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み‐くだ・す【見下す】例文一覧 22件

  1. ・・・』と、見下すように答えました。これにはさすがに片意地な恵門も、少しは鋒を挫かれたのか、眩しそうな瞬きを一つすると、『ははあ、そのような高札が建ちましたか。』と気のない声で云い捨てながら、またてくてくと歩き出しましたが、今度は鉢の開いた頭を傾・・・<芥川竜之介「竜」青空文庫>
  2. ・・・自分は足もとのわが宿を見下す。宿は小鳥の逃げた空籠のようである。離れの屋根には木の葉が一面に積って朽ちている。物置の屋根裏で鳩がぽうぽうと啼いている。目の前の枯枝から女郎蜘蛛が下る。手を上げて祓い落そうとすると、蜘蛛はすらすらと枝へ帰る。こ・・・<鈴木三重吉「千鳥」青空文庫>
  3. ・・・噴火口を見下す心地である。気のせいか、私の眉にさえ熱さを感じた。私は、たちまちがたがた震える。火事を見ると、どうしたわけか、こんなに全身がたがた震えるのが、私の幼少のころからの悪癖である。歯の根も合わぬ、というのは、まさしく的確の実感であっ・・・<太宰治「新樹の言葉」青空文庫>
  4. ・・・私も、子の顔を見下す。共に無言である。たまに私は、袂からハンケチを出して、きゅっと子の洟を拭いてやる事もある。そうして、さっさと私は歩く。子供のおやつ、子供のおもちゃ、子供の着物、子供の靴、いろいろ買わなければならぬお金を、一夜のうちに紙屑・・・<太宰治「父」青空文庫>
  5. ・・・時にはまた向うの峰へ上って見下す事もしなければならない。こういう事を現に少しでも実行しているらしい少数の画家の作画に対して自分は常に同情と期待をもって注意していた。その作品がどれほど自分の嗜好からは厭なと思うものでも、またあまりに生硬と思う・・・<寺田寅彦「津田青楓君の画と南画の芸術的価値」青空文庫>
  6. ・・・ 遠くの眺望から眼を転じて、直ぐ真下の街を見下すと、銀座の表通りと並行して、幾筋かの裏町は高さの揃った屋根と屋根との間を真直に貫き走っている。どの家にも必ず付いている物干台が、小な菓子折でも並べたように見え、干してある赤い布や並べた鉢物・・・<永井荷風「銀座」青空文庫>
  7. ・・・ 左の方に同じような木造の橋が浮いている。見下すと河岸の石垣は直線に伸びてやがて正しい角度に曲っている。池かと思うほど静止した堀割の水は河岸通に続く格子戸づくりの二階家から、正面に見える古風な忍返をつけた黒板塀の影までをはっきり映してい・・・<永井荷風「深川の唄」青空文庫>
  8. ・・・此処にはそれを廻る玉垣の内側が他のものとは違って、悉く廻廊の体をなし、霊廟の方から見下すとその間に釣燈籠を下げた漆塗の柱の数がいかにも粛々として整列している。霊廟そのものもまた平地と等しくその床に二段の高低がつけてあるので、もしこれを第三の・・・<永井荷風「霊廟」青空文庫>
  9. ・・・「どうですこれで角度は……もう少し下向に……裸体美人があなたの方を見下すように――よろしゅうございます」。それから我輩の書棚を作ってやるといって壁の寸法と書物の寸法をとって「グードナイト」といって出て行った。 門前を通る車は一台もない。・・・<夏目漱石「倫敦消息」青空文庫>
  10. ・・・寺の僧侶が毎朝早起、経を誦し粗衣粗食して寒暑の苦しみをも憚らざれば、その事は直ちに世の利害に関係せざるも、本人の精神は、ただその艱苦に当たるのみを以て凡俗を目下に見下すの気位を生ずべし。天下の人皆財を貪るその中に居て独り寡慾なるが如き、詐偽・・・<福沢諭吉「日本男子論」青空文庫>
  11. ・・・だんだん歩いている内に、路が下っていたと見え、曲り角に来た時にふと下を見下すと、さきに点を打ったように見えたのは牛であるという事がわかるまでに近づいていた。いよいよ不思議になった。牛は四、五十頭もいるであろうと思われたが、人も家も少しも見え・・・<正岡子規「くだもの」青空文庫>
