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り‐くつ【理屈/理窟】例文一覧 31件

  1. ・・・それがまたなぜだと訊ねて見ると、わたしはあの女を好いていない、遊芸を習わせるのもそのためだなぞと、妙な理窟をいい出すのです。そんな時はわたしが何といっても、耳にかける気色さえありません。ただもうわたしは薄情だと、そればかり口惜しそうに繰返す・・・<芥川竜之介「一夕話」青空文庫>
  2. ・・・父の癖として、このように一心不乱になると、きわめて簡単な理屈がどうしてもわからないと思われるようなことがあった。監督が小言を言われながら幾度も説明しなおさなければならなかった。彼もできるだけ穏やかにその説明を手伝った。そうすると父の機嫌は見・・・<有島武郎「親子」青空文庫>
  3. ・・・B しかしあれには色色理窟が書いてあった。A 理窟は何にでも着くさ。ただ世の中のことは一つだって理窟によって推移していないだけだ。たとえば、近頃の歌は何首或は何十首を、一首一首引き抜いて見ないで全体として見るような傾向になって来た。・・・<石川啄木「一利己主義者と友人との対話」青空文庫>
  4. ・・・ 内で熟としていたんじゃ、たとい曳くにしろ、車も曳けない理窟ですから、何がなし、戸外へ出て、足駄穿きで駈け歩行くしだらだけれど、さて出ようとすると、気になるから、上り框へ腰をかけて、片足履物をぶら下げながら、母さん、お米は? ッて聞くん・・・<泉鏡花「女客」青空文庫>
  5. ・・・とは、堂々たる男子のすることでないかの如くに考えているらしい、歴史上の話や、茶器の類などを見せられても、今日の社会問題と関係なきものの如くに思って居る、欧米あたりから持ってきたものであれば、頗る下等な理窟臭い事でも、直ぐにどうのこうのと騒ぐ・・・<伊藤左千夫「茶の湯の手帳」青空文庫>
  6. ・・・ こんな理屈ッぽい考えを浮べながら筆を走らせていると、どこか高いところから、「自分が耽溺しているからだ」と、呼号するものがあるようだ。またどこか深いところから、「耽溺が生命だ」と、呻吟する声がある。 いずれにしても、僕の耽溺・・・<岩野泡鳴「耽溺」青空文庫>
  7. ・・・これを日本国民が二千年来この生を味うて得た所のものと国民性に結びつけて難かしく理窟をつける処に二葉亭の国士的形気が見える。 だが、同じ日本の俗曲でも、河東節の会へ一緒に聴きに行った事があるが、河東節には閉口したらしく、なるほど親類だけに・・・<内田魯庵「二葉亭余談」青空文庫>
  8. ・・・ 文芸が趣味であり、また、単に自己享楽のためであり、若しくは、芸であると解する人々は、いかに理窟を言っても、根性の底に、昔の幇間的態度の抜けないのを見る。それは文芸の隆盛な時代は、大概太平な時代であったからである。そして、芸術が享楽階級・・・<小川未明「芸術は革命的精神に醗酵す」青空文庫>
  9. ・・・「せめて何か、口約束でもした中と言うならだが、元々そんなことのあったわけじゃなし、それにお前の話を聞いて見りゃ一々もっともで、どうもこれ、怨みたくも怨みようがねえ……けれど、俺は理屈はなしに怨めしいんで……」「…………」「何もお・・・<小栗風葉「深川女房」青空文庫>
  10. ・・・ しかし私は少し理屈を言いすぎた。おまけに先廻りすぎた。話を戻そう。――私はとにかく長髪を守っていたのであるが、やがて第二国民兵の私にも点呼令状が来た。そして点呼の日が近づくにつれて、私を戦慄させるようなさまざまな噂が耳にはいった。こと・・・<織田作之助「髪」青空文庫>
  11. ・・・継母の腹は言うまでもなく姉のお絹を外に出して自分の子、妹のお松を後に据えたき願い、それがあるばかりにお絹と継母との間おもしろからず理屈をつけて叔父幸衛門にお絹はあずけられかれこれ三年の間お絹のわが家に帰りしは正月一度それも機嫌よくは待遇われ・・・<国木田独歩「置土産」青空文庫>
  12. ・・・少なくともそこにはかわいた、煩鎖な概念的理窟や、腐儒的御用的講話や、すべて生の緑野から遊離した死骸のようなものはない。しかし文芸はその約束として個々の体験と事象との具象的描写を事とせねばならぬ故、人生全体としての指導原理の探究を目ざすことは・・・<倉田百三「学生と教養」青空文庫>
  13. ・・・ 田川は、これまで生きてきた日本の生活よりも、また、北満の河の北方側の生活よりも、河のかなたの生活の方がはるかにいいと心から思うことがたびたびあった。理屈ではなかった。街を歩いていると彼と同年くらいのロシアの青年たちの暗い影がちっともな・・・<黒島伝治「国境」青空文庫>
  14. ・・・曜日には孟子、火曜日には詩経、水曜日には大学、木曜日には文章規範、金曜日には何、土曜日には何というようになって居るので、易いものは学力の低い人達の為、むずかしいものは学力の発達して居るもののためという理窟なのです。それで順番に各自が宛がわれ・・・<幸田露伴「学生時代」青空文庫>
  15. ・・・これは百の理窟以上です。 娘は次の日から又居なくなり、そして今度という今度は刑務所の方へ廻ってしまったのでした。私は今でもあの娘の身体のきずを忘れることが出来ません。 中山のお母さんはそういって、唇をかんだ。――一九三一・一一・・・・<小林多喜二「疵」青空文庫>
