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み‐まわし〔‐まはし〕【見回し/見×廻し】例文一覧 35件

  1. ・・・これには勇み立った遠藤も、さすがに胆をひしがれたのでしょう、ちょいとの間は不思議そうに、あたりを見廻していましたが、忽ち又勇気をとり直すと、「魔法使め」と罵りながら、虎のように婆さんへ飛びかかりました。 が、婆さんもさるものです。ひ・・・<芥川竜之介「アグニの神」青空文庫>
  2. ・・・ 突然仁右衛門がそういって一座を見廻した。彼れはその珍らしい無邪気な微笑をほほえんでいた。一同は彼れのにこやかな顔を見ると、吸い寄せられるようになって、いう事をきかないではいられなかった。蓆が持ち出された。四人は車座になった。一人は気軽・・・<有島武郎「カインの末裔」青空文庫>
  3. ・・・ さて一列の三つ目の椅子に腰を卸して、フレンチは一間の内を見廻した。その時また顫えが来そうになったので、フレンチは一しょう懸命にそれを抑制しようとした。 広間の真中にやはり椅子のようなものが一つ置いてある。もしこの椅子のようなものの・・・<著:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ 訳:森鴎外「罪人」青空文庫>
  4. ・・・ 後前を見廻して、「それはね、城のお殿様の御寵愛の、その姉さんだったと言いましてね。むかし、魔法を使うように、よく祈りのきいた、美しい巫女がそこに居て、それが使った狢だとも言うんですがね。」 あなたは知らないのか、と声さえ憚って・・・<泉鏡花「古狢」青空文庫>
  5. ・・・二坪にも足らない小池のまわり、七度も八度も提灯を照らし回って、くまなく見回したけれども、下駄も浮いていず、そのほか亡き人の物らしいもの何一つ見当たらない。ここに浮いていたというあたりは、水草の藻が少しく乱れているばかり、ただ一つ動かぬ静かな・・・<伊藤左千夫「奈々子」青空文庫>
  6. ・・・キチンと四角に坐ったまま少しも膝をくずさないで、少し反身に煙草を燻かしながらニヤリニヤリして、余り口数を利かずにジロジロ部屋の周囲を見廻していた。どんな話をしたか忘れてしまったが、左に右く初めて来たのであるが、朝の九時ごろから夕方近くまで話・・・<内田魯庵「斎藤緑雨」青空文庫>
  7. ・・・夏蜜柑の皮を剥きながら、此の草葺小屋の内を見廻した。年増の女が、たゞ独り、彼方で後向になって針仕事をしていた。そばを食べると昔の歌をうたって聞かせるという話だが、何も歌わなかった。 私が、この小舎を出る時、二人旅人が入って来た。・・・<小川未明「舞子より須磨へ」青空文庫>
  8. ・・・その男はしばらくそこらを見廻していたが、やがて舌打をして、「阿母、俺の着て寝る布団がねえぜ。」と上り口から呶鳴った。「ああそう、忘れていた、今夜は一人殖えたんだから。」と言う上さんの声がして、間もなく布団を抱えて上ってきた。 男・・・<小栗風葉「世間師」青空文庫>
  9. ・・・ 赤井は、なんだ、なんだと集まって来た弥次馬を見廻しながら、「この人達に、貴様が戦争の終った日に、何と何とをトラックで運ばせたか、一部始終ばらしたるぞ!」 そう言うと、隊長は思わず真赧になって、唸っていたが、やがて、「覚えと・・・<織田作之助「昨日・今日・明日」青空文庫>
  10. ・・・ どこかで見ていた人はなかったかと、また自分は見廻して見た。垂れ下った曇空の下に大きな邸の屋根が並んでいた。しかし廓寥として人影はなかった。あっけない気がした。嘲笑っていてもいい、誰かが自分の今為たことを見ていてくれたらと思った。一瞬間・・・<梶井基次郎「路上」青空文庫>
