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ぶつか・る例文一覧 30件

  1. ・・・二人はまともにぶつかる所を、やっと両方へ身を躱した。「御免下さいまし。」 結いたての髪をにおわせた美津は、極り悪そうにこう云ったまま、ばたばた茶の間の方へ駈けて行った。 洋一は妙にてれながら、電話の受話器を耳へ当てた。するとまだ・・・<芥川竜之介「お律と子等と」青空文庫>
  2. ・・・ 彼は何かにぶつかるように一生懸命に話しかけていた。が、彼の妹は時々赤児をあやしながら、愛想の善い応対をするだけだった。僕は番茶の渋のついた五郎八茶碗を手にしたまま、勝手口の外を塞いだ煉瓦塀の苔を眺めていた。同時にまたちぐはぐな彼等の話・・・<芥川竜之介「彼」青空文庫>
  3. ・・・皿の破れる音、椅子の倒れる音、それから、波の船腹へぶつかる音――、衝突だ。衝突だ。それとも海底噴火山の爆発かな。 気がついて見ると、僕は、書斎のロッキング・チェアに腰をかけて St. John Ervine の The Critics ・・・<芥川竜之介「MENSURA ZOILI」青空文庫>
  4. ・・・その代わり、彼は生まれてはじめて、父が商売上のかけひきをする場面にぶつかることができたのだ。父は長い間の官吏生活から実業界にはいって、主に銀行や会社の監査役をしていた。そして名監査役との評判を取っていた。いったい監査役というものが単に員に備・・・<有島武郎「親子」青空文庫>
  5. ・・・無数にある交叉点の一つにぶつかることがある。その時そこに安住の地を求めて、前にも後ろにも動くまいと身構える向きもあるようだ。その向きの人は自分の努力に何の価値をも認めていぬ人と言わねばならぬ。余力があってそれを用いぬのは努力ではないからであ・・・<有島武郎「二つの道」青空文庫>
  6. ・・・女などは髪切の化物が飛び込んだように上を下、くるくる舞うやらぶつかるやら、お米なども蒼くなって飛んで参って、私にその話をして行きましたっけ。 さあ二日経っても三日経っても解りますまい、貴夫人とも謂われるものが、内からも外からも自分の家の・・・<泉鏡花「政談十二社」青空文庫>
  7. ・・・ と謂う折しも凄まじく大戸にぶつかる音あり。「あ、痛。」 と謙三郎の叫びたるは、足や咬まれし、手やかけられし、犬の毒牙にかかれるならずや。あとは途ぎれてことばなきに、お通はあるにもあられぬ思い、思わず起って駈出でしが、肩肱いかめ・・・<泉鏡花「琵琶伝」青空文庫>
  8. ・・・ あきない帰りの豆府屋が、ぶつかるように、ハタと留った時、「あれ、蜻蛉が。」 お米が膝をついて、手を合せた。 あの墓石を寄せかけた、塚の糸枠の柄にかけて下山した、提灯が、山門へ出て、すこしずつ高くなり、裏山の風一通り、赤蜻蛉・・・<泉鏡花「縷紅新草」青空文庫>
  9. ・・・偶々トルストイのように本当にその精神にぶつかることの出来た人に於て、初めてキリストの感情は地上に花を開くのだ。六 然し現在のキリスト教なるものは、多くは世界の資本家の涙金から同盟を作り、大会を催す――換言すれば、経済的に資本主義・・・<小川未明「反キリスト教運動」青空文庫>
  10. ・・・しかし私はそいつが、別にあたりを見廻すというのでもなく、いかにも毎夜のことのように陰鬱な表情で溪からはいって来る姿に、ふと私が隣の湯を覗いた瞬間、私の視線にぶつかるような気がしてならなかったのである。 あるとき一人の女の客が私に話をした・・・<梶井基次郎「温泉」青空文庫>
  11. ・・・ことにその恋愛が障害にぶつかるときには勉強が手につかないようなこともある。ことには恋愛に熱中し得る力は、また君につくし、仕事にささげ得る力であることを思えば、生ぬるい恋の仕方をむしろしりぞけたくなる。だからこれは恋する力が強いのが悪いのでは・・・<倉田百三「学生と生活」青空文庫>
  12. ・・・この危機を恐れるならば、他人に対して淡泊枯淡あまり心をつながずに生きるのが最も賢いが、しかしそれではこの人生の最大の幸福、結実が得られないのであるならば、勇ましくまともにこの人生の危機にぶつかる態度をもって、しかしそれだけにつつましく知性と・・・<倉田百三「人生における離合について」青空文庫>
  13. ・・・ 一人の女に、二人がぶつかることがあった。三人がぶつかることもあった。そんな時、彼等は、帰りに、丘を下りながら、ひょいと立止まって、顔を見合わせ、からから笑った。「ソぺールニクかな。」「ソぺールニクって何だい?」「ソぺールニ・・・<黒島伝治「渦巻ける烏の群」青空文庫>
  14. ・・・蹄鉄に蹴られた礫が白樺の幹にぶつかる。馬はすぐ森を駈けぬけて、丘に現れた。それには羊皮の帽子をかむり、弾丸のケースをさした帯皮を両肩からはすかいに十文字にかけた男が乗っていた。 騎馬の男は、靄に包まれて、はっきりその顔形が見分けられなか・・・<黒島伝治「パルチザン・ウォルコフ」青空文庫>
  15. ・・・だから二力が互に異りたる曲線的に来てぶつかる時は、又何千万様の変化を起すか知れないのサ。ここが即ちおもしろい所だ。ここから天地万物がメチャメチャに色々の形状をなしてあらわれて来るのだよ。さてその曲線という奴は無障碍の空間で試みに引のばして見・・・<幸田露伴「ねじくり博士」青空文庫>
