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ろう‐ぼ〔ラウ‐〕【老母】例文一覧 30件

  1. ・・・それを知りながらU氏は御祈祷を頼みにして、老母と二人の子供との生活を続けるために、勇ましく飽くまで働いた。そして病気が重ってから、なけなしの金を出してして貰った古賀液の注射は、田舎の医師の不注意から静脈を外れて、激烈な熱を引起した。そしてU・・・<有島武郎「小さき者へ」青空文庫>
  2. ・・・その上、僕ら二人の留守中に老母がその孫どもに食べ過ぎさせたので、それもまた不活溌に寝たり、起きたりすることになった。 僕の家は、病人と痩せッこけの住いに変じ、赤ん坊が時々熱苦しくもぎゃあぎゃあ泣くほかは、お互いに口を聴くこともなく、夏の・・・<岩野泡鳴「耽溺」青空文庫>
  3. ・・・ 家族は六十七八になる極く丈夫な老母、二十九になる細君、細君の妹のお清、七歳になる娘の礼ちゃんこれに五六年前から居るお徳という女中、以上五人に主人の真蔵を加えて都合六人であった。 細君は病身であるから余り家事に関係しない。台所元の事・・・<国木田独歩「竹の木戸」青空文庫>
  4. ・・・家では老母が糸を紡いていた。 その夜の八時頃、ちょうど富岡老人の平時晩酌が済む時分に細川校長は先生を訪うた。田甫道をちらちらする提燈の数が多いのは大津法学士の婚礼があるからで、校長もその席に招かれた一人二人に途で逢った。逢う度毎に皆な知・・・<国木田独歩「富岡先生」青空文庫>
  5. ・・・』 五十を五つ六つ越えたらしい小さな老母が煤ぶった被中炉に火を入れながらつぶやいた。 店の障子が風に吹かれてがたがたすると思うとパラパラと雨を吹きつける音が微かにした。『もう店の戸を引き寄せて置きな、』と主人は怒鳴って、舌打ちを・・・<国木田独歩「忘れえぬ人々」青空文庫>
  6. ・・・あれだけあれば、妻と老母と、二人の子供が、一ヵ月ゆうに暮して行けるのだ!――しかし、彼は大佐の娘の美しさと、なまめかしさに、うっとりして、今ポケットに残してある札も、あとから再び取り出して、おおかたやってしまおうとしていたことは思い出さなか・・・<黒島伝治「橇」青空文庫>
  7. ・・・ますところなく発揮して東亜永遠の平和確立のため活躍しているという事で、私は彼のそのような誇らしげの音信に接する度毎に、いよいよ彼に対する尊敬の念をあらたにせざるを得なかったわけであったが、私には故郷の老母のような愚かな親心みたいなものもあっ・・・<太宰治「佳日」青空文庫>
  8. ・・・家族は、この二人の子供と妻と、それから、彼の老母と、彼と、五人である。そうして、とにかく、幸福な家庭なんだ。彼は、役所に於いては、これまで一つも間違いをし出かさず、模範的な戸籍係りであり、また、細君にとっては模範的な亭主であり、また、老母に・・・<太宰治「家庭の幸福」青空文庫>
  9. ・・・当時、私は或る女の人と一軒、家を持っていて、故郷の人たちとは音信不通になっていたのであるが、中畑さんは、私の老母などからひそかに頼まれて、何かと間を取りついでくれていたのである。私も、女も、中畑さんの厚情に甘えて、矢鱈に我儘を言い、実にさま・・・<太宰治「帰去来」青空文庫>
  10. ・・・よそに嫁いで居る姉が、私の一度ならず二度三度の醜態のために、その嫁いで居る家のものたちに顔むけができずに夜々、泣いて私をうらんでいるということや、私の生みの老母が、私あるがために、亡父の跡を嗣いで居る私の長兄に対して、ことごとく面目を失い、・・・<太宰治「虚構の春」青空文庫>
  11. ・・・てるも追々お嫁さんになれるとしごろになったのだから、ただ行儀見習いだけのつもりで、ひとつ立派なお屋敷に奉公してみる気はないか、と老母にすすめられ、親の言う事には素直なてるは、ほんとうに、毎日こうしてうちで遊んでいるよりは、と機嫌よく承知した・・・<太宰治「古典風」青空文庫>
  12. ・・・或いはまた、この奥さんの故郷の御老母を思い出して。まさか、そんな事もあるまい。しばらく私は、その繰り返し唄う声に耳を傾けて、そうして、わかった。あの奥さんは、なにも思ってやしないのだ。謂わば、ただ唄っているのだ。夏のお洗濯は、女の仕事のうち・・・<太宰治「作家の手帖」青空文庫>
  13. ・・・ すなわち、長火鉢へだてて、老母は瀬戸の置き物のように綺麗に、ちんまり坐って、伏目がち、やがて物語ることには、──あれは、わたくしの一人息子で、あんな化け物みたいな男ですが、でも、わたくしは信じている。あれの父親は、ことしで、あけて・・・<太宰治「十五年間」青空文庫>
  14. ・・・そうして皆に、はきはきした口調で挨拶して、末席につつましく控えていたら、私は、きっと評判がよくて、話がそれからそれへと伝わり、二百里離れた故郷の町までも幽かに響いて、病身の老母を、静かに笑わせることが、出来るのである。絶好のチャンスでは無い・・・<太宰治「善蔵を思う」青空文庫>
  15. ・・・昨年の暮に故郷の老母が死んだので、私は十年振りに帰郷して、その時、故郷の長兄に、死ぬまで駄目だと思え、と大声叱咤されて、一つ、ものを覚えた次第であるが、「兄さん、」と私はいやになれなれしく、「僕はいまは、まるで、てんで駄目だけれども、で・・・<太宰治「鉄面皮」青空文庫>