  11. ・・・凄い光を帯びた眼で坐中を見廻しながら「僕は馬鈴薯党でもない、牛肉党でもない! 上村君なんかは最初、馬鈴薯党で後に牛肉党に変節したのだ、即ち薄志弱行だ、要するに諸君は詩人だ、詩人の堕落したのだ、だから無暗と鼻をぴくぴくさして牛の焦る臭を嗅・・・<国木田独歩「牛肉と馬鈴薯」青空文庫>
  12. ・・・彼女は、乗り越したのではあるまいかと心配しながら、なお立って、停車場の構内をじろ/\見廻した。「僕、算術が二題出来なんだ。国語は満点じゃ。」醤油屋の坊っちゃんは、あどけない声で奥さんにこんなことを云いながら、村へ通じている県道を一番先に・・・<黒島伝治「電報」青空文庫>
  13. ・・・オンバコやスギ菜を取って食わせる訳にもゆかず、せめてスカンポか茅花でも無いかと思っても見当らず、茗荷ぐらいは有りそうなものと思ってもそれも無し、山椒でも有ったら木の芽だけでもよいがと、苦みながら四方を見廻しても何も無かった。八重桜が時々見え・・・<幸田露伴「野道」青空文庫>
  14. ・・・誰も自分の生活を見廻してみるものがないからだ、と思った。惨めだが、しかしあの女たちはちっとも自分のその惨めなことを知っていないのだ。これは恐ろしいことだと思った。彼は何度も雪やぶの中に足をふみ入れた。しかし、同時に彼は自分に対する反省を感じ・・・<小林多喜二「雪の夜」青空文庫>
  15. ・・・ 今さらのように、私は住み慣れた家の周囲を見回した。ここはいちばん近いポストへちょっとはがきを入れに行くにも二町はある。煙草屋へ二町、湯屋へ三町、行きつけの床屋へも五六町はあって、どこへ用達に出かけるにも坂を上ったり下ったりしなければな・・・<島崎藤村「嵐」青空文庫>
  16. ・・・そして口から怪しげな、笑うような音を洩らして、同じ群の外の男等を見廻した。「今聞いた詞は笑談ではなかったか知らん。」 男等は一人逃げ二人逃げた。彼等は内の箪笥の抽斗にまだ幾らかの金を持っている人達で、もし無心でも言われてはならないと思っ・・・<著:シュミットボンウィルヘルム 訳:森鴎外「鴉」青空文庫>
  17. ・・・彼女はあらゆる人々を見廻しました。通じる話は何処にもありません。彼女は、唖の娘の言葉が分って呉れた人々の子供の時から見馴れた顔をどんなに懐しく慕わしく思ったでしょう。彼女の物を言わない胸の裡には、只、心を見透おす神ばかりに聞える、無限の啜泣・・・<著:タゴールラビンドラナート 訳:宮本百合子「唖娘スバー」青空文庫>
  18. ・・・博士ほどのお方が、えへへへと、それは下品な笑い声を発して、ぐっと頸を伸ばしてあたりの酔客を見廻しましたが、酔客たちは、格別相手になっては呉れませぬ。それでも博士は、意に介しなさることなく、酔客ひとりひとりに、はは、おのぞみどおり、へへへへ、・・・<太宰治「愛と美について」青空文庫>
  19. ・・・あたりを見廻しても人っ子一人いない。 晩までは安心して所々をぶらついていた。のん気で午食も旨く食った。襟を棄ててから、もう四時間たっている。まさか襟がさきへ帰ってはいまいとは思いながら、少しびくびくものでホテルへ帰った。さも忙しいという・・・<著:ディモフオシップ 訳:森鴎外「襟」青空文庫>
  20. ・・・熊さんはと見廻したが何処へ行ったか姿も見えぬ。 惻然として浜辺へと堤を下りた。砂畑の芋の蔓は掻き乱したように荒らされて、名残の嵐に白い葉裏を逆立てている。沖はまだ暗い。ちぎれかかった雨雲の尾は鴻島の上に垂れかかって、磯から登る潮霧と一つ・・・<寺田寅彦「嵐」青空文庫>