  16. ・・・この弟のほうの子供は、宿屋の亭主でもだれでもやりこめるほどの理屈屋だった。 盆が来て、みそ萩や酸漿で精霊棚を飾るころには、私は子供らの母親の位牌を旅の鞄の中から取り出した。宿屋ずまいする私たちも門口に出て、宿の人たちと一緒に麻幹を焚いた・・・<島崎藤村「嵐」青空文庫>
  17. ・・・それはわたしが途中から出てあの座に雇われたのだから、お前さんの方でわたしを撃つのなら、理屈があるわね。お前さんだって、わたしがあの地位に坐ったのを怨まないわけにはいかないでしょう。それはわたしのせいじゃないのだけれど。事によったらお前さんの・・・<著:ストリンドベリアウグスト 訳:森鴎外「一人舞台」青空文庫>
  18. ・・・たいものだという希望に胸を焼かれて、これまた老いの物好きと、かの貧書生などに笑われるのは必定と存じますが、神よ、私はただ、大きい山椒魚を見たいのです、人間、大きいものを見たいというのはこれ天性にして、理窟も何もありやせん! それは、どのよう・・・<太宰治「黄村先生言行録」青空文庫>
  19. ・・・ 仮りにこれが五拾銭でなくて五拾円か五百円の壷であったら、どうだろうという事を、いささか臆病な心持で考えてみた。理窟は同じでも、実際は少しちがうような気がした。この方だと却って事柄がずっと簡単にはこびそうな気もした。正当不正当の問題が、・・・<寺田寅彦「ある日の経験」青空文庫>
  20. ・・・それに弱者や低能者にはそれ相当の理窟と主張があって、それに耳を傾けていれば際限がないのであった。 辰之助もその経緯はよく知っていた。今年の六月、二十日ばかり道太の家に遊んでいた彼は、一つはその問題の解決に上京したのであったが、道太は応じ・・・<徳田秋声「挿話」青空文庫>
  21. ・・・何に限らず正当なる権利を正当なりなぞと主張する如きは聞いた風な屁理窟を楯にするようで、実に三百代言的、新聞屋的、田舎議員的ではないか。それよりか、身に覚えなき罪科も何の明しの立てようなく哀れ刑場の露と消え……なんテいう方が、何となく東洋的な・・・<永井荷風「妾宅」青空文庫>
  22. ・・・今日チェルシーに来て倫敦の方を見るのは家の中に坐って家の方を見ると同じ理窟で、自分の眼で自分の見当を眺めると云うのと大した差違はない。しかしカーライルは自ら倫敦に住んでいるとは思わなかったのである。彼は田舎に閑居して都の中央にある大伽藍を遥・・・<夏目漱石「カーライル博物館」青空文庫>
  23. ・・・だが私は、たしかに猫ばかりの住んでる町、猫が人間の姿をして、街路に群集している町を見たのである。理窟や議論はどうにもあれ、宇宙の或る何所かで、私がそれを「見た」ということほど、私にとって絶対不惑の事実はない。あらゆる多くの人々の、あらゆる嘲・・・<萩原朔太郎「猫町」青空文庫>
  24. ・・・そんな理窟に合わん法があるもんかい」「それがどうにもならないんだ。病気なのはあの女ばかりじゃないんだ。皆が病気なんだ。そして皆が搾られた渣なんだ。俺達あみんな働きすぎたんだ。俺達あ食うために働いたんだが、その働きは大急ぎで自分の命を磨り・・・<葉山嘉樹「淫賣婦」青空文庫>
  25. ・・・ソンナ不理窟はなかる可し。女子の身に恥ず可きことは男子に於ても亦恥ず可き所のものなり。故に父母の子を教訓するは甚だ嘉し。父母たる者の義務として遁れられぬ役目なれども、独り女子に限りて其教訓を重んずるとは抑も立論の根拠を誤りたるものと言う可し・・・<福沢諭吉「女大学評論」青空文庫>
  26. ・・・ 主観的歌想の中にて理屈めきたるはその品卑しく趣味薄くして取るに足らず。『古今』以後の歌には理屈めきたるが多けれど『万葉集』、『曙覧集』にはなし。理屈ならぬ主観的歌想は多く実地より出でたるものにして、古人も今人もさまで感情の変るべきにあ・・・<正岡子規「曙覧の歌」青空文庫>
  27. ・・・「うん、そうだ、もうあまり、おれたちのがらにもない小理窟は止そう。おれたちのお父さんにすまない。お父さんは九つの氷河を持っていらしゃったそうだ。そのころは、ここらは、一面の雪と氷で白熊や雪狐や、いろいろなけものが居たそうだ。お父さんはお・・・<宮沢賢治「楢ノ木大学士の野宿」青空文庫>
  28. ・・・人間らしくないすべての事情、人間らしくないすべての理窟とすべての欺瞞を憎みます。愛という感情が真実わたしたちの心に働いているとき、どうして漫画のように肥った両手をあわせて膝をつき、存在しもしない何かに向って上眼をつかっていられましょう。この・・・<宮本百合子「愛」青空文庫>
  29. ・・・わたくしも大分理窟だけは覚えました。少しお手伝をしましょうか」「そうじゃろう。理窟はわしよりはえらいに違いない。むずかしい病人があったら、見て貰おう」 この話をしてから、花房は病人をちょいちょい見るようになったのであった。そして翁の・・・<森鴎外「カズイスチカ」青空文庫>
  30. ・・・そして、胸の中で、自分は安次を引取ることに異議を立てるのではなく、秋三の狡猾さに立腹しているのだと理窟も一度立ててみた。が、事実は秋三や母のお霜がしたように、病人の乞食を食客に置く間の様々な不愉快さと、経費とを一瞬の間に計算した。 お霜・・・<横光利一「南北」青空文庫>