  16. ・・・こんな人ごみでは、ぶつかるのがあたりまえでございます。なんということもございません。学生は、そのまま通りすぎて行きます。しばらくして、また、どしんと博士にぶつかった美しい令嬢があります。けれども、これもあたりまえです。こんな混雑では、ぶつか・・・<太宰治「愛と美について」青空文庫>
  17. ・・・こうして離れているとお互いの生活に対する認識不足が多いので、いろいろ困難なことにぶつかると思います。命がけというので、お送りするわけです。それも私の生活とても決して余裕がないので、サラリイの前がりをしてやるわけです。勿体ぶるわけではないんで・・・<太宰治「虚構の春」青空文庫>
  18. ・・・そうしているうちに、初めには予期しなかったような重大な結果にぶつかる機会も決して少なくはない。この場合にも頭のいい人は人間の頭の力を買いかぶって天然の無際限な奥行きを忘却するのである。科学的研究の結果の価値はそれが現われるまではたいていだれ・・・<寺田寅彦「科学者とあたま」青空文庫>
  19. ・・・ 毎日同じ顔をいじり回しているうちに時々は要領にうまくぶつかる事もあった。なんだか違っているには相違ないが、どう違っているかわからないで困っていたような所が、何かの拍子にうまく直って来る時には妙な心持ちがした。楽器の弦の調子を合わせて行・・・<寺田寅彦「自画像」青空文庫>
  20. ・・・一ヶ年かかって達する距離を単位にして測られるような莫大な距離をへだてて散布された天体の二つが偶然接近して新星の発現となる機会は、例えば釈迦の引いた譬喩の盲亀百年に一度大海から首を出して孔のあいた浮木にぶつかる機会にも比べられるほど少なそうで・・・<寺田寅彦「小さな出来事」青空文庫>
  21. ・・・そこでたとえば前の例について言えば二分以下の間隔に飛び込む機会は三度に一度で、二分以上五分までの長い間隔にぶつかるほうは三度に二度の割合になる。実際は五分以上のものが勘定に加わるからおそらくこの割合は四度に三度ぐらいになる場合が多いだろうと・・・<寺田寅彦「電車の混雑について」青空文庫>
  22. ・・・ずいぶんいろいろの物を覚えいろいろの問題にぶつかる、そしていろいろの人間のいろいろの現象を見せてもらう事ができる。 世の中にはずいぶんいろいろな事が自慢になるものだと思う。ある婦人は月に幾回三越に行くという事を、時と場所と相手とにかまわ・・・<寺田寅彦「丸善と三越」青空文庫>
  23. ・・・あつい唇をむッと結んでいて、三吉はゴツンとぶつかるようなものを感じさせる。そのうち、学生たちがまだ彼の演説の内容について、ボルの革命論についてはてしなくいい争っているのに、気がつくと、高島は両手で膝をだいたまま、小さいカバンを枕にして、室の・・・<徳永直「白い道」青空文庫>
  24. ・・・――もっとも進んだってどう進んで好いか解らないのだから、何かにぶつかる所まで行くよりほかに仕方がないのです。私は忠告がましい事をあなたがたに強いる気はまるでありませんが、それが将来あなたがたの幸福の一つになるかも知れないと思うと黙っていられ・・・<夏目漱石「私の個人主義」青空文庫>
  25. ・・・ところが、職業の種類で結婚のあいてにめぐり合うことがむずかしくなったり、結婚生活と職業とが労力的に両立しがたかったりして、そういう困難にぶつかると、女のひとはそれを我々の今日生きている社会のおくれた形から蒙っている男女の損失として見るより先・・・<宮本百合子「新しい船出」青空文庫>
  26. ・・・ジェニファーの立場にいる女は、こうして多くの場合二面にぶつかるものをもたなければならない。それにひきくらべて、と、日本の女のひと、特にジェニファーに近い年ばえの女のひとが、この映画の祖母のわかりよさを愛すとすれば、そのことのなかに、一言にし・・・<宮本百合子「雨の昼」青空文庫>
  27. ・・・仕方がないから、一太は道傍の石ころを蹴飛ばしては追いかけて歩いたが、どうかしてそれが玉子の売れないのとぶつかると、一太は黙って歩いているのが淋しいような心配な気になった。「ね、おっかちゃん」「何だよ、ねえねえってさっきから、うるさい・・・<宮本百合子「一太と母」青空文庫>
  28. ・・・ 転ぶまい、車にぶつかるまい、帽子を飛ばすまい、栄蔵の体全体の注意は、四肢に分たれて、何を考える余裕もなく、只歩くと云う事ばかりを専心にして居た。 肩や帽子に、白く砂をためて家に帰りつくと、手の切れる様な水で、パシャパシャと顔や手足・・・<宮本百合子「栄蔵の死」青空文庫>
  29. ・・・の読者は、精彩にみち、実感にふれて来るこの雄大な一作をよんだのち、満足とともに何とはなし自分の体がもう一寸何かにぶつかる味を味ってみたかったような気分に置かれることはないだろうか。いかにも完成された作品であり、豊かな完璧な作品にちがいない。・・・<宮本百合子「鴎外・芥川・菊池の歴史小説」青空文庫>
  30. ・・・また舟を進めながら、しきりに近くの蕾に注意していると、偶然にも、最初の一ひらがはらりと開く場合にぶつかることがある。いかにもなだらかにほどけるのであって、ぱっと開くのではない。が、それとは別に、クイというふうな短い音は、遠く近くで時々聞こえ・・・<和辻哲郎「巨椋池の蓮」青空文庫>