ばく‐ろ【暴露/×曝露】例文一覧 30件

  1. ・・・そうしてそれと共に、この嘘を暴露させてやりたい気が、刻々に強く己へ働きかけた。ただ、何故それを嘘だと思ったかと云われれば、それを嘘だと思った所に、己の己惚れがあると云われれば、己には元より抗弁するだけの理由はない。それにも関らず、己はその嘘・・・<芥川竜之介「袈裟と盛遠」青空文庫>
  2. ・・・何故かと申しますと、これを書く以上、私は私一家の秘密をも、閣下の前に暴露しなければならないからでございます。勿論それは、私の名誉にとって、かなり大きな損害に相違ございません。しかし事情はこれを書かなければ、もう一刻の存在も苦痛なほど、切迫し・・・<芥川竜之介「二つの手紙」青空文庫>
  3. ・・・彼は矢部の眼の前に自分の愚かしさを暴露するのを感じつつも、たどたどしく百二十七町を段に換算して、それに四段歩を加え始めた。しかし待ち遠しそうに二人からのぞき込まれているという意識は、彼の心の落ち着きを狂わせて、ややともすると簡単な九々すらが・・・<有島武郎「親子」青空文庫>
  4. ・・・これを要するに氏の僕に言わんとするところは、第四階級者でなくとも、その階級に同情と理解さえあれば、なんらかの意味において貢献ができるであろうに、それを拒む態度を示すのは、臆病な、安全を庶幾する心がけを暴露するものだということに帰着するようだ・・・<有島武郎「片信」青空文庫>
  5. ・・・もっともこれらの人の名はすでになかば歴史的に固定しているのであるからしかたがないとしても、我々はさらに、現実暴露、無解決、平面描写、劃一線の態度等の言葉によって表わされた科学的、運命論的、静止的、自己否定的の内容が、その後ようやく、第一義慾・・・<石川啄木「時代閉塞の現状」青空文庫>
  6. ・・・かの海老茶袴は、最もよくこれ等の弱点を曝露して居るものといわねばならぬ。 また同じ鼈甲を差して見ても、差手によって照が出ない。其の人の品なり、顔なりが大に与って力あるのである。 すべての色の取り合わせなり、それから、櫛なり簪なり、と・・・<泉鏡花「白い下地」青空文庫>
  7. ・・・が、こしらえものより毬唄の方が、現実を曝露して、――女は速に虐げられているらしい。 同時に、愛惜の念に堪えない。ものあわれな女が、一切食われ一切食われ、木魚に圧え挫がれた、……その手提に見入っていたが、腹のすいた狼のように庫裡へ首を突込・・・<泉鏡花「燈明之巻」青空文庫>
  8. ・・・この瑜瑕並び蔽わない特有の個性のありのままを少しも飾らずに暴露けた処に椿岳の画の尊さがある。 椿岳の画は大抵小品小幀であって大作と見做すべきものが殆んどない。尤もその頃は今の展覧会向きのような大画幅を滅多に描くものはなかったが、殊に椿岳・・・<内田魯庵「淡島椿岳」青空文庫>
  9. ・・・ 余り憚りなくいうと自然暗黒面を暴露するようになるが、緑雨は虚飾家といえば虚飾家だが黒斜子の紋附きを着て抱え俥を乗廻していた時代は貧乏咄をしていても気品を重んじていた。下司な所為は決して做なかった。何処の家の物でなければ喰えないなどと贅・・・<内田魯庵「斎藤緑雨」青空文庫>
  10. ・・・ そんな風に、お前の行状は世間の眼にあまるくらいだったから、成金根性への嫉みも手伝って、やがて「川那子メジシンの裏面を曝露する」などという記事が、新聞に掲載されだした。 勿論、大新聞は年に何万円かの広告料を貰っている手前、そんな記事・・・<織田作之助「勧善懲悪」青空文庫>
  11. ・・・ ところが、最近、ふとしたことから、この空想の致命的な誤算が曝露してしまった。 元来、猫は兎のように耳で吊り下げられても、そう痛がらない。引っ張るということに対しては、猫の耳は奇妙な構造を持っている。というのは、一度引っ張られて破れたよ・・・<梶井基次郎「愛撫」青空文庫>
  12. ・・・あれは通る人の運命を暴露して見せる路だ」 背負い枠の娘はもうその路をあるききって、葉の落ち尽した胡桃の枝のなかを歩いていた。「ご覧なさい。人がいなくなるとあの路はどれくらいの大きさに見えて人が通っていたかもわからなくなるでしょう。あ・・・<梶井基次郎「闇の書」青空文庫>
  13. ・・・未知と被覆とを無作法にかなぐり捨てて、わざと人生の醜悪を暴露しようとする者には、青春も恋愛も顔をそむけ去るのは当然なことである。     三 恋愛の本質は何か 恋愛とは何かという問題は昔から種々なる立場からの種々な解釈があっ・・・<倉田百三「学生と生活」青空文庫>
  14. ・・・だから反言や、風刺や、暴露の微塵もないこの作が甘く見えるのはもっともである。 人間が読んで、殊に若い人たちが読んでいつまでも悪いことはない、きっとその心を素純にし、うるおわせ、まっすぐにものを追い求める感情を感染させるであろうと今でも私・・・<倉田百三「『出家とその弟子』の追憶」青空文庫>
  15. ・・・ 反戦文学は、こゝに於て、戦争が何のために行われるか、その真相を曝露し、その真実を民衆に伝え、民衆をして奮起させるべきである。泥棒どもが、なお安全に、最も悪い泥棒制度を維持しようがためにやっていることを白日の下に曝す必要がある。 吾・・・<黒島伝治「反戦文学論」青空文庫>
