二百十日」青空文庫>
  21. ・・・彼の受けた命令は、その玄武門に火薬を装置し、爆発の点火をすることだった。だが彼の作業を終った時に、重吉の勇気は百倍した。彼は大胆不敵になり、無謀にもただ一人、門を乗り越えて敵の大軍中に跳び降りた。 丁度その時、辮髪の支那兵たちは、物悲し・・・<萩原朔太郎「日清戦争異聞(原田重吉の夢)」青空文庫>
  22. ・・・ ――若し、今、こいつに火をつけたら、ダイナマイト見たいに、爆発するに決ってる。俺が海事局へ行ってから、十分に思い知らしてやればいいんだ。それまでは、豆腐ん中に頭を突っ込んだ鰌見たいに、暴れられる丈け暴れさせとくんだ。―― セコンド・・・<葉山嘉樹「浚渫船」青空文庫>
  23. ・・・ 雲がすっかり消えて、新らしく灼かれた鋼の空に、つめたいつめたい光がみなぎり、小さな星がいくつか連合して爆発をやり、水車の心棒がキイキイ云います。 とうとう薄い鋼の空に、ピチリと裂罅がはいって、まっ二つに開き、その裂け目から、あやし・・・<宮沢賢治「烏の北斗七星」青空文庫>
  24. ・・・と時間に合せて盤をまわすと、そのとき出ているそらがそのまま楕円形のなかにめぐってあらわれるようになって居りやはりそのまん中には上から下へかけて銀河がぼうとけむったような帯になってその下の方ではかすかに爆発して湯気でもあげているように見えるの・・・<宮沢賢治「銀河鉄道の夜」青空文庫>
  25. ・・・同志というより一人の好きでない男という心持がその共働者に対して爆発し、ある夜、良人である同志の家へ逃げ出して来る。すると、良人はその一部始終をきいて、静かに、眼を伏せながらいった。「お帰り。」女は「だって……」と了解しかねていうと良人は昂奮・・・<宮本百合子「新しい一夫一婦」青空文庫>
  26. ・・・は、まだ多分に、この作者が幼時の環境からしみこまされていたアナーキスティックな爆発があった。しかし、少女時代の労働のために健康を失ったこの作者が、妻、母として、党員として東北の小さい町に負担の多い生活とたたかいながら一つ一つ作品を重ねて来て・・・<宮本百合子「あとがき(『宮本百合子選集』第十五巻)」青空文庫>
  27. ・・・ここではパートの崩壊、積重、綜合の排列情調の動揺若くはその突感の差異分裂の顫動度合の対立的要素から感覚が閃き出し、主観は語られずに感覚となって整頓せられ爆発する。時として感覚派の多くの作品は古き頭脳の評者から「拵えもの」なる貶称を冠せられる・・・<横光利一「新感覚論」青空文庫>
  28. ・・・かかる愛の爆発力は同じき理想の旗のもとに、最早や現実の実相を突破し蹂躙するであろう。最早懐疑と凝視と涕涙と懐古とは赦されぬであろう。その各自の熱情に従って、その美しき叡智と純情とに従って、もしも其爆発力の表現手段が分裂したとしたならば、それ・・・<横光利一「黙示のページ」青空文庫>
  29. ・・・長州風呂でかまどは大きかったのであるが、しかしもみじの葉をつめ込んで火をつけると、大変な煙で、爆発するようにたき口へ出て来た。そのわりに火力は強くなかった。山のように積み上げたもみじの葉を根気よくたき口から突き込んで、長い時間をかけて、やっ・・・<和辻哲郎「京の四季」青空文庫>
  30. ・・・創作家の場合には、精神的疲労のために、そういう折檻が癇癪の爆発の形で現われやすいであろう。しかしその欠点は母親が適当に補うことができる。純一君の場合は、母親がこの緩和につとめないで、むしろ父親の癇癪に対する反感を煽ったのではなかろうか。その・・・<和辻哲郎「漱石の人物」青空文庫>