  21. ・・・はじめのうちは、往来のあとさきを見廻して、だれもいないのを見とどけてから、こんにゃはァ、と小さい声で、そッと呟やいたものだった。しかしだれもいないところでふれたって売れる道理はないのだから、やっぱりみんなの見ているところで怒鳴れるように修業・・・<徳永直「こんにゃく売り」青空文庫>
  22. ・・・ 車から降りて、わたくしはあたりを見廻した。道は同じようにうねうねしていて、行先はわからない。やはり食料品、雑貨店などの中で、薬屋が多く、次は下駄屋と水菓子屋が目につく。 左側に玉の井館という寄席があって、浪花節語りの名を染めた幟が・・・<永井荷風「寺じまの記」青空文庫>
  23. ・・・例の四角な平地を見廻して見ると木らしい木、草らしい草は少しも見えぬ。婆さんの話しによると昔は桜もあった、葡萄もあった。胡桃もあったそうだ。カーライルの細君はある年二十五銭ばかりの胡桃を得たそうだ。婆さん云う「庭の東南の隅を去る五尺余の地下に・・・<夏目漱石「カーライル博物館」青空文庫>
  24. ・・・そして周りを見回した。ちょうど犬がするように少し顎を持ち上げて、高鼻を嗅いだ。 名状しがたい表情が彼の顔を横切った。とまるで、恋人の腕にキッスでもするように、屍の腕へ口を持って行った。 彼は、うまそうにそれを食い始めた。 もし安・・・<葉山嘉樹「死屍を食う男」青空文庫>
  25. ・・・廊下の障子を開けて左右を見廻し、障子を閉めて上の間の窓の傍に立ち止ッて、また耳を澄ました。 上野の汽笛が遠くへ消えてしまッた時、口笛にしても低いほどの口笛が、調子を取ッて三声ばかり聞えると、吉里はそっと窓を開けて、次の間を見返ッた。手は・・・<広津柳浪「今戸心中」青空文庫>
  26. ・・・オオビュルナンはどこかにベルがありそうなものだと、壁を見廻した。 この時下女が客間に来た。頬っぺたが前に見た時より赤くなっていて、表情が前に見た時より馬鹿らしく見えている。そして黙って戸の際に立っている。 客の詞には押え切れない肝癪・・・<著:プレヴォーマルセル 訳:森鴎外「田舎」青空文庫>
  27. ・・・そして両側の提灯に眼を奪われてあちこちと見廻して居るので度々石につまずいて転ぼうとするのを母に扶けられるという事でありたかった。そして遂には何か買うてくれとねだりはじめて、とうとうねだりおおせてその辺の菓子屋へはいるという事でありたかった。・・・<正岡子規「熊手と提灯」青空文庫>
  28. ・・・それを呑んだためかさっきの草の中に投げ出された木樵はやっと気がついておずおずと起きあがりしきりにあたりを見廻しました。 それから俄かに立って一目散に遁げ出しました。三つ森山の方へまるで一目散に遁げました。 土神はそれを見て又大きな声・・・<宮沢賢治「土神ときつね」青空文庫>
  29. ・・・ペーンはそのかおを眉のあたりからズーッと見廻して神秘的の美くしさに思わず身ぶるいをしてひくいながら心のこもった声で云う。ペーン マア何と云う御前は美くしい事だ。そのこまっかい肌、そのうす赤くすき通る耳たぼをもって居る御前は――世界中・・・<宮本百合子「葦笛(一幕)」青空文庫>
  30. ・・・』 市長はなおも言いたした、『お前はその手帳を拾った後で、まだ手帳から金がこぼれて落ちてはおらぬかとそこらをしばらく見回したろう。』 かあいそうに老人は、憤怒と恐怖とで呼吸をつまらした。『そんな嘘が、そんな嘘が――正直ものを・・・<著:モーパッサン ギ・ド 訳:国木田独歩「糸くず」青空文庫>