  16. ・・・彼等は、ひまをぬすんで寝がえりを打った娘のところへのこ/\やって行って偽札を曝露した。「何故?」 肌自慢の鼻の高いロシアの娘は反問した。「じゃ、これと較べて見ろ!」 1カ月の俸給に受取った五円いくらかのその五円札を出して見せ・・・<黒島伝治「氷河」青空文庫>
  17. ・・・た彼の眼の中には露が潤んで、折から真赤に夕焼けした空の光りが華はなばなしく明るく落ちて、その薄汚い頬被りの手拭、その下から少し洩れている額のぼうぼう生えの髪さき、垢じみた赭い顔、それらのすべてを無残に暴露した。 お母さんは何時亡くなった・・・<幸田露伴「蘆声」青空文庫>
  18. ・・・同情する自分と同情される他者との矛盾が、死ぬか生きるかの境まで来ると、そろそろ本体を暴露して来はしないか。まず多くの場合に自分が生きる。よっぽど濃密の関係で自分と他者と転倒しているくらいの場合に、いわば病的に自分が死ぬる。または極局身後の不・・・<島村抱月「序に代えて人生観上の自然主義を論ず」青空文庫>
  19. ・・・動物学に於ける自分の造詣の浅薄さが、いかん無く暴露せられたという事が、いかにも心外でならなかったらしく、私がそれから一つきほど経って阿佐ヶ谷の先生のお宅へ立寄ってみたら、先生は已に一ぱしの動物学者になりすましていた。何事に於いても負けたくな・・・<太宰治「黄村先生言行録」青空文庫>
  20. ・・・私は悪魔の本性を暴露していた。 私は、その夜、やっとわかった。私は、出世する型では無いのである。諦めなければならぬ。衣錦還郷のあこがれを、此の際はっきり思い切らなければならぬ。人間到るところに青山、と気をゆったり持って落ちつかなければな・・・<太宰治「善蔵を思う」青空文庫>
  21. ・・・列に過ぎないようであるが、精神分析学者の説くところによると、それらの断片をそれの象徴する潜在的内容に翻訳すれば、そういう夢はちゃんとした有機的な文章になり、そうして恐るべきわが内部生活の秘密を赤裸々に暴露するものである。ただ夢の場合にはこれ・・・<寺田寅彦「映画芸術」青空文庫>
  22. ・・・これに反して環夫人の独唱のごときは、ただきわめて不愉快なる現実の暴露に過ぎない。 絵画が写実から印象へ、印象から表現へ、また分離と構成へ進んだように映画も同じような道をすすむのではないか。そうして最後に生き残る本然の要素は結局自分の子供・・・<寺田寅彦「映画時代」青空文庫>
  23. ・・・政府が君らを締め殺したその前後の遽てざまに、政府の、否、君らがいわゆる権力階級の鼎の軽重は分明に暴露されてしもうた。 こんな事になるのも、国政の要路に当る者に博大なる理想もなく、信念もなく人情に立つことを知らず、人格を敬することを知らず・・・<徳冨蘆花「謀叛論(草稿)」青空文庫>
  24. ・・・ナチュラリズムの道徳は、自己の欠点を暴露させる正直な可愛らしい所がある。 ローマンチシズムの芸術は情緒的エモーショナルで人をして偉く大きく思わせるし、ナチュラリズムの芸術は理智的で、正直に実際を思わしめる。即ち文学上から見てローマンチシ・・・<夏目漱石「教育と文芸」青空文庫>
  25. ・・・船がつくと、どんな島でも、資本主義にその生命を枯らされていることが暴露されるからであった。 燈台が一つより外無い島、そして燈台守以外には、一人の人間も居ない島、そんな島が幾つも浮んでいた。そんな島は、媾曳の夜のように、水火夫たちを詩人に・・・<葉山嘉樹「労働者の居ない船」青空文庫>
  26. ・・・男子の貞操を守っていない夫に対して、復讐がしてやりたいと云う心持が、はっきり筆に書いてはないが、文句の端々に曝露している。それに受身になって運命に左右せられていないで、何か閲歴がしてみたいと云う女の気質の反抗が見えている。要するにどの女でも・・・<著:プレヴォーマルセル 訳:森鴎外「田舎」青空文庫>
  27. ・・・それだから、たとえそれが反抗的な要素によってつくられていても、直接に、大胆に暴露や批判はしない。消極性を少なからずもっている。 今日、世界唯一のプロレタリアートの国ソヴェト・ロシアは昔から、革命的経験をどの国より豊富に、歴史的発展につれ・・・<宮本百合子「新たなプロレタリア文学」青空文庫>
  28. ・・・ 作者の非プロレタリア的現実把握が微妙に右の一二行によって暴露されている。即ち、チャーリーの本当の気分は恐慌によって弱くなっているのだが、宣伝のためには有利だと、まるで第二インターナショナルの職業的社会主義者のように、切迫した恐慌による・・・<宮本百合子「一連の非プロレタリア的作品」青空文庫>
  29. ・・・しかし筆の走りついでだから、もう一度主筆に追願をして、少しくこの門外漢の評価の一端を暴露しようか。明治の聖代になってから以還、分明に前人の迹を踏まない文章が出でたということは、後世に至っても争うものはあるまい。露伴の如きが、その作者の一人で・・・<森鴎外「鴎外漁史とは誰ぞ」青空文庫>
  30. ・・・ しかしこれらのことは直ちにまたその半面の事実をも暴露している。すなわち洋画家は手に合うものをしか描いていない。日本画家は手に合わぬものを弄んで、生命のない色と線の遊戯に堕する傾向を示している。 洋画家の自然に対する態度はとにかく謙・・・<和辻哲郎「院展遠望」青空文庫>