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か‐じゅ〔クワ‐〕【果樹】例文一覧 19件

  1. ・・・例えば先祖から持ち伝えた山を拓いて新らしい果樹園を造ろうとしたようなもので、その策は必ずしも無謀浅慮ではなかったが、ただ短兵急に功を急いで一時に根こそぎ老木を伐採したために不測の洪水を汎濫し、八方からの非難攻撃に包囲されて竟にアタラ九仭の功・・・<内田魯庵「四十年前」青空文庫>
  2. ・・・一度もまだはいって行ってみたことのない村の、黝んだ茅屋根は、若葉の出た果樹や杉の樹間に隠見している。前の杉山では杜鵑や鶯が啼き交わしている。 ふと下の往来を、青い顔して髯や髪の蓬々と延びた、三十前後の乞食のような服装の男が、よさよさと通・・・<葛西善蔵「贋物」青空文庫>
  3. ・・・日は来たりぬ、われ再びこの暗く繁れる無花果の樹陰に座して、かの田園を望み、かの果樹園を望むの日は再び来たりぬ。 われ今再びかの列樹を見るなり。われ今再びかの牧場を見るなり。緑草直ちに門戸に接するを見、樹林の間よりは青煙閑かに巻きて空にの・・・<国木田独歩「小春」青空文庫>
  4. ・・・あの形勝の好い位置にあった、庭も広く果樹なども植えてあった、恐らく永住の目的で先生が建てた家を知っている。あの時代に居た先生の二度目の奥さんを知っている。あの頃は先生もまだ若々しく、時には奥さんに軽い洋装をさせ、一緒に猿町辺を散歩した……先・・・<島崎藤村「岩石の間」青空文庫>
  5. ・・・き乙女の影、走り寄りて桃金嬢の冠を捧ぐとか、真なるもの、美なるもの、兀鷹の怒、鳩の愛、四季を通じて五月の風、夕立ち、はれては青葉したたり、いずかたよりぞレモンの香、やさしき人のみ住むという、太陽の国、果樹の園、あこがれ求めて、梶は釘づけ、た・・・<太宰治「喝采」青空文庫>
  6. ・・・そうしてそのあとに豊富な果樹の収穫の山の中に死んで行く「過去」の老翁の微笑が現われ、あるいはまた輝く向日葵の花のかたわらに「未来」を夢みる乙女の凝視が現われる。これらは立派な連句であり俳諧である。 しかしこれらの一つ一つのシーンは多くの・・・<寺田寅彦「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」青空文庫>
  7. ・・・油絵の風景画などでも、破れた木柵、果樹などの前景に雑草の乱れたような題材は今でもいちばんに心を引かれる。 東京に家を持ってからの事である。ある日巡査がやって来て、表の塀の下にひどく草がはえているから抜くようにと注意して行った。見るとなる・・・<寺田寅彦「路傍の草」青空文庫>
  8. ・・・半農半商ともいうべきそういう人々の庭には梅、桃、梨、柿、枇杷の如き果樹が立っている。 去年の春、わたくしは物買いに出た道すがら、偶然茅葺屋根の軒端に梅の花の咲いていたのを見て、覚えず立ちどまり、花のみならず枝や幹の形をも眺めやったのであ・・・<永井荷風「葛飾土産」青空文庫>
  9. ・・・ただ余が先生について得た最後の報知は、先生がとうとう学校をやめてしまって、市外の高台に居を卜しつつ、果樹の栽培に余念がないらしいという事であった。先生は「日本における英国の隠者」というような高尚な生活を送っているらしく思われた。博士問題に関・・・<夏目漱石「博士問題とマードック先生と余」青空文庫>
  10. ・・・けれども一文芸院を設けて優にその目的が達せられるように思うならば、あたかも果樹の栽培者が、肝心の土壌を問題外に閑却しながら、自分の気に入った枝だけに袋を被せて大事を懸ける小刀細工と一般である。文芸の発達は、その発達の対象として、文芸を歓迎し・・・<夏目漱石「文芸委員は何をするか」青空文庫>
  11. ・・・それから果樹がちらちらゆすれ、ひばりはそらですきとおった波をたてまする。童子は早くも六つになられました。春のある夕方のこと、須利耶さまは雁から来たお子さまをつれて、町を通って参られました。葡萄いろの重い雲の下を、影法師の蝙蝠がひらひらと飛ん・・・<宮沢賢治「雁の童子」青空文庫>
  12. ・・・』 そこで二人は手をつないで果樹園を出てどんどんそっちへ走って行った。 音はよっぽど遠かった。樺の木の生えた小山を二つ越えてもまだそれほどに近くもならず、楊の生えた小流れを三つ越えてもなかなかそんなに近くはならなかった。 それで・・・<宮沢賢治「黄いろのトマト」青空文庫>
  13. ・・・第一果樹整枝法、わかったか。三番。」兵卒三「わかりました。果樹整枝法であります。」大将「よろしい。果樹整枝法、その一、ピラミッド、一の号令でこの形をつくる。二で直るいいか」大将両腕を上げ整枝法のピラミッド形をつくる。・・・<宮沢賢治「饑餓陣営」青空文庫>
  14. ・・・の中でスタインベックは、カリフォルニアの果樹園とそのまわりにあぶれている季節労働者――土地をとられた農民の群の有様を描いている。豊饒なカリフォルニアの果樹園で、市価がやすいために収穫がのばされている。樹の下には甘熟した果物が重なって落ちて、・・・<宮本百合子「心に疼く欲求がある」青空文庫>
  15. ・・・ そこから少し低くなっている彼方を見渡すと、白い小砂利を敷いた細道を越えた向うには、馬ごやしの厚い叢に縁取りされた数列の花床と、手入れの行き届いた果樹がある。 湿りけのぬけない煉瓦が、柔らかな赤茶色に光って見える建物の傍に、花をつけ・・・<宮本百合子「地は饒なり」青空文庫>
  16. ・・・三 海老屋の年寄りは、翌朝もいつもの通り広い果樹園へ出かけて行った。 笠を被り、泥まびれでガワガワになったもんぺを穿いた彼女が、草鞋がけでたくさんな男達を指揮し出すのを見ると、近所の者は皆、「あれまあ御覧よ、 ま・・・<宮本百合子「禰宜様宮田」青空文庫>
  17. ・・・窓の小さいのが三つ位開いて単純な長方形のガラス越に寒そうな青白い月光の枯れ果てた果樹園を照らしてはるかに城壁が真黒に見える。長椅子からよっぽどはなれた所に青銅製の思い切って背の高いそして棒の様な台の上に杯の様な油皿のついた燈火を置い・・・<宮本百合子「胚胎(二幕四場)」青空文庫>
  18. ・・・とパンコフがやって来て、こわされた煖炉を見て呻ったのは真実であった。果樹園所有者組合の組織に成功しはじめたロマーシに対する「戦争」は、もとより村の富農から挑まれた。富農に買われる酔いどれの悪党としてはあつらえむきの兵士コスチンがある。 ・・・<宮本百合子「マクシム・ゴーリキイの伝記」青空文庫>
  19. ・・・古い果樹の、熟しすぎた果実として、フランスの文化伝統たる個人中心の考えかたは現実に破れたのであった。 日本の場合、それは全く異っている。決して、たっぷりと開花し、芳香と花粉とを存分空中に振りまいて、実り過ぎて軟くなり、甘美すぎてヴィタミ・・・<宮本百合子「よもの眺め」青空文庫>