  16. ・・・三木は不在であったが、小さく太った老母がいた。家賃三十円くらいの、まだ新しい二階建の家である。さちよが、名前を言うと、おお、と古雅に合点して、お噂、朝太郎から承って居ります、何やら、会があるとかで、ひるから出かけて居りますが、もう、そろそろ・・・<太宰治「火の鳥」青空文庫>
  17. ・・・私が言わなければ誰も言わないだろうから、私が次のようなあたりまえのことを言うても、何やら英雄の言葉のように響くかも知れないが、だいいちに私は私の老母がきらいである。生みの親であるが好きになれない。無智。これゆえにたまらない。つぎに私は、四谷・・・<太宰治「もの思う葦」青空文庫>
  18. ・・・しかし自分の姉の家ではその老母がずっとあとまで、自分らの中学時代までも、この機織りを唯一の楽しみのようにして続けていた。木の皮を煮てかせ糸を染めることまで自分でやるのを道楽にしていたようである。純粋な昔ふうのいわゆる草木染めで、化学染料など・・・<寺田寅彦「糸車」青空文庫>
  19. ・・・と言ったきり相手になってくれなかった。老母も奥の隠居部屋から出て来て、めがねでたんねんに検査してはいたが、結局だれにもなんだかわからなかった。「ひょっとしたら私の病気にでもきくというのでだれかが送ってくれたのじゃないかしら、煎じてでも飲・・・<寺田寅彦「球根」青空文庫>
  20. ・・・その背後に立っていたのは、この未亡人の二人の娘で、とうに他家に嫁いで二人ともに数人の子供の母となっているのであるが、その二人が何か小声で話しながら前に腰かけている老母の鬢の毛のほつれをかわるがわるとりあげて繕ってやっている。つい先刻までは悲・・・<寺田寅彦「雑記帳より(2[#「2」はローマ数字、1-13-22])」青空文庫>
  21. ・・・夫婦して小さな躄車のようなものに病人らしい老母を載せて引いて行く、病人が塵埃で真黒になった顔を俯向けている。 帰りに追分辺でミルクの缶やせんべい、ビスケットなど買った。焼けた区域に接近した方面のあらゆる食料品屋の店先はからっぽになってい・・・<寺田寅彦「震災日記より」青空文庫>
  22. ・・・黒い冠木門の両開き戸をあけるとすぐ玄関で案内を乞うと右脇にある台所で何かしていた老母らしきが出て来た。姓名を告げて漱石師より予て紹介のあった筈である事など述べた。玄関にある下駄が皆女物で子規のらしいのが見えぬのが先ず胸にこたえた。外出と云う・・・<寺田寅彦「根岸庵を訪う記」青空文庫>
  23. ・・・淋しそうな老母の顔も見える。黙ってじっとしている人々の顔にも年が暮れかかっている。 竹村君は片手の皿の包を胸に引きしめるようにして歩いていたが、突然口の中で「三百円もあるといいなあ」と呟いた。・・・<寺田寅彦「まじょりか皿」青空文庫>
  24. ・・・お絹はそう言って、それからこの間どこからか貰ってきた大きな蒸鮑を、母親に切ってもらっていた。老母は錆びた庖丁を砥石にかけて、ごしごしやっていた。「これおいしいですよ。私大事に取っておいたの」お絹は言っていた。「その庖丁じゃおぼつかな・・・<徳田秋声「挿話」青空文庫>
  25. ・・・ 吉田は、紙切れに鉛筆で走り書きをして、母に渡した。「これを依田君に渡して下さい。私はちょっと行って来ますから。心配しないで下さいね。大丈夫だから」 老母の眼からは、涙が落ちた。 吉田は胸が痛かった。おそろしい悲しみと、歯噛・・・<葉山嘉樹「生爪を剥ぐ」青空文庫>
  26. ・・・そこへ持って来て、子供二人と老母と嬶とこれだけの人間が、私を、この私を一本の杖にして縋ってるんです。 手負い猪です。 医者が手当をしてくれると、私は面接所に行った。わざと、下駄を叩きへ打っけるんだ。共犯は喜ぶ。私も嬉しい。 ――・・・<葉山嘉樹「牢獄の半日」青空文庫>
  27. ・・・曾て或る洋学者が妻を娶り、其妻も少し許り英語を解して夫婦睦じく家に居り、一人の老母あれども何事も相談せざるのみか知らせもせずに、夫婦の専断に任せて、母は有れども無きが如し。或るとき家の諸道具を片付けて持出すゆえ、母が之を見て其次第を嫁に尋ぬ・・・<福沢諭吉「新女大学」青空文庫>
  28. ・・・ 父は東京に住んでいた家族にこのようにして書いていたばかりでなく、福島県の開成山に隠棲していた老母に、凡そこの二分の一ぐらいのエハガキだよりを送って居ます。当時は外国雑誌など珍らしかったので、老母のところには、父が写真説明を日本語で細か・・・<宮本百合子「中條精一郎の「家信抄」まえがきおよび註」青空文庫>
  29. ・・・このとき長十郎の心頭には老母と妻とのことが浮かんだ。そして殉死者の遺族が主家の優待を受けるということを考えて、それで己は家族を安穏な地位において、安んじて死ぬることが出来ると思った。それと同時に長十郎の顔は晴れ晴れした気色になった。・・・<森鴎外「阿部一族」青空文庫>
  30. ・・・それに老母が生きているので、家は七人暮らしである。平生人には吝嗇と言われるほどの、倹約な生活をしていて、衣類は自分が役目のために着るもののほか、寝巻しかこしらえぬくらいにしている。しかし不幸な事には、妻をいい身代の商人の家から迎えた。そこで・・・<森鴎外「高瀬舟」青空文庫>

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