はり‐ばこ【針箱】例文一覧 4件

  1. ・・・ただその玉章は、お誓の内証の針箱にいまも秘めてあるらしい。……「……一生の願に、見たいものですな。」「お見せしましょうか。」「恐らく不老長寿の薬になる――近頃はやる、性の補強剤に効能の増ること万々だろう。」「そうでしょうか。・・・<泉鏡花「燈明之巻」青空文庫>
  2. ・・・ ややしばらく身動きもしないで居た栄蔵は、片手をのばして、お節の針箱のわきから、さっき来た手紙を取った。 娘の手蹟を、なつかしげに封を切って、クルクルクルクルと読んで仕舞うと、ポンと放り出して、「あかん。とうめく様に・・・<宮本百合子「栄蔵の死」青空文庫>
  3. ・・・おゆきが針箱やたち板を出しかけている部屋のそとに濡れ縁があって、ちょいとした空地に盆栽棚がつくられていた。西日のさしこむ軒に竹すだれがかかり、風鈴の赤い短冊がゆれていて、なめたようにきれいな狭い台所口があいていると、裏の田圃が見えた。おゆき・・・<宮本百合子「菊人形」青空文庫>
  4. ・・・二階の大きな部屋に並んだ針箱が、どれも朱色の塗で、鳥のように擡げたそれらの頭に針がぶつぶつ刺さっているのが気味悪かった。 生花の日は花や実をつけた灌木の枝で家の中が繁った。縫台の上の竹筒に挿した枝に対い、それを断り落す木鋏の鳴る音が一日・・・<横光利一「洋灯」青空文庫>