  12. ・・・物蔭の小高いところから、そちらを見下すと、そこには隈なく陽が照るなかに、優美な装束の人たちが、恭々しいうちにも賑やかでうちとけた供まわりを随えて、静かにざわめいている。 黒い装束の主人たる人物は、おもむろに車の方へ進んでいる。が、まだ牛・・・<宮本百合子「あられ笹」青空文庫>
  13. ・・・ けれ共又そうかと云って、世の中のどんな事でも平気になって仕舞って、ニヤニヤ嘲笑いながら苦しんで居る者、育とうとして悩んで居る者を見下す自分を想像する事は尚たまりません。 そんななら寧ろどんなにでも動かされて苦しむ方がどれ程好いか分・・・<宮本百合子「動かされないと云う事」青空文庫>
  14. ・・・遠くから見下すと、まるで凍った白い雪の上を沢山のペングィン鳥が群れ遊んで居るような心持がした。 ○凍って歯にしむみかん ○若い芸者、金たけ長をかけ、島田、 牡丹色の半衿、縞の揃いの着物 ○寒い国の女、黒い瞼 白粉の下から浮ぐ・・・<宮本百合子「一九二七年春より」青空文庫>
  15. ・・・私が何故そう奇麗でもない昼、夕刻にかけて散歩したかといえば、夜では隠れてしまう生活の些細な、各々特色のある断面を、鋪道の上でも、京橋から見下す河の上にでも見物されたからである。それに、昼間から夜に移ろうとする夕靄、罩って段々高まって来る雑音・・・<宮本百合子「粗末な花束」青空文庫>
  16. ・・・ 私は私が数え年で七つの年、今は居ませんけれ共叔父に連れられて始めて――ほんとに生れて始めて人の家や、汽車やらを下に見下す道灌山のわきの草原に行った時の恐怖と物珍らしさの入れ混った、自分でどうして好いか分らなかった混乱した気持を、呆んや・・・<宮本百合子「小さい子供」青空文庫>
  17. ・・・ヨーロッパ・ホテルの一室、十月大通りを見下す方に大きな窓が開いている。赤っぽい、そう新しくない絨毯が敷いてある。隣室へ通じるドアの近くにゴーリキイが腰かけている。シャツも上衣も薄い柔かい鼠色で、それは深い横皺のある彼の額や、灰色がかって、勁・・・<宮本百合子「マクシム・ゴーリキイの伝記」青空文庫>
  18. ・・・ 静かな朝の十月大通りを見下す方角に大きな窓が開いている。赤っぽい、そう新しくない絨毯が敷いてある。その部屋の隣室へ通じるドアの近くにゴーリキイが腰かけている。シャツも上衣も薄い柔かい鼠色で、それは深い横皺のある彼の額や、灰色がかって、・・・<宮本百合子「マクシム・ゴーリキイの発展の特質」青空文庫>
  19. ・・・上から見下すと、只一様に白紙のように議席に置かれていたのは、参考地図であった。米内首相は降壇のときわざわざケースに納めて戻って来た眼鏡をまたかけて、地図をひろげたが、隣の桜内蔵相は、拡げる場所が狭苦しいのか、体を捩って首相のを覗き込んだ。そ・・・<宮本百合子「待呆け議会風景」青空文庫>
  20. ・・・そこを○子は拭き その上につやふきんをかけ そして 腰をおろして 変っていく隣家の庭の様子を見下すのであった。     雨の日の正午 となりの工事場が全くひっそりして。 雀の声、チュ チュ 雨はやんでいる 正午のサイ・・・<宮本百合子「窓からの風景(六月――)」青空文庫>
  21. ・・・ 男は見下す様な気持で、口の先で云った。「アア、今日はほんとうにすきだらけだったらありゃしない、まるですきあなからお互にのぞき見して居る様だ、またいつかこんなんならない様な日に来ましょうネ……」「そんな事云わずに世間ばなしでもし・・・<宮本百合子「芽生」青空文庫>
  22. ・・・冷ややけき世人は前世の因と説き運命と解き平然として哀れなる労働者を見下す。惨酷である。咫尺を解かぬ暗夜にこれこそとすがりしこの綱のかく弱き者とは知らなかった。危うしと悟る瞬間救いを叫ぶは自然である。彼らを危うしと見ながら悠々とエジプトの葉巻・・・<和辻哲郎「霊的本能主義」青空文庫>